システム開発業で、SESを管理するためのシステムに必要な機能について
ビーブレイクシステムズの基幹業務パッケ-ジ(ERP)であるMA-EYES(エムエ-アイズ)はプロジェクト型で業務を行う企業を得意としており、その中でもシステム開発業への導入が過半数を占めます。
システム開発業のプロジェクト(契約)形態で多いのは、請負、準委任、派遣、物販です。
本記事は、主に準委任契約を主とした業務システムの導入に関してどのような機能が必要か?という観点で、筆者の経験をもとに解説するものです。
目次
準委任契約とは
準委任契約という言葉は法律上の名称ですが、システム開発業界では準委任契約で締結されるサ-ビス形態をSES(エスイーエス)と呼び、転じてSES契約と称します。
”準”がつかない”委任契約”は法律行為の委任、例えば弁護士へ訴訟行為の代理を依頼するといった場合の契約ですが、システム開発は法律行為ではないので、準委任契約となります。
SESはシステム・エンジニアリング・サ-ビスの略ですが、サ-ビスと付く通り、なにかプログラムやドキュメントと言った成果物を納品する義務が課せられるわけではなく、業務の遂行を自体が目的となります。
SESを管理するシステムにはどのような機能が必要か
SES契約を管理するためのシステムには以下のような機能が必要になります。
- 契約への人の割当
- 精算方法の設定
- 勤務時間と精算対象時間の分離
- 工数による請求金額と人件費の計算
それぞれについて、具体的にどのようなものか解説していきます。
契約への人の割当(アサイン)
SES契約は「誰が作業するのか」ということが決まっている(契約と人が紐づいている)契約形式です。従って、プロジェクトへ作業担当者を設定する機能が必須です(*ここでは、契約=プロジェクトと定義します)。
この時点で、人材サ-ビス向けやプロジェクト型業務向けの製品等に絞られてきます。
また、プロジェクトの収益性を計算するためには、人件費の予定を管理する必要があります。ここでポイントとなるのは、予定人件費は、1時間や1ヶ月のような期間の平均単価で計算します。単価は人ごとに変わりますし、同じ人でも昇進その他の理由により、年度内でも変動しますし、また、顧客との契約とも無関係です。「契約は4月から6月の3ヶ月で、契約金額は一定だが、6月から給料が上がる」従って、“5月までは時間単価3000円、6月からは3100円”というような期間ごとの単価設定が、人ごとにできる必要があります。
精算方法の設定
SES契約は時間(工数)による従量課金が一般的です。派遣契約の場合は完全な時給が基本ですが、SES契約においては「基準時間を設けてその枠内であれば固定」という契約が多いです。
私も過去にSESの営業経験がありますが、例えば契約条件についてお客様の担当者に尋ねた場合、「80の140~180の中割です」と回答があったとします。その場合は以下の計算で月額が決まります。
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他の業界ではあまり聞いたことがない計算方法ですが、このような形式がSES契約では一般的となっています。おそらく月ごとの営業日の違いや、1~2日の休暇のプラスマイナスを加味しても金額が一定になるようにした結果でしょう。
契約条件は、作業時間に関わらず固定の場合もあれば、時間幅が150~200だったり、中割ではなく上下割(140時間未満の場合は140で割り、180時間より多い場合は180で割った金額を単価とする)、180~200時間までの増加単価と200時間以上の増加単価が異なっていたり、契約内容毎に様々なパタ-ンがあります。
ごく稀にしか無いパタ-ンまで含めた全ての精算方法にシステムが対応している必要はないですが、基準時間制や固定などの時間精算の方法、基準時間、基準時間外の単価設定などの機能があると、SESの管理は容易になります。
勤務時間と精算対象時間の分離
SESでの精算工数時間と、エンジニアの就業時間は必ずしも一致しません。客先での仕事以外がなければほぼイコールになりますが、例えば人事面談のために自社で打ち合わせした時間があれば、就業時間には含まれますが、顧客に請求できる時間ではありませんので、差異が生じます。
これに対応するには
①勤務表を二重で管理できること
②勤務表は1つだが、工数管理できること
のいずれかの機能が必要です。
①を標準機能で実現している製品はそもそもあまりないと思われるのですが、勤務表は契約先の独自の形式や、契約先が持っている管理システム等もありますので、わざわざ二重で管理してもシステム外の管理はどうしても多く残ることになり、システム化のメリットが薄そうです。
従って、②の対応を行う会社が多いです。具体的には、9:00に客先に出社し、17:30に客先を出て本社に向かい、19:00まで別の業務を行った場合、昼休みが1時間として総作業工数は9時間。そのうちSES契約内の作業時間は7時間半、その他の時間は1時間半となり、それぞれ工数を割り振ることで勤務時間と工数を分けて管理することができます。
工数による請求金額と人件費の計算
今までの機能で、
- 契約にエンジニアを割り当て
- 精算条件を登録し
- プロジェクトごとに工数を登録する
ということができると、入力された情報から請求金額と人件費の計算が可能となります。以上の機能が、SES契約を管理する上で必須の機能と言えるでしょう。
あったら嬉しい機能
必須の機能以外にも、下記のような機能があるとより便利になるのではないでしょうか。
パ-トナ-を管理する機能
自社の社員のみならず、他の会社の社員をSES契約で受け入れる場合(パ-トナ-と呼びます)も発生します。そういった場合には、プロジェクトに社員と同様にパ-トナ-をアサインしたり、工数から支払予定金額を計算したりする機能があると便利です。
翌月精算機能
会社によっては、「精算分は翌月の請求書で反映」というケースもあります。これは、月末まで作業して契約元の企業が労働時間を計算し請求すると、締めに間に合わなくなるので、一旦当月分は翌月に回す、という形を取っていると思われますが、このような翌月精算にも対応した機能があると便利になります。
ぜひお問い合わせください
今回の記事ではSES管理に必要なシステムについて解説しました。当社のクラウド型ERP、MA-EYESは今回ご紹介した機能の多くを備えています。
SES契約を管理する業務システムをお探しの企業ご担当者様は是非お気軽にお問い合わせください。
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筆者プロフィール
- 営業職。カレーが好きです。得意技は福岡日帰り出張。
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