システム開発業で、請負契約を管理するためのシステムに必要な機能について

ビーブレイクシステムズの基幹業務パッケ-ジ(ERP)であるMA-EYES(エムエ-アイズ)はプロジェクト型で業務を行う企業を得意としており、その中でもシステム開発業への導入が過半数を占めます。システム開発業のプロジェクト(契約)形態で多いのは、請負、準委任、派遣、物販です。

本記事は、主に請負契約を主とした業務システムにはどのような機能が必要か?という観点で解説するものです。

 

請負契約とは

請負契約は、準委任契約や派遣契約と異なり委託した内容が完成することによって、依頼主(顧客)から報酬が得られる契約です。当月内に終わるものであれば会計的な処理を考える必要はありませんが、通常請負で実行される契約は数ヶ月、数年単位の期間が必要であり、最終的な売上は完成時になりますが、それまでの期間にも会計処理は必要です。

 

処理方法としては2種類です。

  • 完成基準
  • 工事進行基準

 

完成基準は、完了(依頼したものが想定通り納品したと顧客が認めたとき。検収。)した際に売上と原価を計上し、案件の利益が確定します。また、完了するまでの費用は仕掛品という、“作りかけの半製品”を資産として管理する必要があります。

 

工事進行基準の場合は、仕掛品と同じようなものとして完了するまでの費用を“未成工事支出金”といった科目で貯めておきます。

また、工事進行基準では完成時ではなく、工事の進行に対して毎月売上を計上する必要がありますが、進行を測る基準としては、予定原価に対する実績原価の割合を進捗度とする原価進捗基準と、実際の作業進捗など原価ではない情報を元に進捗率を割り出す方法がありますが、後者は客観的・合理的に算出することが困難なため、原価進捗基準が広く採用されています。

 

完成基準か工事進行基準は、契約毎に金額や期間の長さで使い分けている会社が多いです。例えば、1000万以上or4ヶ月以上の期間であれば進行基準、それ以下は完成基準といった形になります。従って、請負契約を管理するシステムは両方の基準に対応している必要があります。

 

請負契約の会計計上するためには、以下の手順(機能)が必要です。

  • 予算の設定
  • 実績の登録
  • 実績を元に仕掛や工事進行基準売上を計上する

具体的にどのようなものかそれぞれ解説していきます。

 

予算の設定

完成基準だけであれば、業績管理としてはともかく、会計管理上は予算の管理は不要なのですが、工事進行基準は原価の予算に対する進捗率を用いて計算するため、

  • 売上予定金額
  • 人件費
  • 経費

の予定、つまり予算を設定する必要があります。

 

売上予定に関しては、工事進行基準でない計上方法であれば未来の売上予定や営業の受注目標達成に使います。一方、工事進行基準の場合は、毎月の進行基準売上の計算に最終的な売上予定金額を利用しますので、また意味が変わってきます。例えば、案件の稼働中に契約変更等で売上予定が変わる事があり得ますが、その場合に検討するシステムではどのような計算になるのか、確認しておく必要があるでしょう。

 

人件費に関しては、SESを管理するシステムに関しての記事で記載したことと同様で、予定時間や個人の単価管理機能が必要です。システム会社ではSES契約も請負契約も、両方存在している企業は多いので、そちらの記事も是非ご参照ください。

参考:システム開発業で、SESを管理するためのシステムに必要な機能について

 

経費に関しては遠方であれば旅費交通費、あるいは各種外注への発注、機材・ライセンスの購入等の予定を、契約に紐づけて管理する必要があります。

 

実績の登録

請負契約の場合、案件が儲かっているかどうかという事とは別に、仕掛・工事進行基準売上の計算のために費用実績の登録が必要です。

人件費に関しては、こちらもSES契約の記事の際にも説明している工数の割り振りが必要です。

経費に関しても、契約毎に経費を分類して登録できる必要があります。経費申請は、販売/契約/プロジェクト管理のシステムではなく個別の経費申請システムを利用している企業が多いので、紐付けるプロジェクトコードなりのキー項目を連携し、実績の取り込みをする機能が必要な場合もあります。

 

実績を元に仕掛や工事進行基準売上を計上する

完成基準であれば、毎月案件ごとに費用を仕掛に振替えて、完成時に原価にします。

 

工事進行基準の場合は、例えば収支の予定が

売上予定:1000万円
費用の総計:800万

とした場合、最初の月に人件費や経費諸々80万円が実績であれば80/800で10%ですから、当月の売上は1000万✕10%で100万円です。翌月の費用が先月と合計で200万円であれば、原価の進捗率は200/800で25%ですので、合計250万円の売上が上がっている必要がありますので、その月は250-100で150万円の売上計上となる計算となります。

 

このように予定・実績の登録、それを元にした仕掛・工事進行基準の計上処理が請負契約を管理するシステムには求められます。

 

確認しておくべき細かい仕様

完了基準と工事進行基準にシステムが対応していることは前提として、計上単位の作り方を自社の管理方法と当てはめて確認することは重要です。

社内のプロジェクトとしては、顧客の契約と関係なく部署間で売上を分けたり、工程で分けたり、あるいは完成基準で複数検収が発生する場合など、計上単位と社内の管理単位が合わないことはしばしば発生します。

そのような実際の運用面は、RFP回答などの書面上でのスペックではわからないものです。自社のテストケースで登録したらどうなるかを説明してもらう、デモアカウントを付与してもらい自分で試す、といった作業が不可欠です。

 

ぜひお問い合わせください

今回の記事では請負契約の管理に必要なシステムについて解説しました。

当社のクラウド型ERP、MA-EYESは今回ご紹介した機能の多くを備えております。請負契約を管理する業務システムをお探しの企業ご担当者様は是非お気軽にお問い合わせください。

 

 

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