第四回 無駄が発生しやすい間接業務とその対処法

企業は大きく分けると「直接部門」と「間接部門」に分けることができます。

直接部門とは、会社の売上や利益に直結する開発や製造、営業部門などを指します。

間接部門とは、直接部門を支援する部門のことを指します。人事、総務、経理、情報システム部門などがこれにあたり、企業の様々な業務支援を担っています。

間接部門には給与計算や事務処理などの定型的な業務も多く、業務効率化が進めやすい部門とも言われています。

間接業務とは

間接部門が行う業務を「間接業務」と言いますが、これは直接的には会社に利益を生み出さない業務のことを指します。

上記で述べたように、人事、総務、経理、情報システム部門などが行う業務がこれに該当しますが、利益を生み出さないとはいえ、どれも会社にとって非常に重要な役割です。

どうしても売上を上げることに意識を向けてしまう経営者は多いと思いますが、間接業務の支えがあって直接業務を充実することができるので、間接業務をより効率化することは会社全体の利益につながると言えるでしょう。

 

間接業務の効率化とは

効率化とひとことで言っても、どのようなことをすればいいのでしょうか。

例えばひとつの方法としてITを導入するという方法があります。また、業務内容によっては、一部の業務だけを請け負うアウトソーシング会社を活用するという方法もあります。

営業の売上目標のような数値目標の立てにくい間接業務ですが、かかる時間や人数、コストなどを軸にして、現在の作業にかかっているトータルコストと効率化した後のトータルコストをシミュレーションして比較するなどして、どの方法を選択するのがベストかを検討してみるのもよいかもしれません。

 

業務効率化の具体的な方法

それでは具体的に、間接業務をどう効率化したらよいのかを確認します。

 

・財務会計に関する業務

企業は、自社のステークホルダ(利害関係者)へ会計情報を開示するために決算書を作成しますが、定められた会計基準に沿って作成する必要があります。

経理部門を設けていない中小企業などでは、税理士にアウトソーシングしていたり、会社の代表や他部門の担当者が経理を兼任で業務を行っているところもあります。

こうした企業では、財務会計パッケージの導入が効率化には適していると思います。

財務会計パッケージは比較的低価格のものも多く、アウトソーシングにくらべて費用を抑えることが可能ですし、パッケージの機能を上手に活用すれば決算書の作成にかかる作業負担を軽減できます。

すでに財務会計パッケージを導入している場合でも、財務会計パッケージと連携できる経費システムを導入するなどして、これまで紙ベースで処理していた経費申請をワーフクローシステムで申請承認できるようにしたり、決済された経費データを財務会計に仕訳連携できるようにして、より業務効率を高めることも可能です。

 

・人事・給与・勤怠の管理業務

人事管理に関連する管理項目は数多くあります。

社員の入社退社に関する情報、昇給昇進履歴、異動・配置転換、資格管理、スキル管理、目標管理など、細かく挙げるとまだまだあるでしょう。

社員数が多く組織体系が複雑な企業においては、部門ごとに勤務・給与体系が違うなどのことがあり、出退勤の管理、有給休暇の消化日数などの管理方法が異なり、給与計算の元となる勤怠情報の集計が煩雑となります。また、集計された勤怠情報や人事考課情報に基づき各部門の給与体系と照らし合わせて行う給与計算も煩雑となります。

こうした業務を効率的にこなすために人事給与パッケージや勤怠管理パッケージを導入するという方法があります。

これらのパッケージは様々な業種や規模の企業の人事給与、勤怠関連の業務に合わせた形で開発されているので、自社の業務に合うものが見つかれば、導入を検討してみるのがよいと思います。

人事、給与、勤怠をトータルで管理できるパッケージも多く、間接業務の効率化に有効でしょう。

 

・サーバの管理業務

一般的に企業の情報システム部門では、自社業務で利用するシステムが稼働しているサーバの管理業務が発生します。複数システムを利用している企業であれば、それだけサーバの台数が増えることになるでしょう。

そこで、こうしたサーバ管理にかかる工数の削減、更に社内業務の一元化、効率化を目的として、自社内にサーバを置く必要のないSaaS型のシステム、例えばSaaS型ERPパッケージを導入するという方法があります。

すでにSaaS型ERPのメリットは「第一回 エンタープライズ・リソース・プランニング、ERPとはなにか」にて説明しておりますが、導入することで更に、自社でサーバを管理している場合に発生するサーバの物理的なトラブル対応やバックアップ作業、定期メンテナンス、サーバルームの管理などの運用管理の必要がなくなり、情報システム部門の作業負荷は軽減することができます。

 

RPAによる様々な業務の自動化

最近、業務効率化を図る方法として、RPAというテクノロジーに注目が集まってきています。

RPAとは、ロボティック・プロセス・オートメーションの略で、ソフトウェアのロボットによってパソコンの操作など単純な間接業務を自動化するテクノロジーのことです。

RPAが得意とする作業は、主に定型的な業務で、データの収集・分析、システムのメンテナンス、メール送信作業などに活用されています。

間接業務における活用例として、別々のシステムの指定の項目の整合性チェックなどが挙げられます。例えば請求金額の管理及び請求書の発行を販売管理システムで行っていて、その元となる受注金額を営業管理システムで管理している場合、受注金額を販売管理システムに転記する際にミスが発生する可能性がありますが、請求書発行前にRPAを使って整合性をチェックするという使い方もあります。

更にERPとRPAを組み合わせて、経営者向け月次レポートを自動で作成するなど、今後様々な業務効率化の可能性を期待されています。

 

効率化の落とし穴

ここまで間接業務の効率化について述べてきましたが、ITを導入したからといってすぐに人員削減を考えると、逆に非効率になるケースもあります。

間接業務にはそれぞれ専門性が求められる部分も多くあり、作業の合計作業時間が半分になったから単純に人員も半分にとはいかないものです。

将来的に少人数化を考えるにしても、まずはIT導入後の業務を可視化し、標準化されるまでは体制を大きく変えることはせず、ある程度マニュアルが整ってから再配置を考えるのがよいでしょう。

そして、業務効率化が進んだ後に、時間に余裕のできた人員を活かして新たな戦略を立てたり、これまでかかっていた残業代をシステム投資に回すなどして、リソースを有効に活用していきましょう。

 

無駄が発生しやすい間接業務とその対処法のまとめ

間接業務は会社に直接利益をもたらさないため、コストをかけにくい業務でありますが、顧客向けの業務の品質を向上させたり、コンプライアンスを順守するために必要であったり、間接業務が直接業務を支えるからこそ利益が出せるという実態があります。それゆえに間接業務の質を落とさずに効率化を図ることは利益を支える上で大事なことと言えるでしょう。

業務効率化を行うために、社内業務の見直しや配置転換など様々な方法が考えられますが、まだIT化が進んでいない企業においては、まずはそれぞれの間接部門に適した業務パッケージの導入を検討するのが近道かもしれません。

コンピューターは手作業の何百倍のスピードで正確に処理をすることができます。もちろんすべての業務がシステム化できるわけではありませんが、システムがうまくはまる業務を見つけ出し、そこを置き換えるだけでも、目に見える効果が出ることでしょう。

最近はAIやRPAなどの技術も進んできているので、あらためて自社の間接業務の効率化を考えてみるのもよいかもしれません。