ERP × PowerAutomate を活用した電子取引データ保存の対応事例

本記事では、MA-EYES × ClimberCloud 及びWinActor×ClimberCloudを活用した電子帳簿保存法への対応事例について にてご紹介したRPAツール「WinActor」で自動化した部分を、「Power Automate Desktop」を使って対応する方法をご説明します。

MA-EYES × ClimberCloud 及びWinActor×ClimberCloudを活用した電子帳簿保存法への対応事例について

 

Power Automateについては以下の記事にて紹介しているのでこちらもぜひ。

無料で使えるRPA?!Microsoftの「Power Automate for desktop」超初心者向けにダウンロードからフロー作成方法を解説

ITで業務自動化を実現する(6) PowerAutomateでExcelを操作しよう

 

PowerAutomateによる作成例

前記事でRPAツール「WinActor」を用いて説明した部分は、「ERPでは管理しない電子取引データのファイル名を分解して、Excelに転記をし、リスト化する」部分になります。この部分をPower Automate Desktopで作成します。

初めに完成フロー全体を表示します。

◆メインフロー

◆サブフロー

設定手順

ファイルは以下の通り3つあるとします。

帳票名は「帳票フォーマット_帳票名_管理コード_取引先企業名_税込金額_日付」という並びになっています。

これをあらかじめ用意しておいた下図のようなExcelシートに項目ごとに転記する方法を説明します。

 

それでは作成方法を見ていきましょう。

まずExcelを起動しておきます。

Excelの起動を選択し、開きたいExcelを指定します。

 

次に、帳票ファイル名を変数にします。

Power Automate Desktopの「フォルダ内のファイルを取得」を実行します。

実行することで、変数「File[0]~[2]」に下記のようにファイル名が設定されます。またファイル数は%Files.count%となり、ここでは「3」となります。

次に、今回の業務フローで使う変数「NewVar」に2を、「NewVar2」に0を設定しておきます。詳細は後ほど説明します。

テキストを分割して、それぞれをExcelの指定セルに転記するサブフローを作成します。

まずテキストの分割を使ってファイル名を分割して変数にします。

分割するテキストは%Files[NewVar2].NameWithoutExtension%で、NewVar2=0であることから、先ほど作成した変数「Files[0]」のファイル名のみを抜き出したものを意味します。

ここでは「プロジェクト見積_見積書_ES23000014_テスト顧客1_10000000_20240101_」となります。

その文字列を「_(アンダーバー) 」で区切ったものが、変数「TextList[0]~[5]」に設定されます。

※ここでは上から3つのみ表示されていますが、スクロールすれば、全て表示されます。

それぞれの値は以下のようになります。

TextList[0] プロジェクト見積

TextList[1] 見積書

TextList[2]  ES23000014

TextList[3]  テスト顧客1

TextList[4]  10000000

TextList[5]  20240101

これをあらかじめ作成しておいたExcelワークシートの所定の位置に転記します。

 

まずは試しにExcelのセルA2にTextList[0]の値を転記してみましょう。

ここで先ほど設定した変数「NewVar」を使います。

現在NewVar=2なので、TextList[0]=プロジェクト見積がセルA2に転記されます。

 

フローを実行した結果、下図のように転記されました。

同じ要領でTextList[1]~[5]についてもB2~F2に転記するように設定します。

これでフォルダ内のファイル1つめについて転記が完了しました。

 

今回はファイルが3つあるので、ループを使います。

%Files.count% =3なので、3回ループしたいのですが、開始値が0なので、ここでは「0~2」となるように %Files.count-1% =2 とします。

これでループはファイルの数だけ繰り返されることになります。

 

サブフローを1回実行した後、変数「NewVar」と「NewVar2」をそれぞれ+1します。

それによって、

NewVar = 3

NewVar2 = 1

に変わります。

%Files[NewVar2].NameWithoutExtension% の値がフォルダ内の2つ目のファイル名になり、分解されたTextList[0~5]はA3~F3に転記されます。

 

フローを実行すると、下図のように電子取引データの一覧が完成します。

 

まとめ

今回は、Power Automate Desktopを利用した業務の自動化について説明しました。WinActorとは違う製品なので操作性は異なりますが、工夫をすることで同様の効果を実現することが可能です。

また、条件分岐などを使ったり、ループの中にループを入れる、サブフローの中にサブフローを入れるなどの複雑な業務フローも実現できます。

PowerAutomateDesktopは現在Windows11標準装備となっているので、興味のある方はぜひ試してみてください。

 

※Microsoft、Power Automateは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
※その他記載の商品名やサービス名は各社の登録商標または商標です。

 

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