労働者派遣契約の電子化とは、メリットや注意点を紹介

労働者派遣契約(派遣元である人材派遣会社と労働者を派遣してもらう派遣先の間で締結される契約)について、2021年1月に法改正がありました。これまでは書面で作成する必要があると考えられていましたが、2020年10月9日公布、2021年1月1日施行の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則及び厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う 書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部を改正する省令」によって、労働者派遣契約の電子化が認めらました。

本記事では、労働者派遣契約についてのご説明、電子化に関する法改正、及び電子化によるメリットや注意点について紹介します。

労働者派遣契約の基本契約と個別契約とは

人材派遣会社が企業に人材を派遣する場合、派遣元と派遣先は、業務内容などをまとめた労働者派遣契約を締結します。

労働者派遣契約には基本契約個別契約があります。この2つは、契約の性質や締結のタイミングなどが異なります。

それぞれの契約について確認してみましょう。

基本契約とは、派遣元と派遣先が取引を行う旨の契約で、主に企業間のトラブルを回避するために締結されますが、労働者派遣法では締結や保管が義務付けられておりません。ですが、派遣会社が企業に人材を派遣する際は、リスクを回避するために基本契約を締結するケースが一般的になっています。

 

個別契約とは、派遣元と派遣先との契約であることは基本契約と同じですが、個別の業務内容など具体的な内容をまとめた契約であり、こちらは労働者派遣法で締結・保管が義務付けられております。労働者派遣法第26条に定められた内容を含める必要があり、主な項目は下記になります。

このように、基本契約が企業間トラブルの回避のためのものであるのに対して、個別契約は派遣社員を守る意味合いのもの、という点で違いがあります。

契約を締結する流れを見ていきましょう。まず契約内容を確認して、基本契約を締結します。次に派遣先が派遣元に対して事業単位抵触日を通知します。

抵触日通知とは、派遣法で定められた事業所単位の派遣受け入れ期間を超えないようにするための措置で、派遣契約の締結及び事業所抵触日の延長の際に派遣先企業から派遣元に対して通知する義務があります。派遣元は通知を受けないと個別契約ができません。

そして、派遣を受け入れるごとに派遣先と派遣元の間で個別契約を締結していく、というのが大きな流れになります。

 

この基本契約と個別契約を締結する契約の流れを図示すると以下のようになります。

労働者派遣契約の電子化について

労働者派遣法施行規則 第21条第3項 では、労働者派遣契約締結に関する手続きとして、下記のとおり定められています。

第21条
3 労働者派遣契約の当事者は、当該労働者派遣契約の締結に際し法第二十六条第一項の規定により定めた事項を、書面に記載しておかなければならない。

この規則より、労働者派遣契約の締結は、書面での記載が必須であり、電子での締結が認められないものと解釈されてきました。

ですが、2021年の1月1日施行の改正により、下記記載がありました。

労働者派遣契約に係る事項の電磁的記録による作成について(e-文書省令別表2)

労働者派遣契約の当事者は、施行規則第 21 条に基づき、労働者派遣契約に係る事項について、 書面に記載しておかなければならないこととされているが、電磁的記録により作成することを認めることとする。

(引用: 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行 規則の一部を改正する省令案等について

このe-文書省令の文言により、労働者派遣契約の電子化が認められました。

 

※e-文書省令とは、e-文書法の施行に伴い、 厚生労働省所管の法令について、電磁的保存等を行う範囲、要件等を定めるために、制定されたものです。

※e-文書法とは、民間分野において法律によって保存が義務付けられている様々な文書に対して、電子文書による保存を容認し、書面の保存等に係る負担の軽減等を通じて国民の利便性の向上を図ることを目的とする法律です。e-文書法の正式名称は、2005年4月に施行された「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の2つの法律を指します。

 

労働者派遣契約の電子化によるメリットと注意点

これまで、労働者派遣契約、特に個別契約は、契約の期間が短く、度々に再締結が必要となるため、他の雇用契約書と比べてその契約書の数が膨大になる傾向があり、その分管理業務が煩雑になるという問題がありました。

2021年1月1日施行の法改正によって、電子データでの作成が可能になったため、紙の管理を行う手間が軽減され、労働者派遣契約を締結する当事者としては、業務がやりやすくなったと考えられます。

具体的なメリットとしては

  1. 書面によるやりとりが無くなることによりペーパーレス化が進められる
  2. 印刷代や郵送代、紙の保管コストが低減できる
  3. 契約にかかるやりとりの工数が削減できる
  4. テレワーク環境下でも対応できる

このようなメリットの結果として業務効率化が期待できます。

 

また、電子化する際の注意点として、電子署名法や労働基本法などの法律を遵守する必要があります。例えば、電子化した契約者の署名は本人だけが行うことができるようになっていること(電子署名法第3条)、派遣登録者に交付する就業条件明示書等を電子化する際は、相手の同意が必要であること(労働基準法施行規則第5条第4項)などがあげられます。

 

これらの注意点に気を付けつつ、上記メリットを享受できるよう、契約の電子化を進めていきましょう。

電子契約の安全性について

今回の法改正を期に、労働派遣契約において電子契約が進んでいくと思われますが、労働者派遣契約に限らず、契約を電子化することで、安全性に関する問題が出てくると思います。これらの問題は、電子契約システムを導入することで対策を取っている企業が多いようです。

電子契約システムは、契約書など重要な書類をクラウド上でも安全にサインができるように作られたシステムですので、上記メリットで挙げた、契約にかかる工数削減やペーパーレスだけでなく、セキュリティ面においても利用価値はあると考えられます。

その代わりに、システムを導入するのにコストがかかったり、業務フロー変更や運用ルールの見直しが必要になるといった課題も出てきます。

電子契約システムは様々な製品が販売されているので、自社に合う製品を調査し、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

参考記事:

契約のスピードアップだけでなくコスト削減や業務効率化にも効果あり!電子契約サービスのすすめ:ITツール・サービス徹底比較
電子契約書の作り方 メリット・デメリットやシステム選定のポイントを解説

 

MA-EYES 派遣機能のご紹介

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MA-EYES機能紹介:人材派遣機能
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まとめ

労働者派遣契約は、これまで紙での作成が必要だったため、再締結の多い個別契約は特に契約にかかる工数や費用の負担が大きかったと思います。ですが2021年1月1日施行の法改正により電子化が認められ、そこにかかる工数を削減できた企業も多くあるようです。また、それに合わせて新たに電子契約システムを導入して、労働者派遣契約に関する業務を効率化できた企業もあるでしょう。

法改正となると、運用ルールの変更や、それに伴うシステム導入などの負担もありますが、それにより業務効率の改善が進められる可能性もあると思います。こうした法改正を期に社内で行われている業務を見直して、様々な紙での業務を電子化できないか検討するのもいいかもしれません。

 

※本記事の正確性については最善を尽くしますが、これらについて何ら保証するものではありません。本記事の情報は執筆時点(2023年1月)における情報であり、掲載情報が実際と一致しなくなる場合があります。必ず最新情報をご確認ください。

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