統合型業務管理システムで管理する案件毎の原価管理について

企業の利益を正しく管理する上で非常に重要な要素として、発生した原価を正しく管理することが挙げられます。また、工事進行基準を用いて売上を計上している場合や案件毎の収支を把握するためにも正確な原価管理は必要です。

Excelや業務に特化したシステム(販売管理や勤怠管理、経費管理など)を用いて原価を管理することはもちろんできますが、情報が分散していると事業規模の拡大に伴い管理する案件数が多くなるにつれ、各種情報の管理に負荷が生じることや正確な原価管理が困難になるといった課題が発生します。

そこでこの課題を解決するために検討が必要になるのが統合型業務管理システム(ERP)の導入です。

今回はシステム開発業や広告業において、分散している原価情報を統合型業務管理システムにてどのように管理すべきかを紹介します。なお業務を管理する単位として、案件やプロジェクト、契約、受注、物件など企業により様々の呼び方がありますが、本記事では「案件」と表現します。

システムにて各種情報を管理するその前に

さまざまな情報管理の負荷軽減や正しく原価を管理することを目的にシステムの導入を検討する際、誰がどの機能をどこまで利用することを許可するのかといった権限設定や、機能毎のワークフロー設定(承認ルート及び承認者の設定)など、内部統制上必要となる設定について予め検討しておく必要があります。

 

管理すべき原価について

発生する代表的な原価として、システム開発業であれば人件費や外注費、広告業であれば広告枠などの仕入が挙げられます。

 

案件毎の人件費を正しく管理するには

まず案件毎の人件費についてみていきましょう。案件毎の人件費を把握するためには案件毎の作業時間が必要です。

作業時間を正しく管理するための方法には、勤務時間と作業時間を一致させることがあります。具体的には、出勤・退勤時刻から休憩時間を除いた作業時間を計算し、計算された作業時間を案件毎に割り振ることで、案件毎の作業時間を正確に管理する方法です。

 

システムを導入していない場合、作業時間を割り振る案件を登録された多くの案件の中から選択しなければならず、本来割り振るべきではない他の案件に作業時間を登録してしまうなどの誤りが発生する可能性がありますが、統合型業務管理システムであれば自身がアサインされた案件を割り振り対象として表示させることもでき、それにより誤登録の防止や登録時の負荷も軽減することができるようになります。

企業によっては統合型業務管理システムを導入しているものの、作業時間の管理は専用のシステムを利用している場合もあります。

その場合は作業時間を連携させることで案件毎の人件費を管理する必要がありますが、注意点としては作業時間を管理しているシステム側に統合型業務管理システムにて管理している案件コードが必要になる、ということです。

なぜなら折角作業時間を取り込んでも、どの案件に紐づけていいのか判断する情報がないと案件毎に人件費を紐づけることができないからです。

また、システムによってはリアルタイムに情報を連携させることも可能な場合もありますが、バッチ処理によるファイル連携の場合では情報が反映されるまでにタイムラグが生じるため、連携のタイミングや人件費を確認するタイミングについても検討が必要です。

 

登録または取り込まれた作業時間にて案件毎に人件費を計算しますが、計算方法としては標準単価を用いたものと、実際に発生した給与情報を用いたものがあります。

新たにシステムを導入する場合には、そのシステムが現状の人件費計算方法を踏襲できるのか、できない場合には会社としてどこまでシステムに合わせて変更できるのか、などの検討も必要です。

 

当社が開発及び販売を行っているプロジェクト毎の原価管理をメイン機能としたクラウド型ERPパッケージシステム『MA-EYES(エムエーアイズ)』の「作業実績・勤怠入力」機能では、1つの画面で勤務時間から計算された作業時間を案件毎に割り振ることが可能です。

MA-EYESを導入している多くの企業でこの機能をご利用いただいていますが、勤怠・工数管理に特化した別のシステムを利用している場合もあります。

その場合の連携事例として、「MA-EYESにて採番された案件コード情報を勤怠・工数管理システムへ引き渡す」、「案件毎に作業時間を登録した後にMA-EYESへ作業情報を取り込む」などにより案件毎の人件費を管理するなどがあります。

人件費の計算方法については標準単価を用いたものと実際に発生した給与情報を用いたものがありますが、MA-EYESでは月中では標準単価と作業時間にて人件費を計算・原価として管理し、給与情報が確定したらその情報を取り込み、案件毎の作業時間にて案分、標準単価で計算された人件費と置き換える機能も搭載しています。

勤怠情報より作業時間を計算し、案件毎に割り振ることが可能です

案件毎に経費や外注費を正しく管理するには

経費や外注費については人件費の管理と同様に、案件毎に管理する必要があります。

システムを利用していない場合や経費管理に特化したシステムにて管理している場合は、発生した経費や外注費を何らかの方法で案件毎に紐づけなければ案件毎の原価として管理することができませんが、統合型業務管理システムであれば案件や経費情報の管理を一元的に行うことが可能なため、申請者が経費を申請する際に登録された案件を指定するだけでその原価として紐づけることが可能になります。

また、システム開発業での代表的な外注費として挙げられるのがSES契約(システムエンジニアリング契約)での外注費です。

SES契約では作業時間により外注費が変動しますが、その計算をシステムにて行わない場合、担当者は外注エンジニアより提出された作業実績と精算条件(基準時間や超過・控除単価)を確認し手動で計算する必要があります。

統合型業務管理システムであれば精算条件などの契約情報も登録されているため、その情報と作業時間より外注費を自動で計算することが可能なシステムもあり、外注費計算の負荷軽減や正確な原価計算が可能になります。

 

MA-EYESでは経費申請の際、申請する明細毎に案件を指定することができるので、1度の申請で異なる案件の経費を登録することができるため、集計担当者だけでなく、申請者の負荷も軽減されます。

もし他システムにて経費や外注費を管理している場合、人件費の管理と同様にそのシステムから案件コードが含まれた経費情報を連携させる必要がありますが、MA-EYESでは会計データ取込機能により、外部システムで登録された経費情報(仕訳情報)を案件毎に取り込むことができます。

SES契約案件についても案件情報を登録する画面にて精算条件についても登録することができるため、その情報と登録または取り込まれた作業時間により請求金額及び仕入先への支払金額の計算が可能です。

また、交通費を申請する場合には株式会社ヴァル研究所が提供する駅すぱあとと連携をすることで、ユーザマスタに予め登録しておいた定期区間を控除した交通費を自動で正しく計算し、申請することができます。※『駅すぱあと』は株式会社ヴァル研究所の登録商標です。

経費明細毎に異なる案件を指定し経費を申請することが可能です

 

広告業での代表的な原価は媒体より仕入れた広告枠です。

広告枠の広告名や単価などの情報は多くの場合共通化することができ、マスタ化することも可能です。

システムを導入していない、もしくはマスタ化できていない場合、同一の広告枠であっても入力者により異なる広告名や単価で管理され集計や分析が困難であったり、正しくない情報で取引が行われる可能性があります。

正しく管理するためにも販売または仕入を行う広告枠をマスタ化し情報を共通化することが必要です。

 

MA-EYESでは案件毎に仕入予定や仕入実績を管理することができ、売上予定に対する仕入予定を1つの画面でわかりやすく確認することも可能になっています。

また商品マスタにて売上と仕入を予め紐づけた状態でマスタ化することができるため、案件情報の登録が行いやすく、業務の効率化にも貢献します。

登録された仕入情報から仕入先への発注や納品されたものの検収などの実績も登録することも可能です。

1つの画面で売上情報と仕入情報を紐づけて管理することが可能です

 

工事進行基準での売上計算を正しく行うには

工事進行基準にて原価比例法(案件毎に計画された原価予算に対し、発生した原価の実績にて進捗率及び売上を計上する方法)での売上計算を正しく行うためにも、案件毎の正確な原価管理は必須となります。

また、Excelや業務毎のシステムにて各種情報を管理している場合はそれぞれから必要な情報を集約し進捗率や売上を計算する必要があるため、売上計算時の負荷や正確性が課題として挙げられますが、統合型業務管理システムでは基本的には全ての情報を集約することができるため、進行基準売上などの複雑な計算も負荷なく正確に行うことが可能になります。

 

MA-EYESでは案件毎に登録された予定原価と、同じく案件毎に登録された実績原価により、システムにて進捗率や売上を正確に計算することが可能なため、挙げられた課題に対し貢献することが可能です。

 

配賦について

複雑な計算を必要とする配賦処理についても工事進行基準での売上計算と同様に、分散された情報を集約し計算を行う場合ではそれを行う担当者の負荷が高くなることや配賦結果の正確性が課題として挙げられます。

配賦機能が搭載されたシステムであれば、システム内に登録された各種実績と配賦ルールにより、進行基準売上と同様、自動且つ正確に配賦処理を行うことが可能になります。

配賦ルールについては企業毎に異なるので、システム導入を検討しているまたは現行システムのリプレイスを検討している場合には、現状の配賦ルールが新システムで対応しているのか、対応していない場合にはどのように運用をするのかなどを検討する必要があります。

 

MA-EYESでも配賦機能は搭載されており、設定された配賦パターンに従い配賦処理を実行することが可能です。配賦基準の設定としては、人数比や工数比などの実績値より配賦率を設定するものや、パソコン台数比や面積比など配賦比率を手動で設定するもの、売上高などの実績金額より配賦率を設定するものなどがあります。

 

月次締め処理について

月次の締め処理についてはシステムを導入した場合でも、運用ルールを定めた統制は必要です。

多くの企業では、締め処理後に実績が計上されることがないように業務毎に締め日を設け締めていき、最後に会計の締め処理を行うといった運用ルールの徹底とシステムの制御により月次の締め処理を実施しています。

システムによっては仮締め機能にて仮締めを行い、問題ないことを確認した後に本締めを行うものもあれば、仮締め機能はない代わりに承認が漏れているなど不備があるとエラーとなり締め処理ができないもの、締め処理後に不備があった場合には締め処理の解除を行い正しい情報を登録した後に再度締め処理を行うことのできるものなどがあります。

 

MA-EYESの月次締め処理機能では運用ルールに従い各種業務毎に締め処理を行うことができ、締め処理後は対象月に実績を計上できない仕様になっています。締め処理後に不備が見つかった場合には締め処理の解除も可能です。また、同機能にて売上や売掛金の計上や、各種機能にて登録または連携された原価実績より仕掛や原価の計上も行うことができます。

 

確定した実績を利用した分析について

統合型業務管理システムには標準機能として分析機能が搭載されていることが多く、各種情報がシステムに集約され最終的に確定された実績データを利用し、案件や組織、得意先などの単位で利益や売上を集計し確認することができるのも、導入の大きなメリットになります。

 

MA-EYESには分析機能が標準搭載されており、画面にてグラフィカルに分析結果を表示することや、出力条件を基にピボットが組まれたExcelを分析帳票として出力することの他、データベースから必要な情報を画面表示及びExcelにて出力する機能もあります。

案件毎に原価の予実や収益を確認することが可能です

最後に

今回は案件毎の原価管理をシステムにてどのように管理すべきかについて紹介しました。

案件毎の原価管理について、システムを用いてどのように管理すべきか課題を持たれている方々に参考情報として本記事が少しでも役立てば幸いです。

 

また、記事の中でご紹介したERPパッケージシステム『MA-EYES(エムエーアイズ)』についてご興味いただけましたら、下記よりお気軽にお問い合わせください。

 

 

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筆者プロフィール

fmhy
fmhyビーブレイクシステムズ
統合型基幹業務パッケージ(ERP)「MA-EYES(エムエーアイズ)」 及びクラウド上で提供されているマネジメントツールをご提案する「コネクテッド・クラウド」の営業を担当しております。

MA-EYES:https://www.bbreak.co.jp/maeyes/
コネクテッド・クラウド:https://www.bbreak.co.jp/connectedcloud/

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