電子請求書対応状況の現状と製品のご紹介:ITツール・サービス徹底比較

請求書電子化の動き

電子帳簿保存法が改正され、テレビCMなどでも電子請求書関連の製品が多く見られるようになりました。

法改正とあって、各社、システムの導入や、運用の見直しなど、様々な対応に追われていることと思いますが、電子請求書に対応することで、請求書発行や郵送コストの削減、Web上での作成による業務効率化などのメリットもあるので、これを機に前向きに業務を見直してみるのもよいと思います。

 

電子請求書のやり取りの方法としては、

  1. メールでの送信
  2. クラウド上へアップロードしたものをダウンロードしてもらう
  3. クラウドシステムを使い、クラウド上で電子データをやりとりする

といった方法がありますが、1の場合は誤送信やセキュリティリスクの不安がありますし、2の場合はアップロードした後でパスワードやアドレスをメールで送信するなどの手間が発生します。

こうした問題を解決するために、クラウド上で電子データをやりとりできるシステムを導入する企業が増えてきているようです。

 

企業が請求書の電子化を進めても、取引先がすべて電子請求書を受け入れるとは限らないので、紙での郵送も必要になるケースが多くありますが、電子請求書システムの中には、紙が必要な取引先へは郵送対応可能、というサービスを含むものもあるので、そうしたサービスを活用するのもよいでしょう。

 

電子請求書についてはこちらの記事もご覧ください。

もう請求書を紙に印刷し印鑑を押す必要はない?電子請求書とは~概要とサービス紹介~

加速する電子請求書 最近の動きとサービス紹介

 

請求書電子化の実施状況

2022年1月の電子帳簿保存法改正により電子での保存が義務化されましたが、電子取引の保存要件を満たせないやむを得ない理由がある場合には従来通り書面での保存を認められる、いわゆる猶予期間が2年間与えられたことで、この期間内に法対応の準備を進める必要があるということになります。

 

2024年1月の電子取引データ保存の厳格化に向けて、実際、企業での請求書の電子化は進んでいるのでしょうか。

キーマンズネットの調査によると、以下のような結果が出てています。

業務で利用している帳票の管理形式について聞いたところ「部分的にデータ化しているが、紙に出力して管理している」が44.9%、「部分的にデータ化しており、紙はスキャンしてデータ化して管理している」が39.6%、「全てスキャンしてデータ化しており、データのまま管理している」が9.8%、「全て紙で運用し、紙で管理している」が5.8%となり、まとめると全体の94.2%で“部分的”にでも帳票のデジタル化を実施済みであることが分かった。

キーマンズネット より)

最終的な帳票管理形式がデータか紙かという質問に対しては、ほぼ同数であったようです。電子帳簿保存法の改正により、法的な縛りは緩和されたものの、「業務運用ルールが紙での管理となっている」、「承認印が必要」、「取引先が紙を要求している」などの理由により、紙での運用がやめられない企業が多いようです。

 

電子請求書システムのご紹介

ここで、いくつかの電子請求書に関する製品を見てみましょう。電子請求書以外のほかの機能を搭載している製品もありますが、今回は“電子請求書”にフォーカスして製品を掘り下げていきます。

 

ClimberCloud(株式会社NTTデータビジネスブレインズ)

https://pandora-climber.jp/about/invoice.html (Web請求機能)

【概要】

ClimberCloudは、電子帳簿保存法対応で、公的文書として保存が可能なシステムです(JIIMA電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証取得、JIIMA電子帳簿ソフト法的要件認証取得)。

その中の「Web請求機能」では請求作業におけるコストの削減、業務の効率化、人的ミス低減につながり、利用中の基幹システムやワークフローとの連携が可能です。Web上で請求書を作成したり、請求書のPDFをアップロードした文書を、紙の請求書を郵送する代わりに、お客様に送信することができます。発行企業からPDFをアップロードすれば、受取企業へメール送信し、受取企業は、記載されたURLよりClimberCloudへログインし、PDFファイルを閲覧・ダウンロードすることができます。

https://pandora-climber.jp/about/invoice.html に掲載の情報をもとに筆者作成)

【電子帳簿保存法・インボイス対応】

国税関係帳簿・書類・電子取引に関する情報をClimberCloudで一元管理し、各種法要件に対応することが可能です。ClimberCloudはインボイス制度・タイムスタンプ対応・JIIMA法的要件認証取得済みのサービスです。適格請求書の受領・送付・保管が可能です。

 

【料金】

月額基本料金900円から利用可能です。

Web請求(月額利用料金): 100までの取引の場合は基本料金のみ、それ以上は利用状況に応じた従量制です(例えば101から250までの場合は5000円など)。ほかにも年額前払いプランもあります。

電子取引・スキャナ書類保存(月額利用料金): 100までのファイルの場合は基本料金のみ、それ以上は利用状況に応じた従量制です(例えば101から250までの場合は5000円など)です。ほかにも年額前払いプランもあります。

 

詳しい情報は以下をご確認ください。
https://pandora-climber.jp/price/

 

ClimberCloudは、他にも確実な運用をサポートする「導入支援サービス」、電子帳簿保存法の専門コンサルをうけることがきる「コンサルタント支援サービス」、各種サービスとの連携が可能な「WebAPI連携」などのサービスも提供しています。

 

invoiceAgent(ウイングアーク1st株式会社)

https://www.wingarc.com/product/ia/

【概要】

invoiceAgentは、企業間で流通する帳票の最適化を実現し、ビジネスを加速させる電子帳票プラットフォームです。拡張性が高く、複雑化する社内システムとの連携も自由自在です。

invoiceAgent文書管理では、あらゆる帳票の仕分けから保管、検索、他システムとの連携も可能な文書管理ソリューションです。電子帳簿保存法に対応した安心の電子文書管理を実現し、コスト削減、ガバナンス強化、ペーパーレス化を推進します。

invoiceAgent電子取引では、取引帳票の送受信から管理までを一括で行えるクラウド型の電子取引ソリューションです。自社に最適な帳票フォーマットはそのままに、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応を実現し、帳票を通じた企業間の取引を加速します。

 

【電子帳簿保存法・インボイス対応】

電子帳簿保存法の電子取引要件に完全対応を予定しています。また、電子インボイスの規格であるPeppol経由のデータ送受に対応予定です。また、受領した適格請求書のデータ化や適格請求書発行事業者の登録確認も可能です。

(参考: https://www.wingarc.com/product/ia/transact/

 

【料金】

invoiceAgent 文書管理 : 初期費用0円+月額3万円/10ユーザー(税別)~

invoiceAgent 電子取引 : 初期費用20万円~ + 基本料金(月額)4.5万円~(配信数700通/月) + 追加料金(配信数700通以上は利用した配信数に応じた従量課金制)など

詳しい情報は以下をご確認ください。
https://www.wingarc.com/product/ia/price/index.html

 

 

Misoca(弥生株式会社)

https://www.misoca.jp/enterprise.html

【概要】

Misocaは見積・納品・請求書の作成・送付・管理をクラウド上で行うことで、バックオフィスの業務を効率化するクラウド見積・納品・請求書サービスです。見積書・納品書・請求書を1分で作成することができ、自動作成予約をすれば請求書の作成をさらに時間短縮することができます。「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」に対応した証憑の発行が可能です。Misocaで作成した請求書は、ワンクリックで取引先へメール送信ができます。また郵送サービス(オプション)を使えば、一切の手間をかけずに郵送を済ませることもできます。

 

【電子帳簿保存法・インボイス対応】

請求書、納品書、見積書で適格請求書等保存方式(インボイス制度)形式の文書の作成ができます(参考: https://support.yayoi-kk.co.jp/faq_Subcontents.html?page_id=26740 )

適格請求書発行事業者の登録番号の設定が可能です(参考: https://www.misoca.jp/blog/update_20210914 )。

 

【料金】

無料プラン、小規模法人向けのプラン(月額基本料金800円)、複数人で管理したい法人向けのプラン(月額基本料金3,000円)、さらに多くの請求書が作成可能なプラン(月額基本料金10,000円)などが用意されています。

詳しい情報は以下をご確認ください。
https://www.misoca.jp/plan.html

 

 

奉行Edge 請求管理電子化クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

https://www.obc.co.jp/bugyo-edge/invoice

【概要】

あらゆる基幹システムとつながり、請求書業務を自動化できます。独自フォームの請求書のデジタル化やタイムスタンプ自動付与、紙請求書の郵送代行(オプション)、デジタルインボイスPeppolに対応予定などの特徴があります。

 

【電子帳簿保存法・インボイス対応】

奉行クラウドはインボイス制度・電子インボイスに、2023年1月頃から順次対応予定とのことです(参考: https://www.obc.co.jp/landing/bugyo-invoice )。

 

【料金】

月額あたり利用料7000円(年間利用料84000円)から利用できます。

詳しい情報は以下をご確認ください。
https://www.obc.co.jp/bugyo-edge/invoice/price

 

 

まとめ

電子帳簿保存法の改正により、企業は請求書の電子化を進める必要がでてきております。とはいえ、紙での保存要件が緩和された現在においても、これまでの社内ルールや、取引先の要望などにより、紙運用をやめられない企業はまだまだ多いようです。しかし、請求書の電子化はこれから更に進むとみられ、それに伴う新システム導入、社内の運用ルール見直しが必要になることは間違いないでしょう。

電子帳簿保存法改正に関する情報は、セミナーやサイト上でも多く手に入りますので、自社の課題を洗い出し、それを解決できるシステムや運用ルールを検討し、猶予期間内に請求書の電子化を進めていただければと思います。

 

 

※ClimberCloud は株式会社NTTデータビジネスブレインズの登録商標です。
※invoiceAgentは、ウイングアーク1st株式会社の登録商標または商標です。
※Misocaは、弥生株式会社の登録商標または商標です。
※勘定奉行, 奉行クラウド および 奉行V ERP は、株式会社オービックビジネスコンサルタントの登録商標または商標です。
※掲載されている商品名またはサービスなどの名称は、各社の商標または登録商標です。

※本記事の正確性については最善を尽くしますが、これらについて何ら保証するものではありません。本記事の情報は執筆時点(2022年10月)における情報であり、掲載情報が実際と一致しなくなる場合があります。必ず最新情報をご確認ください。

 

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