2030年には市場規模150兆円超えも!?今、大注目の仮想空間「メタバース」とは<デジタルトランスフォーメーションを考える37>

Facebook社が社名を変更してまで取り組むメタバース

2021年10月28日、Facebook社が社名を「Meta(メタ)」に変更しました。マーク・ザッカーバーグは社名の変更に理由について「今後はメタバース事業に注力し、メタバースファーストを目指すため」と語っています。

メタバースとは、「メタ(高次元の)」と「ユニバース(宇宙)」を組み合わせた造語で、インターネット上に構築された仮想空間を意味します。メタバースでは、アバター同士で交流したり、ゲームをしたり、音楽ライブを鑑賞したりすることができる新たな消費空間として期待が高まっています。コロナ禍をきっかけに、遠く離れた従業員が共同作業するバーチャルオフィスとしても注目を集めています。ゴーグル型の仮想現実(VR)機器を使用することで、より現実に近い感覚を得ることができます。

 

Facebook社はVRヘッドセットを販売していたOculusを2014年に買収し、この分野への投資を進めていました。そして2021年、メタバースに100億ドル(約1兆1000億円)を投資し、欧州では5年間で1万人を採用して事業を推進しようとしています。今回は満を持しての社名変更ということのようです。

 

仮想空間というと、2000年代半ばに流行した「セカンドライフ」を思い出す人も多いかもしれません。仮想空間で交流したり、土地を売買したりというのは、メタバースの世界観とも共通するところですが、当時はまだスマートフォンが普及していない時代。パソコンの性能も追いついていなかったり、企業の参入ばかりが先行して仮想世界が広告だらけだったりという状況から利用者数が思うように伸びず、下火になってしまったようです。

 

今、仮想空間が改めて高い関心を集めている背景には、高速通信規格「5G」の普及が本格化し、3Dなどデータ量の大きい情報を瞬時にやりとりできるようになっていることがあります。モバイル通信の環境がさらに進化し、スマートフォンも高性能化していること、VRヘッドセットが発達し、比較的安価に入手できるようになったことなどが、メタバースの進化を後押ししています。よりリッチな体験を数万人規模が同時に体験できるメタバースには、さまざまな分野からの期待が高まっており、PwCは2030年までに世界経済に1.5兆ドル(150兆円)の経済効果をもたらすと予測しています。

 

世界中のテック企業が進出をねらうメタバースの代表事例

コミュニケーション

長引くコロナ禍で、リモートワークやZoomなどのビデオ通話アプリを利用した会議が当たり前となりました。どこにいても世界中の誰とでもつながり、仕事ができるという認識が一般社会に広がっていることも、メタバースの発展に大きな影響をもたらしています。

 

「Horizon Workrooms」はMeta社がベータ版として提供しているバーチャルオフィスサービスです。利用者は自分のアバターを作成して仮想オフィスを歩き回り、ほかのアバターと会議室で会議を行ったり、自分のデスクで仕事をしたりすることができます。このサービスはVRヘッドセットをつけることを前提として作られています。

「Horizon Workrooms」のイメージ動画が公開されています。

https://www.youtube.com/watch?v=lgj50IxRrKQ&t=3s

 

マイクロソフト社も11月2日に「Mesh for Teams」というサービスを発表しました。企業におけるコミュニケーション・コラボレーションツールであるTeamsで3Dアバターを利用できるようになるというものです。プレスリリースによると2022年前半にプレビュー版の提供が始まるそうです。

こちらも動画が公開されています。

https://www.youtube.com/watch?v=lLPYSsqyukk&t=118s

 

バーチャルオフィスだけではなく、多種多様なイベントでもメタバースの活用が始まっています。VRChatは、2017年にリリースされたアメリカ発のサービスです。現在、全世界で43万人のユーザーを抱えており、VR上で友人たちと交流したり、イベント会場として利用したりと、大きな盛り上がりを見せています。ボイスチャットを通して実際に会話することはもちろん、身体の動きをトラッキングし、アバターが身振り手振りをしながらコミュニケーションを取ることも可能で、VRヘッドセットを使用すれば、まるで目の前に人がいるかのような感覚を味わうことができます。最近は展示会としての利用が注目されているほか、結婚式を挙げるカップルなどもいるようです。

 

日本企業ではクラスター株式会社が、同じく2017年から仮想空間のイベントルームでユーザーがコミュニケーションできるclusterというサービスを展開しています。コロナ禍では渋谷のスクランブル交差点を仮想空間上に再現し、ハロウィンイベントを開催。イベントで発生した収益を渋谷区に寄付するなどの取り組みを行いました。また三井住友海上株式会社は2021年度の入社式をclusterで開催し、新入社員は全国各地からオンラインで参加したことでも話題となりました。

 

ゲームやコンサート

ブロックチェーン技術を基盤としたNFTゲームもメタバースへと進出しています。

The Sandbox、Decentralandなどのゲームでは仮想世界の中の土地、アバター、アイテムなどいろいろなものがNFTとなっており、マーケットで売買することができます。

(NFTについての解説は 今、世界中が注目するデジタル資産「NFT」とは をご覧ください)

 

また、バーチャルライブプラットフォームのWaveなども注目を集めています。コロナ禍では多くのミュージシャンがオンラインライブを行いました。実際のライブの配信と違って、ミュージシャン自信もアバターとなるバーチャルライブでは、参加者(のアバター)も会場に参加し、ペンライトを振ったり、拍手をしたりして一体感を感じられること、また仮想空間ならではのステージ演出が可能となるところが大きな魅力のようです。

 

メタバースの発展はハードウェアの開発も推進

メタバースの発展には、ソフトウェアだけではなくハードウェアの進化も重要です。OculusをはじめとするVRゴーグルやユーザーの身体の動きを仮想空間上で再現するためのウェアラブルデバイスなど、さまざまな製品が生まれはじめています。

 

また、大人数によるリアルタイム双方向通信や仮想シミュレーションなどを活用するメタバースは、既存のインターネットよりもさらに複雑な世界となります。そのため、より強力なデータ処理、膨大なデータを転送できるネットワーク環境、およびハイパフォーマンスのVRデバイスが必要です。そうしたニーズが半導体メモリや高度な半導体プロセス、5Gテレコミュニケーション、およびディスプレイテクノロジーの開発を推進しようとしています。ビデオゲームのブームに乗って急成長し時価総額でインテルを抜いたチップメーカー、エヌビディアもメタバースの進展に強い関心を寄せています。

 

通信環境やスマートフォンの進化を背景に、あらゆる人が手軽にインターネットサービスにアクセスできる時代になり、コロナ禍によってその流れはさらに加速しました。人と人との接触や移動が大きく制限されている今、メタバースで体験できるは一体感、共体験は大きな魅力でもあります。今はまだ「特別な体験」というイメージが強いですが、いずれは人々のコミュニケーション手段の中心となる可能性も秘めています。その一方で、ルールや規制などの整備が間に合っていないという課題もあります。

 

経済産業省は2021年7月に「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業」の報告書を取りまとめました。国の動きとしては非常に速い印象ですが、それだけ社会への影響力が大きいことが感じられます。今後、企業のみならず医療・教育・芸術などさまざまな分野におけるサービスが進出し、新たな経済圏をつくることが予想されるメタバース。経済産業省のレポートを読むと解決すべき課題はたくさんあるものの、これからどのように進化していくのか、大注目の分野です。

 

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