ERP導入の勘所(5)ミスが発生しやすい業務と注意すべきポイント

業務を行う上で、人為的なミスはどうしても起きてしまいますが、できることならなくしたいものです。ゼロにするのは難しいかもしれませんが、できるだけ発生しないようにする、もしくはミスが起きても修正できるような仕組みがあるほうがよいでしょう。

今回は、人為的なミスが起こりやすい業務とその対処法について、確認します。

主な人為的ミス

ミスにも様々な種類がありますが、大きく分けると

・目的を間違える

・やるべきことを忘れてしまう

・確認不足

この3つが代表的なものと言われています。

それぞれについて見てみたいと思います。

 

目的を間違える

指示者と作業者とのコミュニケーション不足によって指示が正確に伝わっていなかったり、作業者が間違えて認識してしまい、その後も指示内容の再確認を行わず目的を間違えたまま作業が進んでしまうケースがあります。

こうしたミスを防ぐには、やはり報告や会話の頻度を増やすことがよいでしょう。

作業者は定期的な報告・連絡・相談をしっかりと行えば、間違っていたとしても手戻りが小さいうちに修正することが可能です。また、普段の会話の中で指示者から作業者に進捗状況を聞いてみたり、内容について困ったことはないかと声をかけることで発見できるミスもあるかもしれません。気になることがあればそれとなく話してみることも有効でしょう。

 

やるべきことを忘れてしまう

これはいわゆる「うっかりミス」にあたります。

例えば会議で使う資料を作成するとき、仕事を覚え始めの頃は、メモやマニュアルを見ながら慎重に資料を作成しますが、ある程度業務に慣れてきた頃になるとつい油断して、必要な資料をひとつ作成し忘れてしまったり、調査項目が抜けてしまっていたり、文字通り「うっかり」忘れてしまうことが起きやすいようです。

こうしたミスの対策として代表的なのは、業務チェックシートの作成及びチェックの習慣を付けることでしょう。

チェックシートは表計算ソフトなどで作成して、紙に印刷して管理してもいいですし、パソコン上で管理しても問題ありません。常に現在のタスクを一覧で見える状態にしておくことがポイントでしょう。

優先度の高いものは特に漏れることのないように、工夫して見やすいチェックシートを作成しましょう。

確認不足

仕事上のミスで一番多いと言われているのがこの確認不足によるミスです。業務の性質によっても変わりますが、確認漏れをしがちな業務においては特に気をつける必要があります。

有効な対策として、作業者とチェック者を別に設けることが挙げられます。作業者は自分の行った作業を確認する際に、基本的には正しく行えている前提で確認作業をする傾向にあります。そのため、無意識にチェックが甘くなったり、細かいところまで確認しないこともあるかもしれません。

作業者とは別の担当者がチェックをすると、ミスを探す姿勢でチェック作業を行うため、見落とされやすいところにも意識が向けられます。また、チェック作業を数多く行っていると、どの部分を重点的に見ればいいのかもわかってきますし、チェックシートを作成して効率的なチェック作業を行うことも可能です。

 

具体的な業務ミスとその対策案

それでは、実際にミスが起こり得る業務とその対策や注意すべきポイントを確認します。

 

経理業務における転記ミスを無くす

例えば販売管理システムにある売上情報を元に、そのデータを財務会計システムに手入力する場合、転記ミスが起こる可能性があります。入力するデータが多くなるほどミスが発生する可能性も高まります。

こうしたシステム間の連携を自動化するためには、ERPパッケージの導入が効果的です。ERPパッケージの導入効果については「第三回 中小企業におけるERPパッケージ導入の効果」でも触れていますが、「単純な転記ミス」を無くすという目的にも有効な対策になるでしょう。

 

経営レポートの内容を確認する

定期的な会議のために作成する経営層向けのレポートもあれば、緊急の会議のために依頼されるレポートもあります。こうした経営レポートに、議題を進めるうえで必要とされるデータが記載されていなかったら大問題です。

ある程度形式が決まっている定例レポートであれば問題ないですが、緊急なものについては、具体的にどのようなデータが必要なのか、どのような資料を求められているかをリサーチしておく必要があります。また、自分の認識が間違っていないかを確認することも大切でしょう。

 

発注ミスを起こさない仕組みを作る

注文を出すときに間違えて通常の注文数より一桁多い数で発注してしまった、そんなミスが起こる可能性もあります。単純な入力ミスですが、これで返品不可となったら過剰在庫となり、多大な損失がでてしまいます。

こうしたミスを防ぐ仕組みとして、購買システムの入力項目に発注数量を入力した時に数量の確認をする機能を付けたり、定期的な発注であれば、一定の範囲を超えた場合にアラートを出す機能を付けるのも良いでしょう。

 

システム管理におけるトラブル対応マニュアルを準備しておく

システム管理者は突然のサーバダウンやシステムの不具合対応が求められます。普段から対応しているシステム管理者がいる時は良いのですが、不在の場合にどうするかをあらかじめ決めておく必要があります。

そのためには、システムやサーバのエラーが発生したときにどう対応するかのトラブル対応マニュアルを準備しておくことが重要です。

起こりそうなエラーを解決する方法を明示しておき、可能な限り担当者不在の場合でもトラブル対応できるようにしましょう。

 

出張費や交通費の精算金額のチェック体制を作る

出張費や交通費の精算において多いのは、金額に関するミスでしょう。

例えば会社から目的地までのルートや交通費を間違えて入力していたり、出張における宿泊費が会社規程の上限を上回っていたりと、単純な間違いが多いですが、社員全員分のチェックをしなければならないとなるとチェック担当者の負担の大きいところだと思います。それゆえ、チェックしたつもりでも見落としてしまうケースもあるでしょう。

こうしたケースは複数の人間がチェックすると効果的です。ただ人的リソースに余裕がないという企業も多いと思いますので、例えば金額の大きいものだけは必ず複数のチェックを行うなど、適切に作業を割り振りましょう。

 

また、前回「無駄が発生しやすい間接業務とその対処法」で紹介したRPAはこのような単純ミスのチェックにも役立ちます。

手作業ではどうしてもミスが起きてしまいがちですが、コンピューターなので正しい処理を実行し続けることができます。人のように、大量の処理で疲れてミスを起こすこともありませんし、時間帯も関係なくチェック業務を任せることができます。

 

ミスが発生しやすい業務と注意すべきポイントのまとめ

仕事をしていくうえで、認識にズレが生じていたり、うっかりしていたり、確認漏れがあったりと様々なミスが発生します。ミスをしないと意識して業務を行っていても、やはりミスをゼロにするのは難しいでしょう。

それならば、ミスが起きやすい部分をあらかじめ把握しておき、注意喚起したり、自分以外の担当者にチェックを依頼したり、ミスが起きたとしても早い段階で修正できる仕組みを作れば、ミスを減少させることができるでしょう。

とはいえ作業者は、別の担当者のチェックがあるからと油断してはいけません。チェックが終わり、修正して確認が取れるまでは仕事は完了しないという意識で最後まで気を抜かずに取り組んでいきましょう。

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