第七回 最適なERPソリューションを選定する、RFI/RFPの作り方

企業がERPパッケージの導入を検討する場合、各ベンダーから提案を受けて自社に合うERPソリューションを選定する方法が一般的です。

ERPソリューションは、企業が抱える業務課題をERPパッケージや導入ベンダーの業務ノウハウを用いて解決するという意味です。

複数のベンダーにソリューション提案を依頼する場合、できるだけ平等な条件でソリューション提案を依頼するのが望ましい形でしょう。

そのために候補となるベンダーにRFI(情報提供依頼書)やRFP(提案依頼書)を配布して、各社からの回答を元に最適なERPソリューションを選定するという方法があります。

今回はRFI及びRFPの目的や作成のポイントを確認していきます。

RFIとRFP

RFIとはRequest For Informationの略で、日本語では「情報提供依頼書」となります。

RFPとはRequest For Proposalの略で、日本語では「提案依頼書」となります。

RFIもRFPも、自社の要件を実現する製品を選定するために、ベンダーに配布する資料ですが、求める回答の内容は異なります。

 

RFIのポイント

RFIとは、システムの選定を行う際の事前準備として、自社が検討しているシステムの概要を伝え、ベンダーの保有している製品やサービスの概要、導入実績などの情報を提供してもらうための情報提供依頼書となります。

 

RFIを作成する具体的な目的は

・自社の要件に適した製品のリストアップ

・対象ベンダーの保有している製品や導入実績、開発体制の調査

・RFPに記載する業務要件を作成するための参考情報の収集

・RFP提出ベンダーの選定、絞込み

などが挙げられます。

特に、製品のリストアップは重要です。ベンダーのホームページ等では公開されていないがRFIを提出することによって得られる、ベンダーの保有している詳細な最新情報もあります。

ERPパッケージの導入検討開始時期に、選定に必要な情報を入手しやすいのはこのRFIのタイミングになりますので、できるだけ広く、漏れが無いように情報提供依頼をすることが重要になります。

 

RFIで確認しておきたい項目は大きく分けると、企業概要・製品概要・機能要件・非機能要件・価格体系・サポート体制・移行作業・導入事例などがあります。

そこから更に、自社が確認しておきたい項目を細かく設定して、情報提供を依頼します。

機能要件(システムで対応してほしい機能など)及び非機能要件(動作環境や外部システムとの連携仕様、セキュリティなどの機能要件以外)は、ERPソリューション選定において非常に重要な項目ですが、RFIの段階ではそこまで詳細に落とし込まずに、まずは自社の要件に対し、ERPパッケージで対応できる機能があるかどうかを確認するのみに留めておくケースが多いでしょう。

要件一覧を作成し、その用件に対する回答列を作り、そこには「○」「×」あるいは数字を記入してもらい、回答をできるだけわかりやすいものにして、必要に応じて備考欄に追加説明などを記載してもらいます。

先ほど述べたように、RFIはユーザー企業の要件を詳細に記載するものではなく、あくまでERPパッケージベンダーに製品の情報提供を依頼するものです。

よってRFIの回答の多くは、ベンダーの製品カタログや導入事例、標準価格表といった定型的なものから抜粋された情報になり、回答期限も短めに設定しているケースが多いようです。

ユーザー企業と製品ベンダーの間に販売代理店等があるような場合には、回答に時間を要することもあります。そういう場合はRFI提出前にスケジュールを明確に伝えておき、回答期限に間に合うか確認をしておく必要があります。設定した期限内での回答が難しいようであれば、ベンダー企業からのRFI回答書の提出期限を延期するか、RFIの配布を取りやめる必要があるでしょう。

 

RFPのポイント

RFPとは、複数の候補製品の中からシステムの選定を行う際に、自社の要件を製品取扱いベンダーに伝えて、それに対するソリューション提案を依頼する資料です。

RFPは情報量が多く、提出先が多いと回答をすべて比較して評価するのも容易ではなくなるため、多くても3~5社程度に留めるのがよいと思います。

RFIによって得た情報を元に、RFPを提出するベンダーを選定してもよいですし、また、RFIを作成せずにいきなりRFP作成から始まるケースでは、事前に打ち合わせやデモを実施してもらうなどをして、RFPを提出する企業を絞り込みましょう。

 

RFPを作成する主な目的は、自社の業務課題を解決するソリューションを持った最適なERPパッケージ及び導入ベンダーの選定です。ベンダーから最適なソリューション提案を受けられるようにするためにも、自社の要望を明確に伝えることができるRFPを作成しましょう。

 

RFPでは、機能要件・非機能要件・見積もり金額・提案内容・過去の同業種への提案事例など、自社の課題をどのように解決するかの回答を依頼します。

機能要件・非機能要件への回答はRFIの時と同様に、一覧表を作成して回答を記入してもらう形がよいと思いますが、RFPの段階では要件への回答はより詳細に記載してもらう必要があります。単純な「○」「×」だけではなく、どのようにして解決するのかが重要になってきます。

例えば売上情報を月別地域別の切り口で一覧表を出したいといった要件に対し、ERPパッケージ標準機能だけでは解決できないがカスタマイズをすれば解決できる場合は、「△」として備考欄にカスタマイズ内容とそれにかかる参考費用などを記載してもらう方法もあります。

ベンダー側も、要件に対して「できない」という回答は少なくしたいでしょうから、なんとか解決案を考えてきます。その解決のプロセスを具体的に明示してもらうことで、それが自社運用において現実的なソリューションかどうかを判断し、ERPソリューション選定の際の参考にできるでしょう。

 

見積もり金額や提案内容、事例などは、基本的にベンダー側のフォーマットで作成されることが多いですが、複数のベンダーがそれぞれ独自の構成の提案書が提出されると、比較検討の際に混乱してしまいます。そのため、提案書の形式をある程度指定する必要があります。全体の章の構成を指定したり、機能要件・非機能要件への回答は別紙として自社で用意したエクセルファイルに書き込んでもらうと検討時に比較しやすくなるでしょう。また、見積もり項目についても、ライセンス費用や保守費用、5年総額でいくらなど、比較しやすい項目を指定したほうがよいでしょう。

また、ベンダーの作成する提案書に記載してほしい内容をすべてリストアップしたページをRFPに入れておくと、提案するベンダーも抜け漏れが無いかを確認しやすくなるでしょう。

 

まとめ

ERPパッケージを導入するとなれば、会社全体に大きな影響を与えることが多いでしょう。

ERPパッケージの対応範囲は、販売管理を中心に在庫管理や勤怠管理、財務会計など、幅広くなっています。

範囲が広くなれば当然機能要件も増えてきます。自社独自の要件も含めすべての要件を満たそうと思えば、カスタマイズの量も増え、その分費用がかかります。

RFIやRFPを作成しながら、自社の要件はこれで十分か、予算は適正かと悩むこともあるでしょう。

とはいえ、RFI及びRFPを作成する一番の目的は自社の業務課題を解決するソリューションを持った「ERPパッケージ及び導入ベンダーの選定」です。

費用のブレを無くそうと要件が詳細になりすぎて、資料が何百ページと膨大な量になってしまっては、ベンダーからの提案も、提案書の比較検討にも膨大な時間がかかってしまい、選定の妨げにもなりかねません。

RFI、RFPはあくまで製品選定のための資料として、スケジュール内で検討できる範囲のボリュームで、本当に伝えたいことがきちんと伝わるよう意識をして、作成していきましょう。