企業に関連する重要な法改正をチェック【2023年4月以降】

今回は2023年4月以降に施行された企業に関する法改正のうち、主な法改正をピックアップしてご紹介します。

 

法人税に関する改正

財務省のウェブサイトに掲載されている税制関係パンフレット「令和5年度税制改正」より主要なものをピックアップします。

 

令和5年度の税制改正には、研究開発税制やオープンイノベーション促進税制など既存措置の見直しを中心に、その他、企業の成長を先導する人材の創出を後押しするための税制措置が含まれています。

 

「企業による先導的人材投資に係る税制措置」は、①学校教育における企業先導人材の育成、②先導的研究開発人材の活用・育成、③デジタル推進人材の育成に関する内容が盛り込まれています。

 

学校教育における企業先導人材の育成

スピーディーな学校経営を進めるために、大学や高等専門学校などを設置する学校法人の設立費用として企業が支出する寄付金を個別の審査を受けなくても全額損金算入が可能となる枠組みを設ける

先導的研究開発人材の活用・育成

高度な研究人材への投資を促し、国際競争に役立つハイレベルでオープンなイノベーションを促進する観点から、博士号取得者や、外部研究者を雇用する場合、これらの人件費の20%を税額控除として認める優遇措置を創設する

デジタル推進人材の育成

企業がDXを進める上で必要なデジタル人材の育成・確保を促すため、DX投資促進税制の人材の育成・確保などに関する事項を要件化する等の見直しを行う

 

(参考)
財務省 令和5年度税制改正 3法人課税

 

消費税に関する改正

ついに2023年10月より適格請求書等保存方式(インボイス制度)が始まります。

制度開始に向けて、すでに対応を終えた企業、今まさに対応を進めている企業も多いかと思いますが、令和5年度の税制改正に「インボイス制度の円滑な実施に向けた所要の措置」として、①小規模事業者に対する納税額に係る負担軽減措置、②一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置、③少額な返還インボイスの交付義務の見直しが盛り込まれました。

 

具体的な内容は、以前WORK-PJにて紹介していますので、ご確認いただければと思います。

令和5年度税制改正の大綱「適格請求書等保存方式に係る見直し」について

 

また、財務省のウェブサイトには、インボイス制度の支援措置がまとめられていますので、そちらも参考にしてみてください。

財務省 令和5年度改正におけるインボイス制度の改正について

 

(参考)
財務省 令和5年度税制改正 4消費課税 (1)インボイス制度の円滑な実施に向けた所要の措置

 

 

育児・介護休業法に関する改正

育児・介護休業法については、2022年4月より段階的に施行されていますが、2023年4月より育児休業取得状況の公表が義務化され、従業員数が1,000人を超える企業の事業主は、男性従業員の育児休業等の取得状況を年1回公表することが義務付けられます。

 

対象企業や公表内容は以下になります。

厚生労働省のウェブサイトには、公表・計算例も掲載されています。

「育児休業平均取得日数」を公表する場合の公表・計算例について(令和4年12月作成)

 

今回の男性の育児休業取得状況の公表は、従業員数が1,000人を超える企業が対象となりますが、男性の育児休業取得率の高さは、働きやすい企業であることのアピールにも繋がりますので、対象外の企業でも取得率を計算し、自社のHPなどで公表することを検討してみてはいかがでしょうか。

 

(参考)
厚生労働省 育児休業取得状況の公表の義務化
厚生労働省 男性労働者の育児休業取得率等の公表が必要です

労働基準法、労働基準法施行規則に関する改正

割増賃金率の引き上げ

2023年4月より中小企業の月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が50%引き上げられます。割増賃金率の引き上げについては、WORK-PJにて概要や対象企業に求められる対応ポイントを紹介していますので、そちらもご確認いただければと思います。

 

労基法改正についての解説:割増賃金率の引き上げの要点と対策(2023年4月施行予定)

中小企業も対象に?割増賃金率の引き上げと対応ポイント

 

また、厚生労働省が運営する働き方改革特設サイトでは、中小企業の取り組み事例が紹介されていて、とても参考になります。

 

(参考)
厚生労働省 月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます

 

労働基準法施行規則

キャッシュレス決済の普及や送金手段の多様化ニーズに対応するため検討が進められていた賃金のデジタル払いが、2023年4月よりできるようになりました。しかし、賃金のデジタル払いが認められるのは、厚生労働大臣が指定した資金移動事業者の口座のみであり、また、事業者と労働者の間で労使協定を締結する必要があるなど、いくつかの要件がありますので、導入を予定している企業は、事前に厚生労働省のウェブサイトなどで要件を確認するにようにしましょう。

 

なお、WORK-PJでも本改正について紹介していますので、合わせてご覧ください。

賃金のデジタル化とシステムに求められる機能について

 

(参考)
厚生労働省 資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について
厚生労働省 「賃金のデジタル払いが可能になります!」(令和5年3月掲載)

 

 

まとめ

今回は2023年4月以降に施行された法改正について紹介しました。改正内容に合わせて業務フローや社内規定の変更が必要となるケースもありますので、今回紹介したもの以外にも自社に関係する法改正がないかチェックし、適切な対応を行うようにしましょう。

 

 

※本記事の正確性については最善を尽くしますが、これらについて何ら保証するものではありません。本記事の情報は執筆時点(2023年6月)における情報であり、掲載情報が実際と一致しなくなる場合があります。必ず最新情報をご確認ください。

 

筆者プロフィール

yamamisa
yamamisaビーブレイクシステムズ
好きなものをゆるく幅広く追いかけるミーハー人間。月1で旅行にいくのが老後の夢。
抹茶とチーズとお酒があればご機嫌です。

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