IPO準備企業による申請期のERP導入<ERP導入事例1>

IPO準備のためのシステム導入

証券取引所に株式を上場するためには、企業の成長性や資本政策、コーポレートガバナンスや監査、労働基準法をはじめとする各種法律の遵守、適正な財務報告の内部統制の仕組み等、様々なことが必要になります。

業務を一定のルールに則って進め、それをいつでも確認することができる、という意味で何らかの業務システムを導入するのは上場準備のための必須作業と言えるでしょう。

本記事では、IPO準備のために業務システムを導入した事例をご紹介します。

参考記事:

内部統制体制の構築と業務管理システム

 

導入企業・スコープ概要

業種:プロジェクト型サービス業
社員数:100-200名
導入範囲:案件商談管理 プロジェクト管理 購買管理 債権債務管理
導入したシステム:クラウドERP MA-EYES

MA-EYESはIT業、コンサル業などの人件費が主体となるプロジェクト型企業への導入を得意としています。今回の事例では、商談(案件)の発生時点から、請求・入金消込を行い完了するまで、一気通貫で管理しています。工数や、交通費等の一般経費といったプロジェクトごとの原価の元になる情報は、MA-EYESの経費申請や勤怠工数管理機能を利用することもできますし、他のシステムから連携することも可能です。本事例では、すでに利用されているシステムからデータを連携しています。

 

導入の目的

本事例の企業は、上場準備のためのシステム導入目的を以下に定めていました。

 

  • 案件や商談進捗管理を一気通貫で管理することで効率化と情報共有を図る
  • プロジェクト管理会計
  • 内部統制

 

これらは非常に一般的な事柄です。規模が大きくなっていくほど、統制・管理のための仕組みが必要になるため、ERPを導入する目的は上場準備中の場合でも準備中ではない場合でもあまり変わりません。

MA-EYESは、上場企業や上場企業の子会社への導入割合が高いので、実績から統制面は安心していただいているようです。そのため統制についてよりも、配賦や原価計算といった細かい数字を、自社のルールに則って想定通り正確に算出できるかということを気にしているユーザが多いという印象です。ただ、監査のときに必要なログや権限管理といった内部統制に関する機能は、非上場企業への導入よりも注意深く確認される傾向はあります。

そもそも、システムを提供するベンダー側は、企業のシステム導入が「上場準備のためである」ということを知っているケースばかりではありません。情報として伝えられる場合もあれば、そうでないこともあります。「上場企業向けシステム」というものがあるわけではなく、中規模以上の企業をターゲットにしているシステムであれば、自ずと上場企業に必要な機能も具備していると考えられます。

 

導入時期

本事例の企業は以下のスケジュールでERP導入を行いました。

導入は申請期(N期)の期初です。

検討期間は3ヶ月、導入期間は8ヶ月、数ヶ月の並行稼働期間を経て期初に稼働しています。私たちが提案を開始してから1年数カ月後に「全面稼働」となっています。

 

まず、導入時期と上場の関係ですが、上場審査の対象になる財務報告は、申請期の前の年度の決算である直前期(N-1期)です。

したがって、今回の事例では上場審査はERPが導入されてない状態で行ったことになります。

理想を言えば、直前期には上場したときと同じ状態で管理されていることが望ましいでしょうが、システムの検討や導入には手間・コストがかかりますので、直前期までに導入できている例ばかりではありません。

 

本事例に関しても、当社への最初の接触は導入開始の3年近く前となります。

最初はIPOセミナーへの参加でした。3年前の時点で検討を開始し、2年前に本格検討、導入は直前になったという事になります。

上場すると月次決算を当たり前に行い、四半期の報告書を速やかに提出する必要がありますので、上場以後に業務システム無しでそれを行うのはかなり困難でしょう。申請期までに導入していれば、上場後最初の決算は新システムで行うことができます。

 

今回の成功のポイント

この事例は申請期の導入ということでギリギリ間に合ったというような印象も持たれるかもしれませんが、全てのシステムを直前に導入したわけではなく、勤怠経費といった一部のシステムは先に稼働していました。上場準備から申請までのスケジュールの中で、導入が必要なシステムを必ずしも一括で導入する必要はないわけです。特に、勤怠は会社独自のルールがある場合が多く、システムの導入は想像以上に大変ですので、そちらが先に稼働していたというのはERP導入の負荷を軽減することとなりました。

これから上場を考える企業の皆様も、このように一括での導入にこだわらず段階的に整えていく方法も検討してはいかがでしょうか。

 

上場準備のためにシステム導入を検討中のお客様は、ぜひビーブレイクシステムズにお問い合わせください。

 

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