第9回「Excel、システム、ERP」システム開発業のプロジェクト原価管理のケーススタディ

本記事では、システム開発・ソフトウェア業を対象としてプロジェクト原価管理のケーススタディを行います。

プロジェクト原価管理をこれから行う、あるいは現行業務を改善したいと思っている担当者の方にとって、一から新しい業務の内容やシステム構成を考えるのは難しいことでしょう。

 

今回紹介する事例を参考にしていただき、自社にあった原価管理の枠組みを考えて、原価管理を推進していきましょう。

ケース1:Excelでの原価管理の仕組みを導入

当初少人数で創業した会社でしたが、社員が30名に増え、社内で動いているプロジェクト数が増えてきました。

従来は会社全体で収支を管理していましたが、プロジェクトの数が増えるにつれ、それぞれのプロジェクトで果たしてきちんと利益が出ているのか不透明であることが問題になってきました。

プロジェクトの実績がどうだったかはマネージャーの主観でしか分かりませんでした。今後事業拡大を目指すにあたり、きちんとプロジェクト単位で実績を可視化できる体制をつくるべきとの声が経営層を中心に高まりました。

Excelでの原価管理の方法

まず、社員の作業工数管理をExcelで行うことにしました。プロジェクトコードを記載した社員分のExcelファイルを用意し、全員に配布して記入させることにしました。

社員は工数管理シートにプロジェクトごとの工数を入力します。

一ヶ月が終わると、全員のシートを管理者が回収し、データを一つのファイルにまとめます。Excelのマクロを利用してプロジェクトごと人ごとの工数一覧表を作成します。

続いて、実績費用を集計します。

人件費については、給与支給額の明細をもとに、社員ごとの給与額を一覧にしたExcelファイルを作成します。

外注費は、別途マネージャーが入力している検収額一覧のExcelファイルから部門集計します。

旅費などの経費は、経費精算システムに登録されてある精算データのうち、原価として考慮すべきものを抽出し、部門集計します。

人件費は、工数一覧表の工数データを利用して工数比でプロジェクトに配賦します。外注費と経費は部門ごとに集計した実績を工数比でプロジェクトに配賦します。

プロジェクトごとの人件費、外注費、経費の計算が終わったら、それらの数字を1枚にまとめて原価レポートを作成します。

こうして、Excelを利用することで、プロジェクトの実績がどうだったかきちんと分かるようになりました。

ケース2:販売管理システムを利用して原価管理を推進

社員が100名程度になり、プロジェクト数が以前と比べて大幅に増え、工期の長いものも増えてきました。

今まではExcelを用いて原価管理を行っていましたが、社員が多くなったことで情報の抜け漏れや転記ミスのチェックに手間がかかるようになりました。

あわせて、多重入力による業務負荷が問題視されるようになりました。

データ量の増加に伴い、月末の工数の集計処理も時間がかかるようになりました。Excelのファイルを開くことでさえも長い時間を要するようになり、作業者がストレスを感じるようになりました。

また、実績のみを振り返るのではなく、予実対比も行ってマネージャーの計画立案の適切さの検証も行いたいと考えるようになりました。

販売管理システムを利用した原価管理の方法

原価計算機能を搭載した販売管理システムを自作しました。

また、工数管理はExcelではなく、工数管理システムを利用することにしました。原価予算は受注時に販売管理システムに登録し、原価実績は外部システムから取り込むこととしました。

費用の配賦基準はケース1と同様、工数比です。月末にプロジェクトごと社員ごとの工数データを工数管理システムから出力し、原価管理システムに取り込みます。

人件費の実績は、給与計算システムから出力したデータを販売管理システムに取り込み、工数比で配賦します。経費や外注費は会計システムから原価対象となる金額を部門抽出し、人件費同様工数比で配賦します。

販売管理システム上で、プロジェクトごとの実績を確認できるようになりました。また、Excel運用の時代では困難だった予実対比が簡単にできるようになりました。

また、工数管理をシステム化したことにより、作業者の入力ミスや抜け漏れが少なくなり情報の正確性の向上につながりました。

同時に、工数データを人力で集計・加工する作業が不要になり、管理者の負荷が軽減されました。工数管理同様、原価計算もシステム化されたことにより、計算処理の時間が短くなりました。

ケース3:ERPシステムを導入して原価管理を推進

社員数が200名を超えました。

マネージャーは受け持っているプロジェクトの作業の進捗状況を自身で管理していましたが、メンバーの稼働工数については、工数管理ツールへの日々の入力を徹底できておらず、月末に締めてみないと実態が分かりませんでした。

経営層は、マネージャーの自己申告をもとに進行中のプロジェクトの状況をざっくりと把握していました。

しかし、月末の原価計算で、原価が想定を大きく超過していることが判明するケースが多々あり、月中でも収支状況を把握したいとの声が経営層から上がりました。

また、規模拡大に伴いサービスが多様化・複雑化した兼ね合いで、経営判断を行う際に考慮すべき情報が多岐にわたるようになりました。セグメントや技術要素別等の細かく多様な観点で分析を行える必要が出てきました。

ERPを利用した原価管理の方法

ERPシステムを導入し、販売管理、工数管理、経費管理等のメイン業務を全て一元化しました。

プロジェクトの予算、工数や経費実績は全てERPシステムに入力されるようになりました。工数の入力は週次で必ず行うよう社員に通達し、それらが遵守されているかシステム上でチェックを行うようにしました。

必要なデータがERPに一元化されるため、プロジェクトごとの原価計算も即座に行えるようになりました。また、人件費については、月中は工数×予定単価で算出するようにし、月中でも概算値を把握できるようになりました。

データのインプットの頻度が上がったこと、データが一元化されたことにより、集計加工の手間なくタイムリーにプロジェクトの実績を確認できるようになりました。

また、ERP化により、当初予算と実績のデータを組み合わせた原価の着地予想の算出が可能になりました。これにより、現状の把握だけでなく将来予測が可能になりました。

あらゆるインプットが一元化されたことで、ERP上であらゆる業務データが得られるようになり、多様な視点から詳細な分析ができるようになりました。

プロジェクト原価管理のケーススタディのまとめ

今回はプロジェクト原価管理のケーススタディを行いました。

企業規模や事業内容によって原価管理にまつわる課題や悩みは多様ではありますが、集計を手間なく正確に行いたいというのはどの企業でも共通する大目的でしょう。

第六回 Excel、原価計算システム、ERPを利用!プロジェクト原価管理の方法3選」でも書いている通り、社員数が少ないうちはExcel利用が効率的ですが、社員数が多くなるとシステムやERPの方が利便性が高くなります。

一から新しい業務の流れやシステム構成を考えるのは骨が折れる作業だと思います。本記事で紹介したいくつかの事例をヒントとして参考にしていただき、自社にあった原価管理の枠組みを考えていきましょう。

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