少人数Web会議用スピーカーフォン「Jabra SPEAK 510」と「Anker PowerConf」の性能(マイク・スピーカー)比較

当社では昨年から働き方改革の一環として在宅勤務や、訪問に時間のかかる遠方顧客とのWeb会議を一部実施していました。コロナウィルスによるリモートワーク・在宅勤務の広がりを受けて、Web会議をする機会は一層増えており、2020年2月後半以降の顧客との打ち合わせはすべてWeb会議で行っているのが現状です。

相手との快適な意思疎通を図るためには音声情報、つまりマイクとスピーカーが重要な要素です。本記事では、Amazon等で人気のあるスピーカーフォン2機種の実際の使用感を比較し、レビューします。

比較する製品

  • Jabra SPEAK 510
  • Anker PowerConf

上の2つを比較していきますが、普段誰もが持ち歩いているスマホにもスピーカーフォン機能がありますので、今回は2商品に加えてiPhoneでも比較を行います。

左上→Jabra510 左下→Anker PowerConf 右→iPhone8

実施環境

同じ建物の別部屋に分かれて2地点でWeb会議システムを用い実施しています。

部屋1
1人で対応。ノートPC付属のスピーカー、マイクを使用

部屋2
3人で対応。スピーカーフォンを使用。スピーカーフォンの至近に1人、1.5mの距離に1名、3mの距離に1名

スピーカーの性能は部屋2、マイクの性能は部屋1にいないとわからないので、人を入れ替えて同じことを2回繰り返し実施しています。なお、どちらもBluetoothで無線接続可能ですが、今回はUSBで有線接続しています。

1周りテストを終えたら人1と人2を入れ替え、再度行う。SP=スピーカーフォン

評価軸

以下の4つの評価軸を、相対評価の5点満点で点数をつけます。

  • マイク:マイクの性能
  • スピーカー:スピーカーの性能
  • 携帯性:(少人数用ということで)持ち運びに良いか、サイズ感
  • 機能性:接続方法やその他特筆すべき機能

 

Jabra Speak 510 レビュー

まずはJabra(ジャブラ)から。Jabraというメーカーは聞いたことがない方も多いかもしれませんが、デンマークのメーカーで、大元の企業は1869年創業で電気通信事業、つまりNTTのような事業から始まった老舗企業だそうです。

https://www.jabra.jp/cp/jp/campaigns/forum/about-us

昔から日本でもヘッドセットでは定番製品で、私個人としてもJabraBoost(ヘッドセット)や、JabraElite(Bluetoothイヤホン)を愛用しており、信頼しているメーカーです。

Amazonでは並行輸入や正規品、MS(マイクロソフト認定版)とUC(その他サービス版)があり、どれを買えばいいのかよくわからないのですが、ここでは正規品のUCを使っています。2014年から販売されています。

 

マイク:5

マイクの性能はAnkerより良いと感じました。人4の声も途切れることなく、適切な音量で聞こえます。ボリューム調整機能(コンプレッサーのような、小さい声は大きく、大きい声は小さく)もよく効いていて、音量が標準化されているように感じます。ノイズリダクションも効いており、書類をめくる小さい音などは聞こえません。一方、ややリバーブのかかったようなボワッとした音に聞こえます。

スピーカー:4

音質はややぼやけますが、聞き取るには十分です。音量も問題ありません。

携帯性:4

小さく、軽いです。収納ポーチが付属します。

機能性:4

接続方法はUSBかBluetooth。特筆すべき点として、USBケーブルが本体に内蔵されており、巻きつけて収納することができます。ケーブルが断線する等トラブルが有ると付け替えができないという諸刃の剣ではありますが、ケーブルを持ち運ばなくて良いのは便利です。また、Bluetooth接続のUSBアダプタがついており、USB端子がある機器であれば、Bluetoothの機能がなくても無線接続可能です。また、Bluetooth接続機能がある機器でも、ペアリング不要でアダプタのみで繋がるのは大変便利です。

ケーブルは本体から生えている

総合評価:17点

発売から5年以上経過しているにも関わらず、スピーカーフォン市場で売れ続けているだけあり、とてもバランスの良い製品だと思います。

 

Anker PowerConfレビュー

続いてAnker PowerConfです。

Ankerは元Googleのエンジニアが立ち上げた会社で、本社は中国の深センにあります。Bluetoothスピーカーやモバイルバッテリーで非常に有名で、それらはAmazonでも売上ランキングの上位に名を連ねています。

こちらの商品は2020年2月28日という、政府からイベント自粛要請が出て一気に情勢が変化するタイミングで発売され、ネットでも大きな話題になり、レビュー記事も多く書かれています。価格も当初キャンペーンで1万円を切っており(定価は1万2980円)、現在Amazonでは入荷待ちとなっています。ヨドバシカメラでも見るたびに「在庫有り」になったり「お取り寄せ」になったり、かなり売れていることがわかります。

 

マイク:4

Jabraと比べると集音範囲がやや狭いようです。人4の位置だとやや厳しいと感じました。人3の声は問題なく聞こえます。ただ、音そのものはJabraより明瞭で良いように感じます。

スピーカー:5

スピーカー側も明瞭で、聞き取りやすい音がします。スピーカーフォンはスピーカーとして音楽を流すこともでき、音質は音楽用のスピーカーには敵いませんが、それでも明らかに他のスピーカーフォンより上質です。スピーカーメーカーの面目躍如という所でしょうか。ボリューム調整やノイズリダクションも問題ありません。

携帯性:3

Jabraに比べると一回り大きく、1.5倍ほど重いです。(それでも300グラム程度ですが)Jabraはソフトポーチですが、こちらはハードポーチです。昔、携帯CDプレイヤー用にCDが10枚くらい入るポーチを使っていましたが、サイズ感はあれに近いと思います。

Amazonレビュー等では「ポーチをにケーブルを収納するスペースがない」というコメントが散見されますが、私が購入したものには下の写真の通りスペースが有り、キツくはなりますがファスナーを締めることもできます。購入時期や店舗により微妙にケースの仕様が違うようです。(本品はヨドバシカメラで購入)

機能性:4

接続方法はUSBかBluetooth。USBケープルはJabraと異なり外付けで、Cタイプです。Androidのスマホは最近Cタイプが多いですから、人によっては持ち運ぶケーブルが減らせていいのではないでしょうか。また、モバイルバッテリーを作っているメーカーらしく、スマホなど他機器への充電が可能になっています。

ポーチ内のケーブル収納部分。付属のケーブルではなく手持ちのケーブルを利用。付属品はもっと長い。

Jabraと重ねてみる

総合評価:16点

スピーカーフォンとしての基本性能を保ちつつ、Ankerの製品らしくモバイルバッテリー機能やUSB-C搭載など、ガジェット的な面白みのある商品だと思います。価格もJabraより安価です。

 

iPhone8

スピーカーフォンを持っていない状況で会議をしなくてはいけない場面もあるでしょう。専用製品には劣るにしても、どこまでできるか試してみました。

 

マイク:1

人3の位置でもそれなりに拾いますが、相手側の音質はかなり厳しく、聞き取りづらいです。ノイズも拾うので、資料などを見ているとカサカサと雑音が入ります。

スピーカー:1

スピーカー出力が小さいので、人3の位置でほぼ聞き取れません。

携帯性:5

もちろん5です。ポケットに入ります。

機能性:5

もちろん5です。なにせ電話もできるし、ゲームもできるし、YouTubeも見られます。コンビニで支払だってできます。すごいですね、スマホって。

総合評価:12点

常に持っているという意味では便利ですが、会議で使うのは厳しいです。過去に相手側がスピーカーフォンで数名参加したWEB会議を行いましたが、コミュニケーションに時間がかかり相当大変でした。

 

Jabra SPEAK 510と Anker PowerConfどっちがおすすめ?

2製品を比較してどちらがいいか。私の意見はこうです。

Jabra SPRAK 510はロングセラーで、枯れた製品といっていいでしょう。安定した性能が期待できます。後継機や大人数会議用の製品もJabraから出ているので、会社として同じメーカーで揃えれば、操作方法や使い方を別々に覚える手間も少なくなります。そういった意味でJabra SPEAK 510は企業向けと感じます。

一方、 AnkerPowerconf の方は企業備品としてモバイルバッテリーは余計な機能に思えますし、PowerConfがメーカー初のスピーカーフォンなので、今後継続してスピーカーフォンを販売するかもわかりません。ただ、個人としてはAnkerの方がガジェット的に尖った製品で面白味があります。いざというときのモバイルバッテリー機能や、音楽鑑賞用のスピーカーとしても最低限の質が保てるので、出張時の荷物に入れておくと頼りになりそうです。また、Anker PowerConfの方がJabra SPEAK 510より安価なので、その点も自費で購入する上でポイントとなります。

どちらもスピーカーフォンとして十分な機能を持った製品ではありますが、

「企業が備品として購入するならJabra SPEAK 510 」

「私物として買うなら Anker PowerConf」

がおすすめです。

 

最後に

昨年からの働き方改革の波の加え、コロナウィルスの影響で急激にWeb会議の回数が増えています。Web会議を快適に行うには一方の設備だけで駄目で、両方の設備が整っている必要があります。こちらが最高品質の高価なスピーカーフォンを使っていても、相手がスマホでは十分なコミュニケーションは取れません。今回レビューした製品は1-2万円程度で買えるものですが、それでも4,5人以下であれば十分な打合せができます。

この機会に多くの企業に最低限の設備が揃う事を期待したいです。

筆者プロフィール

H.S
H.Sビーブレイクシステムズ
営業職。カレーが好きです。得意技は福岡日帰り出張。

クラウドサービスをコネクトしてITをフル活用

ビーブレイクシステムズでは、様々なマネジメントサービスの中からお客様にとって最適なシステム・サービスを選定し、選定された複数のシステムやサービスを繋いだサービス「コネクテッド・クラウド」を提案しています。

ERP、RPA、シングルサインオン、電子請求書、Web会議システムなど様々なクラウドサービスを上手にコネクトして仕事にお役立てください。