業務管理システム選定時のポイント(5)クラウドERPを選ぶべき企業
以前、「業務管理システム選定時のポイント(2)SaaSとオンプレを比較する」でクラウドとオンプレミス(オンプレ)を比較しましたが、今回はクラウドERPとオンプレ版ERPのどちらの営業経験もある筆者が費用面、機能面、セキュリティ面、導入面からクラウドERPを選ぶべき企業(=クラウドERPの方が向いている企業)について紹介していきます。
目次
費用面
イニシャルコストを安く抑えたい、利用人数が少ない企業はクラウドERPに向いていると言えます。
クラウドERPの費用は
- イニシャルコスト:初期設定、導入支援費用等
- ランニングコスト:期間利用料(月額、年額)×利用数
の料金体系で提供されているサービスが多く、イニシャルコストが安いのが特徴となります。
サービスによってはイニシャルコストがほぼかからないものもあり、イニシャルコストを抑えたいという企業はオンプレ版ERPよりもクラウドERPの導入を検討した方が良いと言えるでしょう。
ただし、クラウドERPは利用人数により、ランニングコストが決まる料金体系が多いため、利用人数が多いと当然ランニングコストが高くなります。長期間利用の場合は、イニシャルコストを抑えられても、オンプレ版ERPよりも総費用が高くなってしまう可能性があります。
ERPの利用期間を想定し、総費用をあらかじめ試算した方がよいでしょう。
機能面
自社業務とクラウドERPの機能が合っている、もしくはクラウドERPが想定している業務フローに自社の業務フローを合わせられる企業はクラウドERPに向いています。
クラウドERPはオンプレ版ERPとは異なり、提供されているサービスを利用するため、自社業務と合わない部分があってもクラウドERP側を変更することはできません。パラメータの設定である程度の変更ができるクラウドERPもありますが、標準機能で提供されているサービス内で自社の業務フローを完全に実現できない可能性もあります。その場合はクラウドERP側に業務を合わせる必要があります。
検討時にトライアルができるERPが多いと思いますので、トライアル期間中にERPの仕様確認や実際の操作を試し、自社の業務フローを実現できそうか、実現できない場合はERPに業務を合わせることができそうか事前の検証をお勧めします。
セキュリティ面
自社のセキュリティ要件がそれほど高くない、あるいは自社にシステム部門がないという企業はクラウドERPに向いています。
クラウドERPのセキュリティはサービスを提供しているベンダーに依存するため、セキュリティ要件が高くない、あるいは自社にシステム部門がない企業はクラウドERPを利用することで、提供されているセキュリティ対策が自動で行われることになります。
逆に自社のセキュリティ要件を満たしていないサービスの場合、費用面・機能面が良くても導入できない可能性が高くなります。実際に筆者がクラウドERPを提案していた案件でもトライアルでの検証、見積の提示とクラウドERP前提で提案が進んでいたにも関わらず、お客様のセキュリティ要件が満たせないという理由でオンプレ版に提案を切り替えた経験があります。一般的には、規模の大きい企業ほどセキュリティ要件が高くなるようです。検討を始める際にクラウドERPのセキュリティレベルについては確認しておいた方がよいでしょう。
導入面
何かしらの理由があり、早くシステムを稼働させたいという企業はクラウドERPの導入が向いていると言えます。
オンプレ版ERPは、要件定義やカスタマイズ部分を含めた開発など導入開始から稼働までの時間がかかるケースが比較的多いため、早くシステムを稼働させたい場合は導入の選択肢に入れることが難しくなります。
その点、クラウドERPは提供されているサービスを利用するため、オンプレ版よりも早く利用を開始できます。ビーブレイクシステムズはクラウド、オンプレ両方のERPを提供していますが、電子帳簿保存法・インボイス制度などの法改正への対応をきっかけに問い合わせがあり、稼働を間に合わせるためにクラウドERPで提案した事例が多くあります。
ただ、実際に稼働させるためには自社で設定する必要があるため、利用開始=稼働ではない点は注意が必要です。自社で設定できるか不安という場合でもベンダー側で設定のサポートや設定代行など導入支援のオプションを用意しているケースが多いため、イニシャルコストは増額しますが、必要に応じて導入支援のオプションを受けるとよいでしょう。
最後に
費用面、機能面、セキュリティ面、導入面からクラウドERPを導入するべき企業について紹介しましたが、クラウドERPとオンプレ版ERPは様々な面で異なる点がありますので、サービスを提供しているベンダーに相談しながら導入を検討した方がよいでしょう。
当社が提供しているMA-EYESはお客様の要望に合わせてクラウド、オンプレのどちらでも提案が可能ですので、ERPの導入を検討中の企業担当者はお気軽にお問合せください。
オンプレ版ERPを導入するべき企業については、後日別の記事にて紹介予定です。
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筆者プロフィール

- ビーブレイクシステムズ
- 仕事終わりにバーベルを挙げるのを楽しみにしている営業職。
スクワットベスト230㎏。必殺技は右肘のプレスアウト。
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