業務管理システム選定時のポイント(7)オンプレ版ERPを選ぶべき企業
「業務管理システム選定時のポイント(5)クラウドERPを選ぶべき企業」ではクラウドERPとオンプレ版ERPのどちらの営業経験もある筆者がクラウドERPを導入すべき企業(=クラウドERPの方が向いている企業)を紹介しました。
今回は前回と同じ観点でオンプレ版ERPを導入すべき企業(=オンプレ版ERPの方が向いている企業)を紹介していきます。
目次
費用面
システム導入の予算を確保できている、利用人数が多い企業はオンプレ版ERPに向いていると言えます。
オンプレ版ERPの費用は
- イニシャルコスト:初期設定、導入支援、カスタマイズ(あれば)、ライセンス費用等
- ランニングコスト:保守費用、追加ライセンス費用、インフラ費用、運用費用
の料金体系で提供されているサービスが多く、イニシャルコストがクラウドEPRと比べて高額になります。
カスタマイズができるのはオンプレ版ERPのメリットでもありますが、カスタマイズの分だけコストが高額になることが多く、サービスによっては数千万円から1億円を超えるケースもあります。ただ、クラウドERPとは異なり、利用人数に関係なく利用できるため、利用人数の多い企業の場合は1人当たりの料金を計算するとクラウドERPよりもお得に利用できる可能性があります(サーバーライセンスやコーポレートライセンスの場合)。
クラウドERPと同様にERPの利用期間を想定し、トータルの金額をあらかじめ試算した方がよいでしょう。
機能面
自社独自の管理項目を集計するための計算がしたい、現在使っている分析レポートをそのまま新しいシステムからも出力したいなど独自の要件がある企業はオンプレ版ERPに向いていると言えます。
クラウドERPは提供されている機能をそのまま使うため、会社独自の要件に対応できないとクラウドERP側に合わせて業務フローの変更やシステム外での作業が発生する可能性があります。それに対してオンプレ版ERPはカスタマイズの自由度が高く、上記のようなカスタマイズや他システムとの連携など柔軟に対応できます。
注意点としてはカスタマイズは導入企業向けに開発される機能となるため、ベンダーとの間に認識の相違があると導入作業中にトラブルとなる可能性があります。トラブルを回避するためにも提案を受けている段階からお互いの認識を合わせるために業務フローや要件の洗い出しが重要となります。必要に応じて要件を一覧化したものやRFPを作成すると良いでしょう。
セキュリティ面
自社のセキュリティ要件が高い企業はオンプレ版の方が合っているケースが一般的に多いです。
オンプレ版ERPの場合、自社でサーバーを調達するため、自由に環境構築ができます。「業務管理システム選定時のポイント(5)クラウドERPを選ぶべき企業」でも紹介しましたが、クラウドERPで検討を進めていたお客様に対して、セキュリティ面の課題からオンプレ版に提案内容を変更したことがあります。
自社のセキュリティ要件が高い場合は、クラウドERPかオンプレ版ERPのいずれを検討するか早めに判断するためにも、ベンダーにセキュリティ要件を事前に確認した方がいいでしょう。また、利用するサービスによって必要なサーバースペック、システム構成が異なるため、オンプレ版ERPの導入を検討する際は自社で用意するサーバーのスペックなども事前確認が必要となります。
導入面
新システムの稼働時期が明確に決まっており、それまでに十分な時間がある企業はオンプレ版ERPの導入が向いていると言えます。
オンプレ版ERPは、要件定義やカスタマイズ部分を含めた開発などが行われるため、クラウドERPよりも稼働するまでに時間が掛かり、サービスによっては半年から1年以上掛かることもあります。時間は掛かりますが、ベンダーが蓄積しているノウハウをもとにスケジュールの提案が受けられ、ベンダー主体でシステム導入が行われます。稼働時期の目安が立てやすいのはオンプレ版ERPのメリットになります。
また、自社でシステムの設定をすることに不安がある場合やベンダーから手厚い導入支援を受けたい場合もオンプレ版ERPの方がマッチしていることが多いです。例えば要件定義の進行やデータ移行の準備に対するアドバイス、ユーザへのトレーニングなどオンプレ版ERPではクラウドERPよりもベンダーから様々なサポートを手厚く受けることができます。
ただ、要件定義への参加や成果物へのレビュー、移行データを作成するなどオンプレ版ERPの導入でも自社で行う作業はあります。クラウドERPに比べてオンプレ版ERPはベンダーからの支援が手厚くなりますが、システム導入のための要員・時間の確保が重要となります。
最後に
様々な角度からオンプレ版ERPを導入に適した企業について紹介しました。見ていただいたように様々な異なる面があるので、製品・サービスの提供会社に詳しい話を聞きながら、どちらを選択するのか検討してみてはどうでしょうか?
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筆者プロフィール
- 仕事終わりにバーベルを挙げるのを楽しみにしている営業職。
スクワットベスト230㎏。必殺技は右肘のプレスアウト。
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