ERPでのAI活用を考える

ChatGPTをはじめとする対話型のAIや、Stable Diffusionのような画像生成型のAIがここ1年ほどで急速に広がりを見せています。

私の知る限り、業務システムの世界では、AI機能が搭載された製品といっても、文字を読み取るOCRや、経費の自動分類・入金の消込といった学習機能等、一部に限られているという認識です。最終的には、機械言語を使用せずに日本語や英語といった自然言語だけで設定や開発、運用ができるという事が1つの到達点ではありましょうが、そこまでは流石に時間がかかりそうです。(昨今の、AIの驚異的な進化を考えるとそう遠くないかもしれませんが!)

本記事では、ERPの営業を長年担当している筆者が、ビーブレイクシステムズのERP、MA-EYESにAIを活用するとすれば、どのようなことができそうか、少し考えてみました。

1.検討/選定段階の補助

顧客がERPを検討/選定する段階においては、口頭で質疑応答を行う、RFPという形で求める機能を文書化して回答を依頼するという過程があります。

ERPの機能は多岐にわたり、回答を予め用意しておくチャットボットでは、単純な質問にしか対応することができません。対話型のAIにより、精度の高い自動回答を行うことができる可能性があります。

また、予算の都合上、金額感を早めに知りたいという顧客は多いですが、すぐにお伝えできるのは標準価格や人数×ライセンスで算出する簡便なものです。しかしAIを用いて、質疑応答をベースにカスタマイズ費用等も含め、過去のデータから概算見積もりを短期間で掲示することも可能になるかもしれません。

 

2.データの出力

ERPの利用経験がない方は意外に思うかもしれませんが、現状のERPでは、そのままの状態で見たいデータをすぐにパッと出力できるわけではありません。

基本的な経営管理の帳票はどの製品も一通り備えていますが、企業それぞれに独自の切り口や管理項目があり、標準的に用意されているものでは十分ではなく、カスタマイズで独自帳票を開発したり、出力したデータを手作業で加工している企業は多いです。BIツールの利用も一般的になっていますが、”好きなデータを誰でも簡単に”とは言い難い状況です。

AIは既に簡単なコードやSQLを生成することができますので、例えば、赤字のプロジェクトを一覧で見たいときに「2022年4月から2023年3月の間に原価が発生しているプロジェクトで損益の値が負であるものを出力してほしい」と指示を出すことにより、その情報を出力するような機能は容易に実装可能でしょう。

上記例は単純ですが、「この製品の部署ごとの四半期で前年比の~」といった会社ごとの細かいデータ抽出が自然言語でできるようになると、大きな助けになります。

 

3.意思決定の補助、異常値の発見

データの中から何らかの法則を見つけたり、予測をしたり、通常とは異なるようなデータを検知したりする事はAIの得意分野でしょう。

例えば案件を登録し、半期の時点で通期の売上や利益を高い精度で予測し、予算達成の見込みがあるのか、予算達成が難しそう場合に、案件が◯本追加されれば達成しそうだ、といった指標を掲示する機能などは、多くの方が欲するのではないでしょうか。

不正が疑われる「怪しい」データを発見することにも使えそうです。

 

AI活用の課題

AIを活用する上での課題としては、やはり「精度がどうなのか?」ということになるのではないでしょうか。セキュリティの観点での問題もありますが、それはクラウドのERPがある時点で既知のものでしょう。

答えがあるものは正誤判定が容易ですが、そうでないものもあります。回答の質が担保されなくては混乱を招くだけです。特に予測に関するものは、天気予報のようにあくまでも確率論にしかならない部分はあります。

また、例えばChatGPTはオープンなWEB上の情報や書籍から学習していますが、企業の経営情報は機密情報であり、公開されているのは財務諸表等大きなものだけなので、自社のデータだけをデータセットとした場合には、学習量の面で精度が上がって来ない可能性があります。

 

最後に

本記事では当社のERP、MA-EYESでのAI活用について営業的視点から検討をしてみました。2023年7月現在では、MA-EYESにおけるAI活用で発表できることはないですが、顧客利便性を高めるべく、様々な研究開発を行っております。

当社のプロジェクト管理型クラウドERP、MA-EYESにご興味がある方はぜひお問い合わせください。

 

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