最近のERPの市場動向とトレンド

企業活動においてITの存在は今や欠かせません。今回は社内の業務全般を統合的に管理できるシステムとして知られている「ERP」の最近の動向などについて考察していきます。

 

最近のERPの市場動向

国内外問わず、ERPの市場規模に関する調査レポートは様々な会社から出ていますが、「ERP市場規模は年々大きくなり、この傾向はしばらく続く」という点は多くのレポートで一貫しているようです。

ERPに関する調査レポート(一例):
https://www.grandviewresearch.com/industry-analysis/erp-software-market
https://www.strategicmarketresearch.com/market-report/erp-software-market
https://www.itr.co.jp/report/marketview/m23000600.html
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3032

 

日本国内においては、既存システムの老朽化(今の経営環境に合っていない)や、各種法制度の改正などへの対応などの必要性から社内の業務管理システムのリニューアルやリプレイスなどを検討している企業が増えていることも、ERPの案件が増加傾向にある要因の一つではないでしょうか。

 

ERPのトレンド

クラウド化の流れは止まらない

さきほど紹介したのERP市場規模に関する各種調査レポートを見ていると、ERPの中で特にクラウドERPは伸びていてるのが分かります。クラウド化の流れはERP特有の話というよりも、IT全般に言えることなので、クラウド化の流れはしばらく続くものと考えています。

 

AIなど最新技術の組み込み

昨今、対話型AIや画像生成AIなどの開発が急速に進み、ビジネスの現場でも使われるようになりました。企業の業務管理の分野でも同様にAIの活用は期待されます。現時点では、ERPの適用範囲内においては、文字を読み取るOCRや入金の自動消込など一部の機能に限られているようですが、これからAIの活用シーンは増えることでしょう。

ERPとAIに関する考察は、以前別の記事でご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。

参考記事:ERPでのAI活用を考える

 

様々なシステムとの連携や複数のシステムを組み合わた利用も

最近、様々なクラウドサービスが出てきています。これまでERPなどではカバーできなかった業務を支援するサービスも多く、このようなサービスを利用することで業務の大幅な効率化を実現することも可能になってきました。ERPと特定業務を支援するクラウドサービスを併用することで課題となってくることは、システム・サービス間のデータの重複管理や連携です。

ここ数年は、多くのERPベンダーは、システム・サービス間の連携にも力を入れるようになっています。ベンダーごとにCSV連携やAPI連携など多種多様な連携の方法を提示しているので、複数のシステム・サービスを利用しながらも、効率的な業務管理が実現可能になっています。

 

このやり方は、ガートナー社が提唱する「ポストモダンERP」とも一致しているところがあります。ポストモダンERPとは、コアとなるERPを中心に置き、その周囲にクラウドサービスなど複数のアプリケーションを連携するという考え方です。この考え方は以前より提唱されていますが、ここ数年の間に日本でもこのようなERPの利用が進んできているようです。

 

他には「2層ERP」という方法もあります。これはメインのERPとサブのERPを組み合わせて使う方法です。2層ERPは、どちらかというと大企業や海外展開している企業などで採用される方法で、例えば、本社で使用するERPと異なるERPを各拠点で使用し、これらのERPをデータ連携して管理・把握します。本社と同じERPを無理して使うことで各拠点の業務の負荷が増大してはシステム化の意味がありませんので、その拠点に合った別のERPを使うということです。ここで重要なことは、それぞれのシステムは別々でもデータを連携させることで、本部(本社)にはすべての必要な情報が集まり、経営判断に役立てることができるという点です。

 

このように様々なシステム・サービスを使いつつ、それぞれのデータを連携し、必要な範囲で利活用する仕組みで基幹業務管理システムを構築する企業はこれからますます増えるのではないでしょうか。

 

いま、ERP導入時に重視すべきことは

クラウドなのかオンプレミスなのか

前述した通り、クラウドERPが伸びていますが、オンプレミスによるERPも引き続き多くの企業で採用されています。どちらか一方のみを提供している製品もありますし、ビーブレイクシステムズが販売しているERPシステムMA-EYESのように、クラウドでもオンプレミスでも提供している製品もあります。クラウド、オンプレミスのどちらか一方がいいというわけではなく、会社の状況、求める要望などにより、お勧めする提供形態が異なります。2つを合わせたハイブリッドでの形態もあるでしょう。

最初から「ERPはクラウド(もしくはオンプレミス)製品だけを探しています」という企業担当者の方もいるかと思いますが、どちらが自社に合っているのかは会社の状況や利用用途、製品によっても異なりますので、絞り込む前に一度ERPベンダーに相談してみることをお勧めしています。

 

自社で使える機能とコストの最適なバランスを考える

ERPは、一般的にいろいろな業種や事業の業務をカバーするために、数多くの機能を標準で搭載しています。一見、いろいろな機能があることがいいようにも思えますが、そのすべてが自社で使えるかどうかは分かりませんし、多くの機能があることでライセンス料や利用料が高くなることもあります。あらかじめ用意されている機能が多いERPが自社に合っているかどうかはよく見極める必要があります。

 

ERPの中には特定の業種に特化した製品もあります。業種特化型のERPであれば、その業種特有の商習慣や業務フローに対応しているため、そのまま自社で使える機能も多いでしょう。汎用的な製品に比べるとコストが抑えられる傾向にあります。

 

機能とコストを見比べながら、自社にとって一番最適な製品を選びましょう。

 

 

導入時はもちろん、稼働後のサポート内容は必ずチェック

一般的にERP導入は一つの部署単独で行うわけではなく、全社的なプロジェクトになります。スムーズな導入のためには、ERPベンダーがどこまでサポートしてくれるのかをきちんと把握し、それに応じた社内体制を準備する必要があります。

ERPベンダーによって、サポート(有償・無償)の範囲は大きく異なります。会社によってはオプションだとしても付けておいた方がいいサポートサービスなどもあるので、ERP導入の成功のために、ERPの機能とコストだけではなく必ずサポートの内容は細かく確認しながら、社内体制を構築していきましょう。

 

稼働後のサポートサービスも重要です。使用方法が分からない、障害が発生したなど、様々な困りごとがシステムを稼働すると発生します。導入時と同様、ERPベンダーごとにサポートの範囲は異なるため、「ここまでやってくれると思っていたのに…」となることもあるかもしれません。トラブルが発生した際に、自社内で対応することとERPベンダーが対応することを明確に切り分けるためにも、あらかじめサポートの内容を確認しておく必要があります。

 

 

最後に

ERPが最初に生まれたのは1973年(ドイツに本社を持つSAPの「R/1」)といわれ、半世紀になります。すでに成熟している市場であるにもかかわらず、ERP市場がいまだに成長し続けているのはなぜでしょうか?

 

それは、新しいニーズ・新しい技術を取り込みながらERP自体が成長していることが要因の一つではないかと私は考えています。企業を取り巻く環境は日々刻々と変化していきます。企業の成長をサポートをするためにERPもともに成長しているのでしょう。

 

ビーブレイクシステムズが提供するクラウドERP MA-EYESもお客様の声を聴きながら、成長しています。

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