働き方改革を知る(8)テレワークで始めよう これからの働き方改革

テレワークとは、ICTを利用して、時間や場所にとらわれず働くことを指します。「tele=離れたところで」と「work=働く」をあわせた造語です。
テレワークの推進は、働き方改革の大方針の一つ、「柔軟な働き方がしやすい環境整備」で掲げられている施策です。本施策の要点は以下の図の通りです。

また、フレックスタイム制や事業場外みなし労働時間制度を活用できるようにする等、
ガイドラインを改定し、労働時間の算定が困難な場合にも労働時間管理を行いやすいよう法整備の観点から体制を整えます。

テレワークというと、在宅勤務をイメージする方も多いかと思います。在宅勤務とは、企業に勤務する被雇用者が、自宅を就業場所として業務を行うことですが、実は、次のような働き方もテレワークに含まれます。

  • モバイルワーク

場所にしばられず、移動中や取引先でパソコンやモバイル端末を利用して、ドキュメント作成や、メールや電話で連絡等を行う働き方です。

最近のWi-Fi環境の充実や携帯端末の高機能化に伴い、社外でも社内の必要なデータにアクセスできる環境が整ってきており、普及が進んでいます。営業職等に向いていているテレワークの形態です。

  • サテライトオフィス

勤務先以外のオフィススペースを利用する働き方です。本社と離れた地方や、遠くに住む従業員の自宅近くにオフィススペースを設けることで、遠方社員の通勤時間を大きく短縮できます。

また、上にご紹介した自分の会社の仕事をオフィス以外で行う働き方だけでなく、SOHOや個人事業主のように自ら仕事を請け負って自宅等で働く働き方もテレワークに分類されます。

これを雇用型に対して非雇用型と呼びますが、政府は雇用型と非雇用型のどちらもテレワークを推進する方針を掲げています。

テレワーク導入のメリット

そもそも、なぜテレワークの推進が大々的に掲げられているのでしょうか。導入のメリットを幾つかの観点でまとめました。


社会的メリットは、働き方改革の大目的である 働き手の数の増加 です。

テレワークの実施によって、子育てや介護等で働ける時間や場所に制限があり、フルタイムや会社に出勤しての勤務が難しい社員も、在宅等で働くことができるようになり、働き手の数が増えます。

 

企業側のメリットは、これも働き方改革の大目的の一つである、生産性の向上 です。

実際に厚生労働省がテレワークで働く社員に行ったアンケート調査では、「電話や話し声に邪魔されず、業務に集中できる」ようになったというメリットを7割以上の方が挙げており、生産性の向上を実感している方が多くいます。


(出典)厚生労働省「平成26年度テレワークモデル実証事業」(従業員アンケート)
http://work-holiday.mhlw.go.jp/material/pdf/category7/04.pdf

 

一方、デメリットとして、公私の切り替えが難しい、深夜や休日も仕事をしてしまいがち 等の意見も全体の2~3割ほど挙がっています。


(出典)厚生労働省「平成26年度テレワークモデル実証事業」(従業員アンケート)
http://work-holiday.mhlw.go.jp/material/pdf/category7/04.pdf

メリットデメリットありますが、総務省「平成28年通信利用動向調査」によれば、「導入している企業の『一社当たり労働生産性』は、導入していない企業の1.6倍」とテレワークの導入と生産性の向上に相関があることが実証されています。

 

働き手のメリットは、多様な働き方を選べることによるワークライフバランスの向上や自分の裁量で自律的に働くことによるモチベーションの向上 などが挙げられるでしょう。

労働に対する制限が取り払われ、多様な働き方が可能になることによって、将来に対する不安や心配の解消に繋がりますし、ワークライフバランスの向上によって、心身の健康を維持し、より活力ある生活の実現につながるなど、働き手にとっても大きなメリットがあります。

テレワークの取組状況

テレワークに対する日本企業の取り組み状況は以下のようになっています。


(出典)総務省「平成28年通信利用動向調査」
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/170608_1.pdf


(出典)総務省「平成28年通信利用動向調査」
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/170608_1.pdf

このように、テレワーク導入企業はまだまだ少数で、かつ、導入企業でも利用している人は少数であることがわかります。

一般的な認知度も低いです。


(出典)総務省「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」(平成28年)
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h28_03_houkoku.pdf

ICT技術の発達の割にテレワークの導入や利用が進まない理由は大きく以下の4つに整理できます。

  • 文化面
    仕事は会社に出社してすべきという意識が根強い
  • 業務面
    対面でのコミュニケーションが取れない
    テレワークに適した仕事がない
  • セキリュティ面
    社外での作業は情報漏えい等のセキリュティリスクが高い
  • 労務管理面
    直接監督者が労働状況を把握できないため、労務管理が困難
    同様の理由で人事評価が難しくなる

様々ありますが、特に普及が進まない理由として大きいのは、文化面や業務面でしょう。

先ほど、テレワークの制度がある企業の多くで、利用が浸透していないというデータをご紹介しました。このことからも社員の意識改革が十分に行われていない企業が多いことがわかります。

新しい働き方に対しては、以前とは異なる働き方に対する不安や、今後のキャリアに対する不安を感じるのは当然です。

利用の浸透をはかるには、単に制度を用意するだけでは不十分で、上記のようなネガティブな印象を解消し、社員の意識改革をすすめることが必要になります。

「意識改革」とともにITツールの利用検討をすすめることで、業務面の仕組みづくりや、労務管理面の体制の強化を行い、制度自体もよりよいものにブラッシュアップしていくことが必要です。

テレワークの実施体制強化に有効なITツールの例として以下のようなものが挙げられます。

  • 業務面
    グループウェア、チャットツール、Web会議システム
  • 労務管理面
    クラウド型勤怠管理システム

テレワークでは、会社の人とのコミュニケーションを取りづらいという業務面の問題があります。これを解消し、業務を円滑に進める環境を整備するために、情報の共有ややり取りをスムーズに行えるグループウェアやチャットツールなどの導入が有効です。

また、在宅勤務では、カードリーダーや入退室管理システムのように、会社に行かないと勤怠実績を登録できないような仕組みを利用することができません。

在宅勤務者の勤怠を正確に把握するには、クラウド型勤怠管理システム等、Web上で勤怠管理を行えるツールの導入が必要です。

テレワークは最近誕生した新しい就業体系であることから、導入検討を手探り状態で行っているケースが多いです。企業が導入を検討する際に参考となる事例、モデルケースなどの充実が求められています。

政府は、テレワークの周知やガイドラインの充実等によって、企業側がテレワークの実施に踏み出しやすい環境づくりを行っていく方針です。

非雇用型テレワークを取り巻く現状

これまで、雇用型テレワークについて述べてきました。最後に、非雇用型テレワークを取り巻く現状についてご紹介します。

ICTの進展によって、クラウドソーシングが急速に拡大し、雇用契約によらず個人が自ら仕事を請け負う機会が多くなっています。

クラウドソーシングとは、業務の一部をプラットフォーム上で不特定多数の人に依頼する、アウトソーシングの一形態を指します。

クラウドソーシングを通じた取引は、取引ルールの整備がまだまだ追いついていません。そのため、契約を巡る様々なトラブルが発生しています。


(引用)厚生労働省「自営型(非雇用型)テレワークの現状と課題」
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000179561.pdf

また、雇用者向けの教育支援を受けることができず、教育機会が少ないという問題もあります。

働き方改革では、これらの問題の解消のため、以下のような施策を実施します。

  • ガイドラインの改定
    働き手と発注者の相対契約を前提としている現行のガイドラインを、クラウドソーシングの実態を考慮した内容に改定する。また、クラウドソーシングの業界として守るべきルールを明確化する。
  • 働き手への支援
    非雇用型テレワークの働き手に必要なノウハウ(契約時に確認すべき事項、関連法令等)をまとめた 働き手向けのガイドブックを改定する。また、セーフティネットの整備や教育訓練等の支援策を検討する。

まとめ

テレワークは企業側、働き手双方にメリットがある新しい働き方です。

しかしながら、本記事中でご紹介したように、文化面、業務面、セキリュティ面、労務管理面と、導入の障害となる要因が多いことは事実です。

これらの障害を克服し、導入を成功させるためには、制度を構築するだけでは不十分です。テレワークに対する不安やネガティブな印象を解消しなければ、制度が確立されていても利用がなかなか浸透しないからです。

ITツールの導入によるテレワークの仕組みづくり、テレワーク制度自体の構築はもちろんのこと、意識改革に重点を置いて進めていくことが重要なポイントです。

皆さんもぜひテレワークの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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