【インタビュー】副業経験が業務に活きる!!個人の力を活性化させる自由な働き方とは

株式会社クラウドワークスは、「働き方革命」をビジョンに掲げ、全従業員を対象に副業やリモートワークなどの多様な働き方を体現するための新人事制度「ハタカク!」を2017年7月より開始しました。

本日は、株式会社クラウドワークス ヒューマンサポートDiv. 人事チーム 太田 哲司様にお話を伺いました。

新しい働き方を生み出すという想い

—「ハタカク!*」を始めた実施の背景を教えてください。

政府により働き方改革が叫ばれる以前から当社は「働き方革命」というビジョンを掲げ、「働き方の多様化」をテーマとしています。今まで働けなかった人が働ける、個人の力を活性化させることを目指しています。

 

当社はインターネット上で個人と企業を繋いで仕事の発注と受注を結びつけるクラウドソーシングサービスを提供しています。例えば、フリーランスで企業に属さない方たちが自宅で業務ができ、働く時間を自分で調整できる多様な働き方を社外に向けて提供しています。

 

そのなかで、「働き方の多様化」を社内でも実現させるべきではという議論があり、「働き方の多様化」により「生産性が向上する」など高い成果を上げる可能性があるため取り組みを始めましました。

 

それから、ビジョンを社内外問わずに浸透させていきたいという想いから、段階的な導入ではなく1つのパッケージにまとめて導入することを決めました。

 

*「ハタカク!」はクラウドワークスのビジョンを体現するためにある制度で、福利厚生ではありません。

多様な働き方を実践するための人事制度

—今回の取り組みの目的について教えて下さい。

社員が社外の様々な業務に携わることによりスキルや経験の幅を拡大することです。また自ら新しい働き方を実施することにより得た知見でサービス改善と新事業開発を促しビジョンを体現することです。

—「ハタカク!」で実施した内容について教えて下さい。

新しい働き方を取り組むにあたり、「自社の制度に何を導入するべきか」について議論していたときに、最初に着地したものが「副業の自由化」「リモートワーク」「フレックスタイム」でした。現在この3つの制度は「ハタカク!」に含まれています。

 

まず1つ目「副業の自由化」は、基本的に上長への申請・承認の必要がありません。
休日を除き週5時間以上副業に時間を使う場合や、他社と雇用関係を結ぶ場合には申告が必要です。また、もちろん自社サービスの「クラウドワークス」を利用した副業も可能です。

 

2つ目「リモートワーク*」は、週3日まで全社員が、オフィス以外の場所で就業できるようにしています。

 

3つ目「フレックスタイム*」は、ライフイベント・ライフスタイルに合わせ柔軟に勤務時間を選択できるようにしています。

 

*2018年7月「ハタカク!」リニューアルにより、フルリモート・フルフレックス制度を試験的に開始。

自由なルールの中にそれぞれの自主性が活きる

—制度の導入をどのように行ったのですか。

まずグランドルールを作って大枠だけ固めて、他の細かいルールはチームに委ねる形で、導入をすすめました。

 

プロダクトの事業はチーム単位で動くことが多く、目的別のチームがありエンジニアもデザイナーも企画もいる中、細かい動きをチームの話し合いの中で決めていく自治のようなものがあります。

 

ですから、「ハタカク!」の活用ルールはチーム毎の自治に任せて、それぞれの最良のルールを考え適用しようという形で動いており、社員の自主性に任せている部分が多いです。

上長が積極的に制度を活用し、社員が使いやすい雰囲気を醸成

—「ハタカク!」を浸透させるための取り組みについて教えてください。

制度を開始するにあたり社内向けの活動として、社員向け説明会の実施をしました。また、普及活動として「ハタカク!」のロゴなどを作成しポスターを掲出したり、社内のチャットツールで「ハタカク!」のスタンプを作成したり、日常に溶け込ますことで共通言語化していきました。

 

あと、非常に効果的だったことは、マネージャーなどの上長が積極的に制度を活用し、社員が制度を活用しやすい雰囲気を醸成したことです。

 

具体的には、エンジニアのマネージャーがフレックス制度を使って定刻前に子供のお迎えに行ったり、子供が体調を崩した際に在宅でリモートワークをしたり、フレキシブルに活用ができたため全体として自然に浸透したように思います。

 

社外向けの活動では、プレスリリースを出し、同時に自社コンテンツを開設し、「ハタカク!」の取り組みをはじめ、自社で開催しているイベントや社員の登壇レポートなどを掲載しました。

社外で仕事をすることで社員のスキルや経験の幅が広がる

—どのような導入メリットがありますか。

社員が副業を通じ様々な社外の業務に携わることで、会社では扱っていない新たな技術や知見を身につけて、経験の幅を拡げスキルを向上させるメリットがあると考えています。

 

若いメンバーは転職経験やこれまで見てきた会社数が少ないので、副業を通して自ら新しい働き方を実施することにより、自社のサービスや会社に対する客観的な良し悪しを評価できるようになり会社として課題の発見や改善点をフィードバックすることができます。

 

社外の様々な業務に携わることで得た知見をもとに、新規事業開発を進めビジョンを体現できると考えています。

副業での経験が本業に活きたと9割の社員が回答

—「ハタカク!」導入後にアンケート調査を社員に実施したそうですね。反響はいかがでしたか。

クラウドワークス社内の102名の社員(正社員、契約社員、業務委託、アルバイト)に対し副業が解禁になった後にアンケートを実施しました。

 

Q:副業はしていますか?(102件の回答)

[出典:2018年クラウドワークス調べ]

 

副業制度に関し、既に約3割の社員に利用経験があり、ほか約3割の社員も現在副業を検討していると回答がありました。

 

さらに副業経験のある社員に「本業(クラウドワークス)での業務に活かすことができたか」と質問をしたところ、約9割が「副業での経験が本業に活きた」と回答しました。

 

また、クラウドワークス社内の111名の社員(正社員、契約社員、業務委託、アルバイト)に対して、リモートワークが解禁になった後にアンケートを実施したところ、既に67.6%の社員にリモートワーク利用経験がありました。

 

さらに、リモートワーク経験のある社員に生産性について質問したところ、「生産性が落ちた」と答えた社員はゼロ、6割は「生産性が上がった」、4割は「変わらない」と回答しました。

 

コアタイムや利用上限を撤廃した「フルリモート・フルフレックス」制度へ

—「ハタカク!」をリニューアルしたそうですね。

はい。「ハタカク!」のリモートワーク、フレックスタイムの制度の見直しを行い、2018年7月中旬に「ハタカク!」をアップデートしました。

 

「ハタカク!」を二年間推し進めてきて、やっと形になってきましたが、当社のビジョン「働き方革命」を実現するためには、もう一段上のステージを目指し挑戦していきたいと考えています。

 

今回の大きな変更点は、「フレックス」のコアタイム(10:00-16:00)を撤廃した「フルフレックス制」、週の利用上限3日を撤廃した「フルリモート制」です。

 

今回のアップデートでは、まずエンジニア・デザイナーなどが在籍しているプロダクト事業部で試験的に実施し、3か月かけて検証を行っていく予定です。

 

ビジネスチャットでコミュニケーションは円滑に

—どのような業務管理を行ってますか。ITツールの活用も含めて教えてください。

日々のコミュニケーションはほぼSlack(スラック)で行っています。もともとチャットでのやり取りに馴染みのあるエンジニア文化の会社のため、電話やメール、対面でのミーティングといったコミュニケーションコストを極力抑えるというところで生産性を高めています。1対1のコミュニケーションだけでなく、プロジェクトやチーム毎に専用のチャンネルを作ることができるのでコミュニケーションが円滑に進みます。

 

また、営業関連の部署では、営業支援システムを導入し案件毎の原価予実管理を徹底しています。例えば、請負案件において受注前に見込みとしてどれくらいの工数がかかるか予算を立てます。受注後はどの作業に何時間かかったかを日次で実績登録をしてタイムリーに進捗を把握できるように管理しています。そして案件終了後に、予算と実績のズレなどについての原因分析を行っています。

 

プロダクト関連の事業部ではバーンダウンチャートでプロジェクト管理をすることでプロジェクトの全ての作業を見える化します。朝会と夕会を開催しプロジェクトメンバーが作業報告や課題のシェアなどを行います。リモートエンジニアなどその場にいないメンバーもいますので、Webを介したビデオチャットツールを活用したミーティングも頻繁に行われています。

まずは「やってみること」で懸念より多くの「学びやメリットが得られる」

—これから「働き方改革」を始める企業の担当者に向けてメッセージをお願いいたします。

基本的には性善説に基づいた自己管理が前提にあり、心配事を挙げればきりがありませんが、まずは「やってみること」だと思います。

 

人生の様々なライフイベントが起こる中で、社員がいかにしてバリューを発揮し帰属意識を持ち成果を上げるかは会社の責任だと思っています。ある社員が家庭の事情でフル勤務が難しくなったときに、本当はまだ働きたいのに会社を退職しなくてはならないことはとてももったいないことだと思っています。

 

ですから当社は社員がフレキシブルに働ける環境を整備することが役割だと考え「ハタカク!」を取り組んでいます。

 

懸念点はあげたらきりがないけれど実際にやってみると懸念よりも多くの「学びやメリットが得られた」と個人的に思っているので、少しでもやってみたいと思っている方がいればまずは、スモールスタートで社内の小さめのチームとか、自社内で新しい取り組みに向いているチームで試してみるのが良いと個人的に思います。

これまで以上に就業形態の多様化がすすむ

—今後の展開を教えて下さい。

これまで以上に労働者の就業形態が多様化してくると思っています。
当社は企業の一歩先を旗振り役として「新しい働き方」を作っていけるよう、制度や福利厚生をひとつひとつ考えていきたいと思います。

500写真は、太田さんとマスコットキャラクター『クービット』のツーショット。
本日はありがとうございました。
■会社データ

https://crowdworks.co.jp/

社名:株式会社クラウドワークス
所在地:東京都渋谷区恵比寿4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー6階
設立:2011年11月11日
従業員数:130名
上場市場:東証マザーズ
資本金:20億9,039万円 ※2018年6月末現在
代表取締役社長 CEO:吉田 浩一郎
業種:IT
事業内容:インターネットで仕事を受発注することができる日本最大級のクラウドソーシングサービス「クラウドワークス(https://crowdworks.jp/)」をはじめとした個人に報酬を届ける事業を展開。(2018年7月現在、提供サービスの登録ユーザーは208万人、クライアント26万社に達し、内閣府・経産省・外務省など政府12府省を筆頭に、80以上の自治体、行政関連団体にも利用されている。

 

※上記内容はインタビュー時点の情報に基づき作成されています。
※その他、記載されている社名、製品名またはサービス名は各社の商標または登録商標です。

筆者プロフィール

WORK-PJ編集部
WORK-PJ編集部ビーブレイクシステムズ
新しい「働き方」やそれを支えるITツールにアンテナを張っています。面白い働き方を実践している人はぜひ教えてください!

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