【デジタルインボイス対応】認定Peppolサービスプロバイダーの状況

デジタルインボイスについて

10月からインボイス制度が開始します。それに合わせて、請求書情報をデータ化した「デジタルインボイス」の普及が推進されています。

企業が、デジタルで請求から決済までを一括で処理できる仕組みを整えることで、企業間の決済が簡単にできるようになります。デジタルインボイスに載せられる情報はいくつかありますが、具体的には請求書発行日、請求金額、連絡先などがあり「どの請求書に対する支払いか」がすぐにわかるようになるなどのメリットがあります。お金を受け取る側の企業は、会計ソフトを使うことで、この情報を自動で記録できるようになります。それにより、企業の決済や会計業務を大幅に効率化できることが期待されています。これは入金側にとって非常に恩恵が大きいと言われています。例えばデジタルインボイス未対応の通常の送金では、宛先や金額などの情報くらいしかないため、受取側はその内容を確認するための作業が必要になったり、場合によっては送金元に連絡をして、この入金は何のお金かを確認しなくてはならないのですが、デジタルインボイス化が進むことで、こうした確認作業にかかる負担が軽減されると考えられています。

 

ここで、デジタルインボイスという言葉について、簡単に説明しますと、EIPA デジタルインボイス推進協議会では、「標準化され構造化された電子インボイス」と説明されています。言い方を変えると「共通のルール(=Peppol)に基づき、異なるソフトウエア・アプリケーション間でもやり取りが可能な電子インボイス」となります。

参考: デジタルインボイス推進協議会 デジタルインボイスとは

 

Peppolについて

「Peppol」とは、「Pan European Public Procurement Online」の略で、デジタルデータとしてインボイス情報を送受信するための規格で、電子文書をネットワーク上でやり取りするための「文書仕様」「ネットワーク」「運用ルール」に関するグローバルな標準仕様です。国際的な非営利組織である「OpenPeppol」という団体により管理されています。デジタル庁は、2021年9月、「OpenPeppol」の正式メンバーとなり、日本の管理局(Peppol Authority)としての活動を開始しています。デジタル庁や国際団体であるOpenPeppolなどに認定を受けることにより、Peppolサービスプロバイダーとしてアクセスポイントの提供が可能になります。

 

国内では、デジタル庁がPeppolの国際標準規格であるPINTに準拠したJP PINT(日本におけるデジタルインボイスの標準仕様)を策定しています。

JP PINTとは、グローバルな標準仕様である「Peppol」をベースとした日本におけるデジタルインボイスの標準仕様のことです。

参考:デジタル庁 JP PINT

 

財務会計や請求書サービスを提供するベンダーは、Peppolサービスプロバイダーに接続することで、相互にインボイス情報をやりとりできるようになります。例えば、請求書を作成する時、デジタルで作成し紙で顧客に送付する、というケースがあると思いますが、Peppolを活用することで、デジタルで作成した請求書をデジタルで送付処理することができるようになります。

 

デジタルインボイス、Peppolに関するより詳細な説明は以下の記事にまとめていますので、こちらもぜひチェックしてみてください。

インボイス制度とデジタルインボイス ~デジタルインボイスって何?~

 

日本の認定Peppolサービスプロバイダ

現時点の日本における認定Peppolサービスプロバイダー一覧が、デジタル庁より公開されています。

 

参考:デジタル庁 日本における認定Peppol Service Provider一覧

 

認定プロバイダーになっている企業は、デジタルインボイスの送受信時に必要なアクセスポイントの提供が可能です。では、Peppol認定サービスプロバイダーとなっている企業はどのような活動をしているのでしょうか。具体的に企業のサイトを参考に見ていきましょう。

 

ウイングアーク1st株式会社

https://www.wingarc.com/product/ia/peppol_vendor/

Peppolで請求データのやりとりができれば、請求書関連の電子データを直接システムで処理することが可能となり、またPeppolネットワークを利用することのメリットとして、適格請求書番号を確認する作業にかかる作業工数を削減できたり、作業で発生する入力ミス、照合ミスなどのリスクを軽減できるなどが挙げられています。

同社のインボイス制度対応電子帳票プラットフォーム「invoiceAgent」を使えば、Peppol経由の送受信に加え、適格請求書の多様な手段での受領や配信を行うことができるとのことです。

デジタルインボイスの送受信双方における電子帳簿保存法に従った保管も担保されます。また、Peppolデータからの帳票変換が可能となります。帳票変換により、視認性が高まることで人による内容確認も容易となります。

つまり、Peppol サービスプロバイダーであるウイングアーク1stのサービス単独でPeppol対応が可能となります(開発中の機能も含む)。

 

( https://www.wingarc.com/product/ia/peppol_vendor/ に掲載の情報をもとに筆者作成)

開発中の機能などもあるようなので、詳しい情報は以下をご確認ください。

https://www.wingarc.com/product/ia/peppol_vendor/

 

弥生株式会社

https://www.yayoi-kk.co.jp/company/pressrelease/20230221.html

 

こちらは、子会社のアルトア株式会社がPeppol Service Providerとして認定されているケースになります。

弥生株式会社製品「スマート証憑管理」が今春以降デジタルインボイスに対応するとのことです。弥生シリーズとスマート証憑管理の組み合わせでインボイス制度への対応をする提案をしています。

 

詳しい情報は以下をご確認ください。

https://www.yayoi-kk.co.jp/products/smart/shohyokanri.html

 

その他、認定サービスプロバイダの状況

ここからは各社が発表しているプレスリリースやサイトに掲載の情報を引用してご紹介します。

 

株式会社オージス総研

2023年10月から開始されるインボイス制度の要件に従って、企業間の請求処理を電子的にデータ交換できるEDIサービス「デジタルインボイスサービス」の提供を開始します。

このサービスは、デジタルインボイスのデータ連携だけではなく、注文~支払いの業務までデータの送信者および受信者のバックオフィス業務の効率化に貢献する機能となります。

( https://www.ogis-ri.co.jp/news/20221020_001.html より引用)

 

富士通Japan株式会社

「Fujitsu 流通EDIサービス TradeFront/6G(トレードフロントシックスジー)」と、製造業向け「Fujitsu 資材調達支援サービス ProcureMART(プロキュアマート)」などのEDIサービスおよびその他の会計関連サービスについて、Peppolネットワークとの接続機能の構築に2022年12月6日より着手し、Peppol 対応サービスとして2023年上期からの提供を目指します。

( https://www.fujitsu.com/jp/group/fjj/about/resources/news/topics/2022/1206.html より引用)

 

ファーストアカウンティング株式会社

売手が送信した請求書データをPeppol形式に、買手が受信したPeppol形式の請求書データを指定の形式に変換するエージェント機能の提供を予定しています。

( https://www.fastaccounting.jp/service/peppol より引用)

 

株式会社マネーフォワード

バックオフィスSaaS『マネーフォワード クラウド』のデジタルインボイスへの対応を進めていくと同時に、サービスプロバイダ―として国内のデジタルインボイスの普及と利活用に取り組んでまいります。

( https://corp.moneyforward.com/news/release/service/20230216-mf-press/ より引用)

 

株式会社TKC

最新バージョンの「インボイス・マネジャー2022」では販売管理システムのデータと連携してペポルインボイス(デジタルインボイス)を発行することが可能です。
インボイス・マネジャーを活用すれば、請求書等の発行・受領・保存にかかる手間やコストを大幅に削減できます。

( https://www.tkc.jp/consolidate/invoicemanager/ より引用)

 

株式会社トラベルデータ

Peppol実装専用パワーツールbondance endpoint -APIを活用し、お持ちのシステムで「デジタルインボイス」の送付・受領が可能になります。

( https://www.bondance.digital/ より引用)

 

 

まとめ

請求書や見積書のやりとりについては、今でもFAXや郵送など紙のやりとりが多く残っていると思います。しかし、インボイス制度や電子帳簿保存法など、電子化への流れが一気に進んでおり、これからは電子取引が主流になっていくことでしょう。

今回の記事では、認定Peppolサービスプロバイダーについて記載しましたが、自社製品とPeppolを組み合わせて、自社の強みを生かした活用をしている企業が多く見られました。インボイスに関連するシステムを扱っている会社の多くがこの流れに合わせてデジタルインボイス対応を謳い始めているようです。

 

2023年12月まで猶予期間となっている電子帳簿保存法や、2023年10月開始のインボイス制度にまだ対応されていない企業のご担当者の方は、急いで準備を進めているところでしょう。いま、インボイス制度に関連するセミナーが実施されているので、自社に適したシステム導入の参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

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※本記事の正確性については最善を尽くしますが、これらについて何ら保証するものではありません。本記事の情報は執筆時点(2023年3月)における情報であり、掲載情報が実際と一致しなくなる場合があります。必ず最新情報をご確認ください。

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