財務会計基準機構とは?

会社法によりすべての会社に決算報告を義務付けられています。決算報告には貸借対照表、損益計算書等の財務諸表を作成する必要があり、一般的には財務会計・制度会計と呼ばれています。財務諸表の作成にあたり各企業が自身の判断で好き勝手に会計処理を行うと、財務諸表の信頼性、公正性、透明性が失われ企業が健全であるか否か非常に見えづらくなります。その為、企業は「企業会計基準(日本基準)」、「米国会計基準」、「国際会計基準(IFRS)」、「修正国際基準」の内いずれかの会計基準を採用し会計処理を行う必要があります。その中で企業会計基準の取扱いに関する指針の開発・審議は、公益財団法人財務会計基準機構が設置した企業会計基準委員会が行っています。

今回は日本国内の大多数が採用している企業会計基準の開発に携わる財務会計基準機構の役割について紹介していきたいと思います

財務会計基準機構設立の背景と目的

財務会計基準機構は、企業会計基準の整備や開発を行う為の企業会計基準委員会の運営母体として民間10団体により設立されました。

財務会計基準機構の目的、事業については以下の様に掲げられています。

■目的及び事業

  1. 一般に公正妥当と認められる会計基準の調査研究及び開発
  2. 国際的な会計基準の開発への貢献
  3. ディスクロージャー及び会計に関する諸制度の調査研究
  4. 1~3の事業の成果を踏まえた提言及び広報・研修活動
  5. 上記に掲げるもののほか、この法人の目的を達成するために必要な事業

(財務会計基準機構「財務会計基準機構(FAFS)の概要」よりhttps://www.asb.or.jp/jp/fasf-asbj/fasf-overview.html

財務会計基準機構の運営方針と活動内容

財務会計基準機構が設置をした企業会計基準委員会(ASBJ)では、先述の目的に向かい基本的な中期運営方針を定めています。日本基準を高品質で国際的に整合性のとれた維持・向上を図り、国際的な会計基準の質を高めることに貢献するための意見発信などを、基本的な方針としています。2019年10月30日に中期運営方針が発表されていますので、詳しくはそちらをご覧ください。

中期運営方針: https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/middle_plan_20191030.pdf

 

続いて財務会計基準機構の企業会計基準委員会を中心とした活動内容を見ていきましょう。サイトにて公開されている事業計画書(第21期2020.4.1~2021.3.31)によると主に以下の事業を実施することになっています。

  • 我が国の上場企業等で用いられる会計基準の開発等に関する事業
  • 国際的な会計基準の開発への貢献に関する事業
  • 調査研究、研修、広報に関する事業

第21期(2020年4月1日~2021年3月31日)事業計画: https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/disclose21_07.pdf

この中で会計基準の開発についてみてみると、最近では「収益認識」や「公正価値測定のガイダンス及び開示」に関する会計基準を公表しています。今期は「リース」及び「金融商品」等に関する会計基準の開発を引き続き対応する予定とのことです。

 

企業会計基準ができるまで

それでは実際にどのような流れで会計基準ができるのか見ていきたいと思います。

企業会計基準ができるまでの流れ

1.審議テーマの決定

基本的には財務会計基準機構に設置されている基準諮問会議にて、企業会計基準委員会の審議テーマ、優先順位、委員会の審議・運営について審議され決定されます。
企業会計基準委員会も基準諮問会議に対して審議テーマの検討を要請することができ、重要性または緊急性がある場合、同委員会の審議にて審議テーマを決定することもできます。

2.専門委員会の設置

企業会計基準委員会では、専門事項に対する調査・審議をさせる為、専門委員会を設置しています。専門委員会の例としては、金融商品専門委員会やリース会計専門委員会、収益認識専門委員会等が挙げられます。

3.企業会計基準委員会

企業会計基準委員会では、原則として毎月委員会を開催しています。会議の議事は一般に公開し傍聴ができます。企業会計基準に関係する公開草案、論点整理の公表に関しては、委員の5分の3以上の多数をもって議決することとなっています。

4.公開草案等の公表

新規の企業会計基準等の開発及び既存の企業会計基準等の改正を行う場合、市場関係者の意見を十分かつ適切に聴取する必要がある為、原則として、公開草案を公表し意見募集をします。

5.適用後レビュー

企業会計基準委員会は、重要な新規の企業会計基準の開発及び既存の企業会計基準の改正を行った場合、適用後2年経過してから適用後レビューを実施することになっています。
適用後レビューの結果、再度改正を行うことがあります。

6.適正手続監督委員会への報告

企業会計基準委員会は、重要な企業会計基準の公表または改正、適用後レビューの計画または実施の都度、財務会計基準機構により設置された適正手続監督委員会に対して、適正手続規則の順守状況を書面により報告することとなっています。

(参考:財務会計基準機構「企業会計基準ができるまで」 https://www.asb.or.jp/jp/fasf-asbj/process.html )

以上の流れとなりますが、詳細な手続き方法に興味がある方は「企業会計基準及び修正国際基準の開発に係る適正手続きに関する規則」を参照下さい。

 

会計基準作成の実例:収益認識基準ができるまで

前項では会計基準ができるまでの内容をご紹介させて頂きました。本項ではどのように会計基準ができるか、2021年4月に適用される「新収益認識基準」を例にとってみていきたいと思います。

 収益認識基準の具体的な内容については、https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/accounting_standards/y2018/2018-0330.html をご参照ください。

1.「収益認識基準」開発検討着手の決定

国際会計基準審議会は、米国財務会計基準審議会と共同し収益認識に関する会計基準の開発を行い、2014年5月に「顧客との契約から生じる収益」が公表されました。この状況を踏まえ、財務会計基準機構では企業会計基準委員会にて2015年3月に収益認識基準開発の検討に着手することを決定されました。

 

2.「収益認識基準」公開草案の公表

2016年2月に収益認識に関する会計基準の開発における意見募集が公表されました。募集した意見等を踏まえ審議を行い、2017年7月に公開草案が公表されました。

 

3.「収益認識基準」の会計基準及び適用指針の承認

その後、企業会計基準委員会では、公開草案に対して寄せられた意見等について検討を重ね、2018年3月に企業会計基準委員会において収益認識に関する会計基準及び適用指針の公表が承認され、公表されるに至りました。現在では、2020年3月に収益認識に関する会計基準及び適用指針の改正点が公表されています。

 

まとめ

財務会計基準機構の活動内容を見ることで、ただ単純に日本の会計基準開発を行っているわけではなく、企業会計委員会を設置し高品質かつ国際的に整合性の取れた企業会計基準開発を行っていることが分かりました。また、国際的な会計基準の策定の場において意見発信、国際委的な会計人材の開発等、様々な活動を行い国内に留まらず国際的な動向に対応した会計基準の開発に取り組み、日本の市場の健全性確保に貢献していることが分かります。

 

※本記事の正確性については最善を尽くしますが、これらについて何ら保証するものではありません。本記事の情報は執筆時点(2020年6月)における情報であり、掲載情報が実際と一致しなくなる場合があります。必ず最新情報をご確認ください。

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