第二回 4テーマでわかる!そもそも働き方改革とは?

前回は働き方改革とアベノミクス第二ステージや一億総活躍社会との関連について説明しました。
今回は働き方改革の概要について説明をしたいと思います。

働き方改革は、日本経済再生のために、働く人の視点で、労働制度をはじめ、企業文化や風土を抜本的に変える取り組みです。
政府主導で提唱されており、ライフスタイルや働き方に対する考え方そのものに手をつけていくと謳われています。

安倍内閣は、働き方改革の推進を行うため、2016年9月に働き方改革実現会議を設置しました。
10回にわたって会合を開き、「働き方実行計画」を策定し、テーマごとの今後の目標や政府方針を定めました。実行計画に基づいて2018年より順次具体的な施策を実施するとしています。

働き方改革実行計画(概要)
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/pdf/20170328/05.pdf
実行計画工程表
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/

働き方改革の目的

働き方改革の大目的は先にご紹介したとおり、日本経済再生なのですが、少し抽象的でイメージが湧きにくいですね。これをもう少し具体的に見てみましょう。
達成すべき目標は以下の2つに整理できます。

これからの少子高齢化時代には、今まで日本の経済成長を支えてきた労働者層は間違いなく減少していきます労働人口が減り、経済活動への労働投入が減少すると、その分経済生産が落ち込み、経済の成長率が低下します。

今後も安定的な経済成長を続けるためには、これまで以上に女性や高齢者等の多くの層に労働に積極的に参加してもらい、労働者層の裾野を広げることで、労働人口を維持していく必要があります。働く人の裾野を広げていくといっても、労働に参加できる人口にも上限がありますから、一人あたりの生産性を上げて限られた労働力を有効に活かすことも必要です。

なお、働き手の数の増加 と 労働生産性の向上 はどちらも相互に影響を及ぼし合っています。

生産性が向上するから、少ない労働時間で働くことができ、子育てや家事で働けなかった人も働けるようになり、労働者人口が増加します。
また、付加価値の高い産業へ労働参加してもらうことで、国全体の生産性も向上します。多様な人の労働参加により、イノベーションの創出を通じた生産性の向上も期待できます。

働き方改革で挙げられているそれぞれの施策は、働き手の数の増加と生産性向上のどちらにも良い影響を与えるものです。

働き方改革の4テーマ

実行計画で掲げられているテーマは大きく次の4つに整理できます。

どのテーマも働き手の増加と労働生産性の向上という両方の目的に対して有効な打ち手です。
次節以降で各テーマの概要や施策をご紹介したいと思います。

非正規雇用の処遇改善

正規雇用者の数は近年減少傾向にありましたが、2015年に8年ぶりに増加に転じました。一方、非正規雇用者数は2009年を除く過去10年間で常に増加しています。
雇用者全体に占める非正規雇用者数の割合は近年一貫して増加傾向にあります。2006年1,678万人(33.0%)→2016年2,016万人(37.5%)

出典:厚生労働省「「非正規雇用」の現状と課題」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000120286.pdf

子育てや介護の負担がかかる女性等、フルタイムでの就業を求められる職場では両立が難しい人の中には、正社員として働きたいという意思があっても、やむなく非正規雇用を選択する人も多くいます。

正規雇用者と非正規雇用者の待遇には大きな差があり、非正規雇用者の賃金は男女・全年齢の平均で正規雇用者の65%にとどまります。

出典:厚生労働省「平成28年賃金構造基本統計調査」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2016/dl/06.pdf

待遇に開きがある環境では意欲を高く保って働くことも難しいですし、格差に納得がいかず、結果としてパフォーマンスが低くなってしまいます。自らの能力が待遇面でも評価されることは、労働のモチベーションとして重要です。

待遇の納得感を高めることで、労働生産性の向上につなげるのが、非正規雇用の処遇改善の主な目的です。また、処遇改善により、現在非労働力となっている人の労働参加意欲を高めることで、働き手の数の増加にもつながります。

働き方改革実行計画によると、政府は、均等均衡待遇の確保のためのガイドラインの策定を行い、それに従って法改正の立案作業を行う とあります。

具体的な対応案として、ガイドラインには次の内容を盛り込みます。

・雇用形態にかかわらず勤務実態が同じであれば、基本給、各種手当(賞与等)を均等にする。いわゆる同一労働同一賃金の導入。
・福利厚生や教育訓練機会も雇用形態にかかわらず均等に確保する。
・派遣元事業者は派遣労働者に対し、派遣先の労働者と職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情が同一であれば同一の違いがあれば違いに応じた賃金の支給、福利厚生、教育訓練の実施が求められる。

長時間労働の是正

日本は欧米諸国と比べて労働者の労働時間が長く、フルタイム労働者の労働時間は過去10年間約2000時間程度で推移しています。

出典:厚生労働省「総実労働時間の推移」
http://kochi-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/kochi-roudoukyoku/topics/topics222.pdf

労働時間が長いことに対して、仕事と家庭の両立が難しくなる、健康的な生活が阻害される等の弊害が指摘されています。

また、1人あたり労働時間が短い国ほど、労働生産性が高く計測されるという調査結果があり、労働時間の長さと労働生産性の低さには一定の相関関係にあることがうかがえます。

出典:内閣府「働き方の変化と経済・国民生活への影響」
http://www5.cao.go.jp/keizai3/2017/0721wp-keizai/setsumei02.pdf

長時間労働を是正することで、生産性の向上が期待できるのではないでしょうか。また、子育てや介護等の負担が大きく、長時間働くことが難しい人の労働参加にもつながります。

労働時間がなかなか短くならない背景として、日本の企業文化や働く人の価値観などが挙げられます。モーレツ社員、長時間労働を良しとする日本の企業文化や風土の改革はもちろんですが、法規制も重要なポイントです。

柔軟な働き方をしやすい環境の整備

近年IT技術の進化に伴い、テレワークという働き方が徐々に注目を集めています。

時間や場所の制約をなくすことで、労働生産性の向上と労働者人口の増加の両方が期待されています。
平成28年通信利用動向調査では、テレワークを実施している企業は実施していない企業より約1.6 倍労働生産性が高いという調査結果が得られています。

出典:総務省「平成 28 年通信利用動向調査の結果」
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/170608_1.pdf

また、子育てや介護の問題で自宅から離れることが難しく働けない人に対しては、テレワークにより働く機会を提供することができます。

しかしながら、制度化しつつあるとは言えず、平成28年度の厚生労働省のテレワーク人口実態調査では、勤務先にテレワーク制度があると答えた人の割合は調査対象者全体の14%程度という調査結果が得られています。

まだまだ浸透が進んでいない状況にあります。

出典:国土交通省「平成28年度 テレワーク人口実態調査ー調査結果の概要ー」
http://www.mlit.go.jp/common/001187592.pdf

また、柔軟な働き方の推進という観点で、副業や兼業の推進も施策として掲げられています。現状、副業や兼業を希望している人は多いのですが、多くの人が希望通り副業・兼業を行えていません。

中小企業庁の「平成26年度兼業・副業に係る取組み実態調査事業」では、副業を認めていない企業が実に調査対象社の85%という調査結果が得られています。

出典:中小企業庁「平成26年度兼業・副業に係る取組み実態調査事業」
http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/nyusatsu/2016/161128kengyo1.pdf

政府は、2020年までに、 テレワーク導入企業を 2012年度比3倍、週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカーを全労働者数の10%にするという目標を掲げています。具体的な方策として、雇用型に関しては労務管理の方法の整備、非雇用型については法的整備を進めるとしています。

多様なキャリア構築支援

働き手の数を増やすために、これまでなにかしらの制約によって十分働くことできなかった人たちに対し雇用機会を広げることが必要です。

子育て等で一旦仕事をやめた女性や正社員として就職できなかった就職氷河期世代などで、非正規や不安定な就労を繰り返す人も多く、潜在的な労働力を十分に発揮できていない人が多い背景があります。
雇用の流動性が低いと言われている日本の企業社会では、上記の人たちに対してなかなか正規雇用での就業機会を開くことができていません。

また、社会人になった後に学び直しを希望する人も多いですが、文部科学省「学び直しに関する参考資料集」によると、民間企業の一人あたりの教育訓練費は90年代以降低下・横ばい傾向にあり十分な機会が提供されているとはいえない状況にあることが分かります。

出典:文部科学省「学び直しに関する参考資料集」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo2/011/siryou/__icsFiles/afieldfile/2016/07/28/1374769_1_3.pdf

対応案として、子育て等の様々な理由で一旦離職した人に対する復職制度の推進や、就業調整を意識せず働ける環境の整備、女性の活躍支援等が挙げられています。
また、転職者や再就職者の採用機会を広げ、より柔軟な企業慣行を確立することや高齢者の就業促進をはかるとしています。

まとめ

働き方改革とは日本経済再生のために、ライフスタイルや働き方に対する考え方そのものを大きく変革する取り組みです。
目的と施策テーマは以下のようになっています。

働き手の数の増加と労働生産性の向上の2つを達成することにより、労働者層が減少する状況下でも、安定的な経済成長を続けられる状態にしていくことを目指します。

施策テーマの概要もご紹介しましたが、どのテーマも2つの目的のどちらにも有効な打ち手だということが伝わったでしょうか。

一見、様々な施策が混在している雑多な取り組みに見えるかもしれませんが、働き方改革は、日本経済再生のための一貫した取り組みなのです。

今回ご紹介した内容が皆さんの理解の手助けとなれば幸いです。

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