2021年4月以降の企業に関連する重要な法改正をチェック

今回は2021年4月以降に施行の企業に関係する法改正のうち、主な法改正をピックアップしました。すでに施行された法改正もこれから施行される予定の法改正も取り上げますので、ぜひチェックしてみてください。

 

税制関連

法人税等に関する改正(令和3年度税制改正より)

財務省が発表しているパンフレット「令和3年度税制改正」よりいくつか主要なものをピックアップします。

令和3年度税制改正において、デジタルトランスフォーメーション(DX)とカーボンニュートラルに関する措置が創設されたのが特徴的です。

 

「デジタルトランスフォーメーション投資促進税制(DX投資促進税制)」とは、クラウド化など「つながる」デジタル環境の構築による企業変革の投資について、税額控除(3%、5%)または特別償却(30%)ができる措置です。

「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制」とは、脱炭素化効果の高い先進的な投資について、税額控除(5%、10%)または特別償却(50%)ができる措置です。2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指している国の方向性と合致した措置です。

 

これらの措置は、DX投資促進税制は改正産業競争力強化法の施行の日から令和5年3月31日までの2年間、改正産業競争力強化法の施行の日から令和6年3月31日までの3年間の時限措置です(※なお改正産業競争力強化法は令和3年8月2日に施行されました)。

 

そのほかの法人税関連の改正には、「活発な研究開発を維持するための研究開発税制の見直し」、「コロナ禍を踏まえた賃上げ及び投資の促進に係る税制の見直し(人材確保等促進税制)」、「繰越欠損金の控除上限の特例の創設」、「株式対価M&Aを促進するための措置の創設」、「中小企業向け投資促進税制等の延長等」、「中小企業における所得拡大促進税制の見直し」、「中小企業の経営資源の集約化に資する税制の創設」などがあります。詳しくは下記をご参考ください。

 

参考:
財務省 令和3年税制改正 3法人課税
国税庁 令和3年度法人税関係法令の改正の概要
経済産業省 「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律」の一部が施行されました

 

 

グループ通算制度への移行

前年度の「令和2年度税制改正」において、連結納税制度が見直され、「グループ通算制度」へ移行します(グループ通算制度は令和4年4月1日以後に開始する事業年度から適用)。

こちらは 2020年4月以降の企業に関わる重要な法改正をチェック!民法、労基法、派遣法など にて概要をご紹介していますので、そちらをご覧ください。

 

 

消費税法に関する改正(令和3年4月改正)

「課税売上割合に準ずる割合の適用開始時期の見直し」が実施されました。

仕入控除税額の計算において課税売上割合に準ずる割合の適用を受ける場合は、税務署長の承認を受けた日の属する課税期間から適用することとされています。今回の見直しで、適用を受けようとする課税期間の末日までに承認申請書を提出し、同日の翌日から同日以後1月を経過する日までの間に税務署長の承認を受けた場合、当該承認申請書を提出した日の属する課税期間から適用することとされました。

つまり、3月末決算の会社の場合、3月中に申請をして税務署長の承認が翌月の4月になってしまった場合、これまでは申請を出した3月の属する課税期間には課税売上割合に準ずる割合は適用されませんでしたが、今回の見直しによって、4月中に税務署長の承認をうければ、申請した3月が属する課税期間から適用を受けることができるようになりました。

こちらは令和3年4月1日以降に終了する課税期間から適用されます。

 

他には「郵便物として輸出した場合の輸出証明書類の見直し」や「金又は白金の地金の課税仕入れを行った場合に保存する本人確認書類の見直し」が変更になっています。詳しくは下記をご参考ください。

 

参考:
国税庁 消費税法改正のお知らせ(令和3年4月)

 

 

適格請求書等保存方式 (インボイス制度)の導入

令和5年10月1日から複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入されます。商品の仕入時にかかる消費税を控除することができる要件を定めたもので、複数の税率ごとに税額を表示するなどに対応した適格請求書の発行が必要となります。適格請求書発行事業者となるためには登録が必要で、令和3年10月1日より登録申請書を提出することができます。

インボイス制度を含む電子請求書に関する内容は 加速する電子請求書 最近の動きとサービス紹介 にて紹介していますので、そちらもぜひチェックしてみてください。

 

参考:
国税庁 消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書等保存方式が導入されます(リーフレット)(平成30年4月)(令和2年6月改訂)

 

消費税の総額表示

消費税に関しては、義務付けられている総額表示について一定の措置を講じることにより税込価格を表示することを要しないこととする特例が設けられていましたが、その特例は令和3年3月31日までで、令和3年4月1日以降は、税込価格の表示が必要となっています。

 

参考:
国税庁 消費税法改正のお知らせ(令和3年4月)

 

 

法人に係る消費税の申告期限の特例

令和3年3月31日以後に終了する事業年度又は連結事業年度終了の日の属する課税期間から適用されている「法人に係る消費税の申告期限の特例」については、 2020年4月以降の企業に関わる重要な法改正をチェック!民法、労基法、派遣法など にて簡単にご紹介しています。

 

税務関係書類における押印義務の見直し(令和3年度税制改正より)

少し前から「脱ハンコ」という言葉を耳にする機会が増えましたが、国税でも脱ハンコの流れが来ています。

税務署長等に提出する税務関係書類において、これまで提出者等の押印をしなければならないこととされていましたが、令和3年4月1日以降、実印及び印鑑証明書を求めている手続一部の手続きなどを除き、押印義務がなくなりました。

 

参考:
財務省 令和3年税制改正 6納税環境整備
国税庁 税務署窓口における押印の取扱いについて

 

電子帳簿保存制度の見直し(令和3年度税制改正より)

これまでも電子帳簿保存法は改正されており、その都度WORK-PJでもご紹介していますが、今回の令和3年度税制改正で抜本的な見直しがなされました。

主な変更点としては、これまで税務署長の事前承認が必要だったが今回の改正で事前承認は廃止になった点、タイムスタンプ要件が緩和された点、検索要件が緩和された点などがあげられます。今回の改正でこれまでより大幅に要件が緩和されていますが、同時に不正行為には重加算税の加重措置も整備されました。こちらの改正は令和4年1月1日以後に適用されます。

詳しい改正内容は下記をご覧ください。

 

参考:
財務省 令和3年税制改正 6納税環境整備
国税庁 電子帳簿保存法が改正されました(令和3年)

 

 

育児・介護休業法の改正(令和3年改正法より)

令和3年6月に育児・介護休業法が改正され、令和4年4月1日より段階的に施行されるようになりました。

出生直後の時期に柔軟に育児休業を取得できるようになること(施行日は公布後1年6カ月以内の政令で定める日)、雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置が事業主の義務になること(令和4年4月1日施行)、育児休業の分割取得(施行日は公布後1年6カ月以内の政令で定める日)、有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(令和4年4月1日施行)、育児休業取得状況の公表の義務化(令和4年5月1日施行)などが主な改正点です。

 

男女問わず希望に応じて仕事と育児を両立できるようにこれまで以上会社は取り組む必要があります。

 

参考:
厚生労働省 育児・介護休業法について
厚生労働省 育児・介護休業法について 令和3年改正法の概要
厚生労働省 リーフレット「育児・介護休業法改正ポイントのご案内

 

割増賃金率の引き上げ(働き方改革関連法案より)

平成22年4月1日施行の改正労働基準法において、中小企業に猶予されていた「月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率を50%以上とする規定」が2023年4月より適用されます。内容については、 2020年4月以降の企業に関わる重要な法改正をチェック!民法、労基法、派遣法など にて簡単にご紹介していますのでご覧ください。

 

参考:
厚生労働省 働き方改革のあらまし(改正労働基準法編)

 

 

まとめ

2021年4月以降の会社に関連する主な法制度改正についていくつかピックアップしてご紹介しました。何らかの対応が必要な改正もあったのではないでしょうか?

ここにあげているもの以外でも様々な法制度改正は行われています。自社の業務に影響する法制度改正は、常にチェックし、適宜対応していきましょう。

 

 

※本記事の正確性については最善を尽くしますが、これらについて何ら保証するものではありません。本記事の情報は執筆時点(2021年9月)における情報であり、掲載情報が実際と一致しなくなる場合があります。必ず最新情報をご確認ください。

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