会計もクラウド化が熱い?財務会計システムの概要と選定ポイント、クラウド会計システムの紹介

企業活動を行う上で、会計管理は業種や規模を問わず必要不可欠です。会計管理は比較的早くからシステム開発が進んだこともあり、今日では非常に多くの会計システムが存在します。また、近年では、クラウド型の会計システムが急速に普及しています。そんな中で、どのような点に注目して会計システムを選定するべきか分からない企業担当者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、企業における会計システムの概要と選定のポイント、代表的なクラウド会計システムをご紹介します。

 

会計システムとは

そもそも会計システムとは何でしょうか。会計システムの機能として大きく「財務会計」および「管理会計」の2種類があります。それぞれ見ていきましょう。

財務会計

財務会計とは企業の経営状態を対外的に情報公開するために行われる会計処理のことです。企業活動で発生する会計情報を記録し、集計して公表します。

複数の企業における会計情報を同一基準で比較できるよう、会計情報は「企業会計原則」基づいて処理します。会計情報を集計し、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表をはじめとした各種報告書類を作成し社内外へ公表します。

会計システムでは、日々の仕訳情報を入力し記帳する「伝票入力」、伝票データを集計し決算書類を作成する「決算」、伝票データを各種帳簿や帳票の形に集計して出力する「帳票出力」が主に機能として備わっています。

 

管理会計

管理会計とは社内において、受注、売上、請求、発注、支払等の各業務プロセスからデータを集計、分析することによる現状把握や経営判断を行うための会計処理のことです。財務会計と違い、管理会計の情報は社内で利用する前提のため、決まったフォーマットや集計方法はありません。

各企業が、自社の経営状況を判断するために必要と考える情報を利用するため、会計情報だけではなく、見積もりや受注段階の情報、未来予測の数値など未確定の情報や、顧客情報、事業部情報といった非会計情報を利用して集計することがあります。

財務会計と管理会計の違い

会計システムの選定ポイント

会計システムを選定する上で検討すべきポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。特に大企業・中堅企業で会計システム導入・入れ替えを検討する際にポイントとなる点を3つ挙げます。

 

1.システム導入の目的と範囲の明確化

一口に「会計システム」といっても、企業によってどのような目的、範囲でシステムを利用するかはまちまちです。目的としては、例えば経理担当者の入力負荷低減、集計作業の効率化、内部統制の強化などが考えられます。範囲としては、例えば仕訳入力と財務諸表出力だけ、管理会計を強化するため分析指標を増やすなどが考えられます。

一般的な会計システムであれば、財務会計としても機能である伝票入力や決算、帳票出力などはどのシステムにも備わっていますが、管理会計としても機能や内部統制、操作感などはシステムによってかなり差があります。どのような目的でシステムを導入するかを明確にしてから選定する必要があります。

また、会計システムで管理する範囲を検討する上で、販売管理システムや経費精算システムなどをすでに導入しているあるいは同時導入を検討する場合は、各システムの役割分担も非常に重要です。主なポイントとしては、例えば債権・債務の管理をどのシステムで行うか、分析レポートをどのシステムで見るか等が挙げられます。

2.他業務情報との連携

会計情報は、例えば請求、発注、経費精算といった各業務と連動して発生します。各業務情報が作成されたタイミングで連携して会計情報を作成し、作成した会計情報を素早く集計できるようにすることが会計業務の効率化において大きなポイントとなります。業務システムやサービスなどを別途導入している場合は、それらとデータ連携することで業務の効率化を図ることができます。

近年の財務会計システムは、他システムから仕訳データ等の情報をファイル取込やAPI等で連携できるものが多いです。ただし、データ連携にはデータ出力側と入力側の双方での対応が必要なため、連携に対応した機能があるか、連携予定のシステムとの連携実績があるかを事前に確認しておく必要があります。

3.サポート体制

会計システムで扱う情報は、基本的にミスが許されない非常に重要な情報です。会計システムを正しく利用し適切な作業結果を得るために、システム導入をどのように進めていくのか、どの程度までベンダーがサポートしてくれるのか、システム導入後の保守・運用面のサポートはどのようなものか確認しておくことは非常に重要です。

システム導入の方法、導入後の日常的な問い合わせ方法、応対までの時間、不具合があった場合の対応方法など、通常のサポート範囲と別途有償になる範囲を確認しておく必要があります。

他システムとの連携を前提とする場合には、マスタやデータの連携を問題なく行うことができるか、検証時にサポートはあるのかといった点も重要です。

会計システムの選定ポイント

会計システムの種類:クラウド型の普及

実際の会計システムにはどのような種類があるのでしょうか。ここでは導入形態に注目して種類分けをしてみたいと思います。

 

・パッケージ(スタンドアロン)型

PCにインストールして利用します。主に中小企業を対象としています。カスタマイズは基本的にできませんが、インターネット環境の有無等に左右されず、手軽に、かつ操作に慣れていれば非常に早い速度で処理ができます。導入実績が多い製品であれば、今まで導入した顧客のニーズを反映した機能やサポートが充実している点も大きな利点です。

 

・パッケージ(ネットワーク)型

社内LANなどを利用して複数のPCで同じ会計システムを利用します。上記のスタンドアロン型に比べると費用が高くなることが多いですが、複数人で処理を行えるので、ひとりの業務処理時間は短くなります。

 

・基幹システム連動型

顧客管理システムや在庫管理システムと連携して利用します。主に中堅~大企業を対象とし、企業ごとのカスタマイズが可能、管理会計の観点から見た集計が容易であるという点が主な特長です。高機能である分、費用は比較的高額になる傾向があります。

 

・クラウド型

インターネット上のサービスに接続し利用します。主に中小企業を対象としていますが、ものによっては上場準備企業や上場企業への導入実績を持つものもあります。パッケージ型と同様、基本的にカスタマイズはできませんが、経理業務に慣れていない人向けの入力補助が多く、手軽に利用できます。また、製品アップデートを容易にできる製品が多い点も魅力です。

クラウド型の業務管理システムは、近年様々な領域で普及が進んでいますが、会計システムは、会計情報をインターネット上で管理ことへのセキュリティ面での不安や、操作性の悪さなどがネックとなり、登場後もしばらくはあまり普及が進んでいませんでした。しかし、近年の技術進歩や、各ベンダーのセキュリティ強化、他のクラウドサービスとの連携に対する需要などを背景に、クラウド型の会計システムを選択する企業は増加傾向にあります。

 

代表的なクラウド会計システム紹介

今回は近年増加傾向にあるクラウド型、かつ、中堅企業への導入実績も豊富な製品に絞って主な会計システムを紹介したいと思います。

 

クラウドERP freee (freee株式会社)

クラウド会計システムの開発・販売を主な事業とするfreee社が提供する法人向け会計システムです。freee社が提供する会計ソフトは大きくフリーランス・個人事業主向け、小規模法人(~20名)向け、中堅企業(21名~)向けの3種類あり、「クラウドERP freee」は中堅企業(21名~)向けの製品です。経理の業務フローを一元化し決算の早期化、経営の見える化を支援します。IPO準備、上場企業にもお使いいただけるよう内部統制に対応し、SOC1 Type2報告書を受領しています。また、営業販売活動の管理に使われるsalesforceおよびkintoneの連携にも対応しています。

詳細は以下HPをご確認ください。
https://www.freee.co.jp/cloud-erp/

MoneyForward クラウド会計Plus(株式会社マネーフォワード)

個人、法人、それぞれの会計管理に有用な様々なインターネットサービスを展開するマネーフォワード社が提供する法人向け会計システムです。小規模法人向け、中堅法人向け、上場・IPO検討企業向けの3つのプランを持ち、「MoneyForward クラウド会計Plus」は上場・IPO検討企業向けのプランです。銀行、クレジットカード、電子マネー、POSレジ、勤怠管理、人事労務手続きなど様々なサービスとの連携による入力や仕訳の自動化、AIによる勘定科目提案などの入力補助機能のほか、内部統制に必要な仕訳承認フロー、詳細な権限設定などに対応しています。

詳細は以下HPをご確認ください。
https://biz.moneyforward.com/accounting_plus

 

奉行クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

「勘定奉行」の製品名で有名な会計ソフトのシリーズをはじめ、様々なビジネスソリューションテクノロジーを開発販売するオービックビジネスコンサルタント社が提供する業務クラウドシリーズです。財務会計システム「奉行クラウド」を始め、給与計算、債権債務、販売管理などの製品を展開しています。様々なデジタルデータとの連携による入力作業の自動化、顧問の税理士に提供することで会計データの参照・入力が可能となる専門家ライセンスなどの提供により会計業務の効率化を図ることができます。財務報告に係る内部統制を対象とした「SOC1 Type2」報告書1、セキュリティに係る内部統制を対象とした「SOC2 Type2」報告書を受領しておりセキュリティ面の保証も充実しています。

詳細は以下HPをご確認ください。
https://www.obc.co.jp/bugyo-cloud/kanjo

 

まとめ

会計システムはどの企業にとっても必要不可欠といって過言ではないシステムですが、導入や入れ替え時には検討すべき事項が多くあります。また、クラウド型会計システムの普及により、より手軽に利用できる製品が増えた反面、選択肢が増え、より比較検討が難しくなっているかもしれません。本記事が、会計システムの理解や比較検討の参考となれば幸いです。

 

※記載されている会社名・商品名などは、各社の商標および登録商標です。

筆者プロフィール

Ren.
Ren.ビーブレイクシステムズ
ERP「MA-EYES」RPA「WinActor」をはじめとするITツール営業担当。好きなお茶はジャスミン、お酒はハイボール、ロシア産飲料はウォッカではなくクワス。

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