デジタルトランスフォーメーションを考える(5)今、注目すべきビジネスキーワード、 “SDGs”とは?

慈善活動や流行語ではない!世界を変えるための共通言語“SDGs”

2019年は環境問題に大きな注目が集まった年でした。「私たちは大量絶滅の始まりにいるというのに、あなたたちが話しているのは、お金のことと経済成長が永遠に続くというおとぎ話だけ。よくもそんなことが!」−−国連気候行動サミットでのグレタ・トゥンベリさんの怒りのスピーチは、世界中の人々に鮮烈な印象を与えました。日本国内に目を向けても、年々厳しさを増す夏の猛暑や甚大な台風被害など、まさに温暖化が無視できない課題であることをつきつけられる1年でした。

さて、気候変動・温暖化現象に対する意識が世界中で高まるなか、目にすることが増えたのが「SDGs」という言葉です。

 

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、持続可能な世界を実現するために定められた世界共通の目標です。外務省による定義は以下の通りです。

持続可能な開発目標(SDGs)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。

SDGsの前身である「ミレニアム開発目標(MDGs)」では、「極度の貧困と飢餓の撲滅」、「乳幼児死亡率の削減」など8つの目標が掲げられていました。達成期限である2015年までに目標を完全に達成できなかったこと、また15年という時間経過の中で、環境問題や社会インフラ、産業や経済の成長など国際社会が取り組むべき新たな課題が浮かび上がってきたことから、MDGsの理念を引き継ぐ形でSDGsが策定されました。MDGsは途上国の開発問題が中心で、先進国はそれを援助する位置づけだったのに対し、SDGsは先進国と開発途上国の両方に共通した課題として設定されていることことが大きな特徴です。人々の暮らしに関わるあらゆる分野での持続可能性を実現するための細かな目標が169項目にわたって設定されています。

 

「1. 貧困をなくす」、「2. 飢餓をゼロに」から始まる17の目標を見ると、SDGsとは環境問題や社会問題に関心の高い人や組織が慈善活動として行うものという印象を持つかもしれません。確かにMDGsでは国連や国際機関が中心となって活動してきましたが、SDGsは決して慈善活動を推進するためのものではありません。SDGsでは民間企業の役割が重視されています。これがSDGsのもう一つの大きな特徴です。今、ビジネスの観点でSDGsは重要なキーワードとなっており、世界中の投資家を中心にその流れが加速しています。

 

世界のトレンド、ESG投資

先日、日経新聞に次のような記事が掲載されていました。

金融庁は、保険会社や信託銀行などの機関投資家の行動指針(スチュワードシップ・コード)を2020年春に改定し、ESG(環境・社会・統治)投資を重視する内容を初めて明記する。強制力はないが、投資決定にどのようにESGの観点を考慮するか示すよう求める。先行する欧州だけでなく、国内でも企業価値の向上に欠かせない要素と認識され始めており、指針で普及を後押しする。(日本経済新聞朝刊 2019年12月10日 )

ESG投資とは、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことを指します。とくに年金基金など大きな資産を超長期で運用する機関投資家を中心に、短期的な収益だけではなく、気候変動などを念頭においた長期的なリスクマネジメントや、企業の新たな収益創出の機会を評価するベンチマークとして、SDGsと合わせて注目されています。

出典:年金積立金管理運用独立行政法人(ESG投資)(https://www.gpif.go.jp/investment/esg/)

ESG投資が広がるきっかけとなったのは、2006年に国連が提案した国連責任投資原則(PRI)です。PRIは、「投資分析と意思決定のプロセスにESGの視点を組み入れる」、「投資対象に対し、ESGに関する情報開示を求める」などの6つの原則からなる投資原則です。PRIに賛同する署名機関は世界で2300機関、運用規模は85兆ドルを超え(2019年3月時点)、年々規模が拡大しています。日本では世界最大のファンドである年金積立金管理運用独立行政法人をはじめとする75社が署名し(2019年5月時点)、投資規模も年々拡大しています。

特にヨーロッパの投資家はESGの意識が高く、企業のSDGsへの取り組みが投資判断に大きな影響を与えるようになっているようです。

出典:年金積立金管理運用独立行政法人(ESG投資)(https://www.gpif.go.jp/investment/esg/)

SDGsはビジネスチャンスである

2019年5月に総務省が公表した「デジタル変革時代のICTグローバル戦略懇談会報告書」には、2030年にSDGsが達成された際に世界全体で新たに年間12.1兆ドル(約1331兆円)の市場が創出され、3億8000万件以上の雇用が新たに生み出されるとのレポートが掲載されており、そのうち ICT関連市場は年間約173兆円となると推定されています。

出典:デジタル変革時代のICTグローバル戦略懇談会報告書(https://www.soumu.go.jp/main_content/000622117.pdf)

 

企業の存在意義が社会的課題の解決にあると考えるのであれば、SDGsのなかにこそビジネスチャンスが隠されていると言っても過言ではないでしょう。また、例えば労働生産性やダイバーシティの向上、ロボット・AIを活用した労働代替など、企業自身が将来的に存続するために取り組まなければならないことが、結果的にSDGsに貢献することにつながっていくということも、当然考えられます。

 

総理大臣を本部長とする「SDGs推進本部」が創設した「ジャパンSDGsアワード」では、SDGs達成に資する優れた取組を行っている企業・団体等の表彰を行っています。表彰企業の取り組みを見ると、SDGsを自社の事業と結びつけて新たなビジネスモデルを生み出す企業が日本にも既に登場していることがわかります。テクノロジーの進化にともなって新たに生まれたサブスクリプションビジネスやシェアリングエコノミーも、「大量生産大量消費」、「安ければいい」といった時代が終わり、人々が持続可能な社会を求め始めていることと無関係ではないのかもしれません。

 

今後、SDGsを企業の経営指針とする機運がさらに高まることは間違いないでしょう。企業がその収益面や将来性、組織体制や企業文化において、持続可能な社会の実現を考慮しているかどうかが、消費者からの支持、従業員のエンゲージメントや採用、投資家からの評価など、あらゆる面に影響を及ぼすようになるはずです。なかには、既存の活動にSDGsのゴールを当てはめただけでSDGsへの取り組みを語る企業もあるようですが(実態が伴わない活動を揶揄する「SDGsウォッシュ」という言葉も既に生まれています)、企業価値を向上させる本質的な取り組みができているのかどうか、厳しく評価される時代が来ることが予想されます。

投資家や消費者の目が厳しくなる以上、企業はSDGsへの取り組みを他人事のように扱うことはできません。

2020年、働く人として、また消費者として、自分の日々の生活や仕事、働き方をSDGsと照らし合わせて改めて整理し、具体的な目標を考えてみる必要があるのではないでしょうか。

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