現行業務をシステム化、まず何から検討すべき?(前編)

本記事はEnterpriseZine「IT担当者のための<新>業務の基礎知識」転載記事です。(2017/05/10 07:00掲載)


現在の企業では管理する業務の大小こそありますが、少なからずシステムを導入しており、業務管理とシステムは密接な存在で切り離せないものとなっています。本連載では「IT担当者のための業務の基礎知識」を題材に、初めて現行業務をシステム化することになった企業のシステム導入検討チーム担当者を仮定し、注意すべき基本事項を記述していきます。

 

システム化検討の手順とは?

第1回目では現行業務をシステム化する際に注意すべきポイント(前編)として、以下4つのフェーズに分けてご紹介します。

 

  1. なぜシステム化を行いたいのか、課題を整理し社内でシステム化の意思統一を行う
  2. システム化する対象業務の範囲を決定する
  3. 自社業務の管理方法を調査・整理する
  4. システム化の検討方針(パッケージに業務を合わせるのか、業務にシステムが合わせるのか)を決定する

 

なぜシステム化を行いたいのか、課題を整理し社内でシステム化の意思統一を行う

現行業務をシステム化することになった場合、なぜシステム化を行うのか明確にする必要があります。単純に上層部からの指示の下、現行業務をシステム化することのみに注力し検討を進めるのではなく、システムを導入する目的として、

  • なぜ今システムを導入しなければならないのか
  • システムを導入することでどのような課題を解決したいのか
  • 事務作業の効率化及び人件費の削減が目的なのか
  • 手作業で作成している経営管理資料の作成負荷の軽減なのか
  • 現行業務のどこに問題がありシステムの導入が必要になったのか
  • 会社が求めるシステム像(標準機能の充実度、業務網羅性、システム自体の拡張性など)は何なのか

など、これらが明確になっておらずシステム化の意思統一が行われていないと、システムに関する数多くの情報を収集することになり、本格的に検討を開始するまでに時間が掛かる、ある程度検討チームで選定したシステムに対し決済を得る際に、上層部のシステム化に対する考えと認識に違いが生じ、差し戻され検討が振り出しに戻る、現場担当者へ検討状況を展開した際、機能や入力方法に対し求めていたものとの乖離が生じ受け入れらない、など様々な問題が生じてしまいます。

これらよりシステム化を検討する上でその基盤や土台とも言える意思統一はまず行うべき事項となります。

システム化する対象業務の範囲を決定する

システム化の目的が明確になった次のステップとして、システム化を行う対象業務の範囲を決定する必要があります。 現在ではスケジュール(グループウェア)情報、営業活動情報、受注情報、請求情報、仕入情報、経費情報、勤怠情報、財務情報・・・などほぼすべての業務とその情報管理をシステムで行う事が可能であり、それぞれの管理を専門としているシステムもあれば、全てを管理できる統合的な業務管理システム(ERP)やスクラッチ開発にて自社専用のシステムを構築する方法も存在します。

 

システム化の範囲が狭ければ、それに特化したシステムを検討した方がシステム導入後の現場担当者への浸透のし易さの他、費用面でもメリットがありますし、範囲が広ければ各業務に特化したシステムを複数検討するのではなく、統合的に業務を管理できるERPやスクラッチ開発でのシステムを検討した方が、業務ごとにシステムが乱立しシステム間で情報が共有されず二重入力が発生する、情報の集約に多くの負荷がかかる、などの懸念点が解消されるメリットがあります。

 

システム化を行う対象業務の範囲を決定し、適切なシステムを検討することで導入後も最適な環境で業務を管理することが可能になると言えます。

 

 

自社業務の管理方法を調査・整理する

システム化を行う範囲を決めた後に行わなければならないことは、システム化対象業務に対する管理方法の調査及び整理になります。

 

既存の業務管理方法がシステムではなく、Excelなどで行われている場合、部署や個人などによりさまざまな管理方法が存在します。

 

システムを導入すると業務管理方法に一定の制限が行われ、これまで可能であった業務管理ができなくなります。

 

とは言え、軸となる業務の流れや管理方法に合うシステムを選定・導入しないと、業務管理ができない、現場担当者に浸透せず不満が出る、業務を効率よく行えるはずのシステムが業務負荷に繋がる、など様々な影響が出てしまいます。

 

システム検討チームではシステム化を行う対象業務の管理方法を調査・整理し把握することで、正しくシステムを選定し導入後に期待している効果を得ることに繋がります。

 

システム化の検討方針を決定する

システムを導入すると業務管理方法に一定のルールが定められることで統一性が生まれ、業務管理が行い易くなることが期待できます。

 

理由としては、システムという1つのツールで社員が共通の方法にて業務を管理する為です。

 

この一定のルールを作る上で検討が必要となるのがパッケージに業務を合わせるのか、業務にシステムが合わせるのか、という点です。

 


業務管理システムには様々な特徴があります。業務に合わせたシステムを一から構築するものや、パッケージ製品でありながら要望に応じた設定の変更、カスタマイズ、機能追加が可能な柔軟性を持たせている製品では、システムが業務に合わせることが可能です。

 

逆にパッケージ製品なので設定変更以外は行うことが出来ず、業務がシステムに合わせることが必須となるシステムもあります。

 

システム化を行う業務の範囲が狭ければパッケージの機能に業務を合わせた方が、業務管理のルールを決め易い、カスタマイズなどの費用を抑えられるというメリットがあります。

 

反対にシステム化を行う業務の範囲が広ければ、どうしても変更出来ない業務管理方法に対してカスタマイズや機能追加が出来るパッケージシステムや業務に沿ったシステムを構築した方が、業務管理のルール決めを行う導入検討チームの担当者には負担が掛かりますが、その分導入後に現場担当者が混乱することなくシステムが浸透していくというメリットがあります。システム化を行う範囲や目的、現状の業務管理方法を精査し、システム化の検討方針を決定することも重要なポイントとなります。

 

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次回の後編では、新システムより出力する帳票に関する検討のポイントや、最終選考時に注意すべきポイントについてご紹介していきます。

筆者プロフィール

WORK-PJ編集部
WORK-PJ編集部ビーブレイクシステムズ
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