プロジェクト原価計算のみを行うシステムの選定・導入ポイント
ビーブレイクシステムズのMA-EYES(エムエーアイズ)は、IT業や広告業など、主な原価が人件費・あるいは外注費になるプロジェクト型企業向けの販売・原価管理を得意とするERPです。
MA-EYESでは、受注前の見込み段階から確度別に案件を管理し、見積もり、受注、予算管理、原価計算の元となる発注や支払い、経費申請、勤怠工数管理等、様々な機能を揃えています。これら全ての機能を一括で導入する必要はなく、一部の機能を導入することも可能です。
ERPは幅広いシステムが一つに統合されており、それらが一つのデータベースで統合されていることがメリットですが、近年は例えば経費申請や勤怠管理等は個別の専用SaaSが多くありますので、全体最適ではなく個別最適として複数のシステムを組み合わせて導入することもまた増えています。
今回はプロジェクト原価計算のみを行うためにシステムを導入するケースについてみていきます。
目次
どの様な会社が原価管理機能のみを導入するのか
なぜ原価管理(原価計算)のみを導入するのかというと、端的に言えば「それ以外の部分は他のシステムで管理しているから」となりますがその様になっている理由には、いくつかパターンがあります。
売上と原価が紐づかない
1つは、売上と原価が直接的に紐づかない業種への導入が挙げられます。
例えば、ECサイトのプラットフォームを作成している会社です。ECサイト1つ1つの機能拡張を行うために、開発予算を取って、プロジェクトとして管理はするのですが、その機能拡張は特定の顧客のために契約をしてカスタマイズをするようなものではないので、直接的な売上には結びつきません。
この様な企業では、売上のない原価管理のみの導入となります。
様々な独自の事業がある
販売管理(受発注)システムというものは、“取り扱っているのがモノなのかサービスなのか、あるいは人なのか。それは自社の製品なのか外部仕入なのか。自社の製品なら受注してから作るのか完成品を販売するのか”と、ビジネスのやり方によってシステムも異なってくるので、事業ごとにシステムが分かれることになります。
一方、販売管理システムが複数あっても決算は1社ですので、財務会計では一本にデータが統合されます。その前段階として、原価計算でも一括で計算する場合が多いです。
事業拡大を行って幅広くなった会社もあれば、大企業の複数の子会社が合併した企業でも、よく見られる状況です。
原価管理システムの選定・導入のポイント
原価管理システムを選定する上で、以下3点がポイントになります。
- 自社の原価計算方法が実現できるのか
- データ連携
- 部分導入が可能か
自社のやりたい原価計算方法が実現できるか
原価計算機能のみを導入する場合でなくても必須ポイントなのですが、原価計算システムのみを導入する企業の場合、原価計算だけは他のシステムではできなかったので、別にせざるを得なかったという事情もあります。
通常、財務会計システムには原価計算の機能が付帯していますが、工数による原価計算・配賦に対応できない事が多いです。工数というのは、「どの仕事に何時間かかったか(かかるか)」という値ですが、工数の用途は生産性や作業進捗を測る意味合いもありますが、原価計算においては主に下記の2つのために用います。
人件費をプロジェクト(作業単位)ごとに計算する
人件費の原価計算については、給料の値をそのまま使用して割り戻す実際原価計算と、予め決めた単価に工数を乗じる標準原価計算の2種類があります。
この計算に利用する工数は、個人ごとプロジェクトごとに集計する必要があります。
実際原価計算の場合、例えばAさんの給料が414,720円で総工数が162時間の場合、1時間あたりの人件費は2,560円となります。そうして算出した実際単価を、Bプロジェクト42時間、Cプロジェクト57時間、Dプロジェクト63時間の工数に乗じて計算します。
標準原価計算の場合は、上記の例に倣えばAさんは2,600円と決めて工数を乗じて計算し、差額の1時間あたり40円の誤差は差異として別途計上します。
実際原価計算は会計に、標準原価計算は評価に、と併用する企業もあり、その様な場合には専門システムが必要でしょう。
工数を単位として配賦する
複数のプロジェクトに跨って使った費用や間接部門の人件費などを、各プロジェクトに費やした工数で割って配分します。人件費の計算と違い、人ごとではなくプロジェクトごとで見ます。
他の部分はシステムで管理できていても、上記両方の原価計算を同時に行うことが汎用的なシステムでは難しいとのことで、原価計算システムのみの導入に繋がっています。
入力としては工数という1つの数字ですが、それを個人ごとプロジェクトごとで利用する場合、プロジェクトごとの合計で利用する場合、あるいは組織ごとに利用する場合、社員の工数と外部委託要員の工数を別の基準として考えるという場合等、様々な使い分けがあります。
製品を選定する上で、自社のやりたい原価計算が本当にその製品でできるのか、手順から仕訳レベルまで詳細に検討する必要があります。
データ連携
データ連携は、本件に限らず複数のシステムをつなぎ合わせる場合には最重要事項です。原価計算システムと他システムとの関係では、データの粒度が問題になることが多いです。
プロジェクト型の個別原価計算では、原価計算の計算単位は基本的に契約に準ずる必要があります。しかし、工数は作業管理の単位であったり、営業の受注管理は商談の単位であったり、原価計算の単位とは必ずしも一致しません。また、すでに他のシステムは動いていますので入力単位を合わせることは難しいでしょう。
昨今はシステムにAPI連携を求めるユーザーが多いですが、この様な場合は連携の口だけではなく、データを変換するためのETLツールの導入も検討する必要があります。ETLツールの導入は大掛かりになってしまう、ということであれば、柔軟なデータ受け入れが可能な製品を選ぶ必要があります。
部分導入が可能か
原価計算機能は、会計システムや販売管理システムの一部であり、単独の製品として販売されているものは少ないです。
したがって、製品の一部を使うことになりますが、例えば販売管理パッケージですと、見積もりや請求を入れないと原価計算ができない、というものもあります。そのような業務は他システムで賄っている場合、無駄な入力・連携が発生してしまいます。
自社に必要な機能だけ導入できるか、ということも選定を決めるポイントとなります。
プロジェクト原価管理についてお悩みがあればご相談ください
当社製品MA-EYESは、工数を用いた原価計算(売上、原価、仕掛、進捗基準売上等)を得意としています。販売、経費、購買等各種機能も備えていますが、部分的に導入が可能であり、原価計算部分のみの導入事例も多くございます。
プロジェクト型の原価計算でお悩みであればぜひご相談ください。
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筆者プロフィール
- 営業職。カレーが好きです。得意技は福岡日帰り出張。
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