業務システムに関する実態調査結果(2021/5/3~4実施)
ビーブレイクシステムズでは2021年5月3日から4日にかけて、現在「経営者・役員・会社員」を対象に業務システムに関するアンケート調査をインターネットにて行いました。本記事では、調査結果について紹介します。
【調査概要】
調査名称:業務システムに関する実態調査
調査方法:インターネットによるアンケート調査
調査期間:2021年5月3日(月)~2021年5月4日(火)
調査対象者:全国、現在「経営者・役員・会社員」
有効回答者数:1,100名
目次
従業員数によって業務システムの導入状況は大きく異なる
まず、回答者の会社で導入している業務システムについて質問しました。
勤怠管理システムの導入が他の業務システムより多い結果になりました。
この回答結果を従業員数別に確認してみました。
「ERP」や「グループウェア」、「勤怠管理」は従業員数が多い会社ほど導入していると回答した割合が増えています。これらのシステムがサポートする業務は従業員数が増えるにつれて管理が難しくなる・課題が発生しやすい業務であるため、従業員数の増加のタイミングで効率的な管理や課題の解決を目的にこれらのシステム導入しているのではないかと考えています。
一方、「財務会計」については、下図の通り従業員数と導入状況はあまり関係がないという結果が見て取れます。財務会計は従業員の規模にかかわらず発生する業務のため、このような結果になったようです。
なお「導入してない」と回答については、従業員数が少ない会社の割合が高くなりました。
次に導入している業務システムの形態について確認します。
受注管理(30.5%)、発注管理(30.5%)、在庫管理(29.0%)、生産管理(30.5%)などが自社開発の割合が高く、ウェブ会議は市販の製品・サービスをそのまま利用している割合が高い(「パッケージ(カスタマイズ無)」は33.9%、「SaaS」は15.5%)という結果になりました。
6割以上の人が業務システムの導入で「業務の効率化」を実感
次に、業務システムを導入したことで得られた効果について確認します。
業務システムの導入効果として、多くの方が「業務処理の効率化(61.9%)」、「業務データの一元管理(35.8%)」を挙げました。特に業務処理の効率化は6割以上の方が回答しており、結果として勤務時間にも反映されているのではないかと思います。導入効果については、業種や職種、従業員数で大きな差異は見られず、業務システムを導入した方の多くが同様の効果を実感しているようです。
業務システムを導入していない理由は、「システムがなくても管理ができている」から
業務システムを導入していない方に対して、業務システムを導入していない理由を聞きました。
下図の左の円グラフはすべての回答について、右の円グラフはその中から「分からない・答えられない」を除いた回答の割合を表しています。こちらを見ると、「システムがなくても管理ができる」と回答した方の割合は4割近く(39.45%)、「分からない・答えられない」を除いた割合でみると62.9%もの方が回答しています。次に多い回答としては「自社業務に合ったシステムがない」でした。
経営レポートの作成方法は職種によって異なる
社内用の経営レポートの作成方法について確認しました。
下図の左の円グラフはすべての回答について、右の円グラフはその中から「作成していない」と「分からない・答えられない」を除いた回答の割合を表しています。経営レポートを作成していると回答を得られた方の27.0%だけが、業務システムから直接出したレポートを経営レポートとして利用しているようです。経営レポートは会社ごとに見たいデータが異なるため、業務システムから出力されるレポートをそのまま使うことはできず、専用のツールもしくはシステム外で加工している会社が多いのではないかと思います。
出力・作成している回答した方を職種別に分析したところ、”情報システム”で、「業務システムから出力(35%)」や「BIツール・分析ツールなどを活用して作成(41.7%)」している割合が高く、一方、”経営企画・システム企画”及び”営業”は「手作業での加工(それぞれ45%、40.4%)」が多いという結果になりました。職種によってレポート作成方法に大きな違いがあるようです。
同じ質問について、従業員数別にみると、従業員数10名未満の会社の方の約半数(48.5%)が「作成していない」と回答していました。
経営レポート作成にかかる作業時間についても質問したところ、約6割が5時間未満と回答していました。多くの方が1日未満で作成を終えているようです。なお、作業時間に関しては、業種・職種・従業員数で特筆すべき差異は見られませんでした。
導入時に重視するのは費用ではなく機能、”総務・経理・法務”は使い勝手も重視
次に業務システムを導入する際に最も重視することを一つ選択してもらいました。
「分からない・答えられない」と回答した方を除いた割合を確認したところ、「費用(初期コスト13.6%、運用・保守コスト20.7%)」よりも「機能(36.5%)」を重視する方の割合が高いことが分かりました。
職種別に分析すると、職種によって重視するポイントが異なることがわかりました。”情報システム”や”経営企画・システム企画”は、「機能」と同じくらい「運用コスト」を重視している割合が高い傾向にありました(「運用・保守コスト」の比率はそれぞれ32.4%、33.3%)。ほかには、”研究・開発”は他の職種の人より「機能」を重視(48.1%)し、”総務・経理・法務”は「使い勝手・見た目の良さ」が他と比べて高め(23.6%、全体は19.0%)でした。
”情報システム”や”経営企画・システム企画”は、実際システム導入の主幹部署になることが多いので、「運用コスト」を重視するのは当然のことだと考えます。”研究・開発”の方が「機能」を他の職種の方より重視している理由は今回の結果からはわかりませんでした。”総務・経理・法務”の方が「使い勝手・見た目の良さ」を最も重視していると回答した割合が高い理由としては、”総務・経理・法務”の方が必要としている業務システムの費用や機能自体は、製品・サービスによってそれほど大きな差はなく、どちらかというと製品・サービスが自分たちにとって使いやすいものを選択したいと考えているのではないかと推察しています。
従業員数では、従業員数が多くなるにつれて、「費用(初期、運用・保守)」と回答した方の割合が下がり、「機能」の割合が高くなる傾向がみられました。
IT会社では在宅勤務をしている割合が他業種より高い
次に働く場所について確認しました。
従業員の就業場所について全体と業種が”IT”と”製造”の結果を比較した内容が下図になります。”IT”は在宅勤務をしている割合が高く(半数以上25.0%、全員10.9%、合計35.9%)、”製造”は37.5%が「全員(ほとんど)出社している」と回答しました。
なお先月実施したテレワークに関する実態調査では、緊急事態宣言前後のテレワークなどに関することを調査しましたので、ご興味ある方は テレワークに関する実態調査結果(2021/4/16~17実施) もご確認ください。
社外からの業務システムへの主なアクセス手段はPC
最後に社外からの業務システムのアクセス方法について確認します。
社外から業務システムへのアクセス方法について、下図の左円グラフは回答すべて、右円グラフは前回から「業務システムを導入していない」と「分からない・答えられない」を除いた割合を表しています。「PCからのアクセス」と「スマートフォン・タブレット等からのアクセス」を合計すると77.2%がなんらかのITツールで社外から業務システムにアクセスしていると回答しました。
業種別で確認します。
業種別では”IT”は9割近くの方が「PC」もしくは「スマートフォンなど」で業務システムにアクセスしていました(74.5%と14.9%合計89.4%)。”IT”会社では在宅勤務をしている人が多いため、業務システムにアクセスする環境が整備されていると推察されます。
また”建設”では、スマートフォンやタブレットでのアクセスの割合が他の業種と比べて高い(27.8%)という結果が出ました。建設業ではタブレットを活用した業務管理が進んでいるのではないでしょうか。
”卸売・小売”では、PCからのアクセスの割合も高いですが、他の業種と比べて「出社した時のみ利用」の割合が高い(27.8%)という傾向がありました。
最後に
今回と同様の業務システムに関する調査を2017年11月にも実施しており(一部ですがニュースリリースに調査結果を掲載しています)、その時から会社を取り巻く環境は大きく変化しているため、業務システムという観点からも変化があったのではないかと思い、本アンケートを実施しました。
以前と変化した点は、テレワークなど会社外で業務を行う方が全体的に増えているからか、社内でしか業務システムへのアクセスできないと回答した割合が減り、PCやスマートフォンやタブレットなどのITツールを使って社外からも業務システムのアクセスが可能になってきたということです。また、経営レポートの作成方法について、手作業で加工して作成していた割合が減り、業務システムから出力もしくはBIツール・分析ツールを使って作成している割合が増えているという傾向もみえました。
WORK-PJでは、今後も定期的に実施して変化を確認していきたいと考えています。
筆者プロフィール
- 新しい「働き方」やそれを支えるITツールにアンテナを張っています。面白い働き方を実践している人はぜひ教えてください!
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