目指せ合格!中小企業診断士試験の解説及び攻略法~その3 1次試験学習編~

本記事では中小企業診断士資格を持つ筆者が、
中小企業診断士という資格および試験に関して、自身の経験を交えて紹介します。
今回は、あくまでも自己流ですが1次試験で筆者がどのように勉強し、一回で合格したのかを紹介します。

勉強を開始した時期、勉強時間

中小企業診断士試験は1次試験と2次試験がありますが、一般的には出題範囲が広い1次試験の方が勉強に時間がかかります*。
*一方、2次試験は勉強時間と結果が比例しないという意味でもあるのですが…

筆者の場合、正月休み明けから勉強を始めて、8月初旬の1次試験までは7科目で手一杯で2次試験の勉強はあまりしていませんでした。

2次試験の勉強をしたのは1次の合格発表から2次までの1.5ヶ月ほどです。1年目の2次は不合格で、2年目に勉強を再開したのは試験の1ヶ月前なので、合計で1次試験は7ヶ月、2次試験は2.5ヶ月の勉強期間となり、3倍近く違います。他の方の体験ブログ等を見ても、これくらい差があるのが一般的なようです。

勉強時間は1ヶ月40-50時間を目安にしていたので、9.5ヶ月で400-500時間というところでしょうか。500時間というのは一般的に言われているより短いようですが、後述しますが最初から対応できる科目があったことが大きいです。
これまでの経験や職種の関係で、全科目新規に勉強が必要な方だと非常に大変でしょう。

最初にしたこと

まず、数年分の過去問を解きました。過去10年程の過去問と解答はすべて公式にアップロードされていますので、費用をかけずに試すことができ、便利です。
勉強すれば受かりそうなのか、無理そうなのか。どの科目が得意で苦手なのか。そういった事を最初に判断しました。
とりあえず軽く解いてみた所感は下記のとおりでした。

勉強しなくてもいいかも:経営情報システム
まぁまぁ:財務会計、企業経営理論、運営管理、経営法務
うーん:経済学、中小企業経営・政策

筆者は営業職ですが、システム会社勤務で基本知識がありましたので、経営情報システムは簡単に思えました。
また、財務・会計は専門的なので(一般常識では答えがわからない)、苦労する人が多い科目のようですが、診断士の勉強を始める直前に簿記2級を取得していたので、手応えがありました。
他もなんとかなりそうだったので受験することにしました。

実際にどの科目がどれくらい出来たかは後述しますが、最初の感覚通りだったというわけではありません。

教材の準備

筆者が1次試験を受験したのは平成21年ですが、当時は今ほどWEBの講義やスマホ学習は普及しておらず、勉強手段はかなり限られていました。
書店で広く流通し、毎年版が重ねられている参考書類も当時は少なく、検討した結果オークションで前年のどこかの予備校の通信教育講座テキスト一式を安く購入しました。
経営法務や中小企業経営・政策は年ごとの法改正といった新規トピックがあるので古いのはあまり良くないのですが、それらは試験前に新論点をチェックすればよいかなという気持ちでした。

計画を立てる

勉強を開始するにあたり7科目もあり半年以上先の試験でしたので、計画を立てることからはじめました。方針は以下のとおりです。

・スケジュールは週単位で管理し、Googleカレンダー予定として入れる
・平日2時間×3日、休日2時間×2日で週10時間の勉強を基本とする。
・予実をExcelで管理する。

働きながらだとどうしても時間が取れないものですが、仕事のアポイントや友人等他者との約束と同じように管理することで「予定」という感覚で受け止めて、ルーティン化することでノルマをこなしていきました。

勉強場所、時間帯

平日は朝出勤前に1時間、夜帰宅後に1時間。休日は主に午前中勉強しました。
カフェで勉強するのが好きだったので、休日はカフェで朝食を食べて午前中に勉強していました。

期間毎の勉強の進め方

1-2月 概要をざっくり

最初の2ヶ月程は過去問の感触に関係なく、科目毎にテキストを読み、付属の演習をこなし…ということを1科目2週間ほどで対応していきました。これを終えたあたりでは、全体のボリュームがわかっただけに、まだまだ合格できるような感触は持てませんでした。

3-4月 重点科目を中心に対応

経済学・経済政策

最初に過去問を解いた感触通り、経済学は鬼門になりそうだったので、そちらを重点強化することにしました。
経済学は大学生用や公務員試験用のテキストが豊富にあるので、下記のミクロとマクロを購入しました。(当時は旧版でした)
https://www.yosensha.co.jp/book/b458946.html

財務・会計

経理部門勤務等ではない多くの人が時間を費やしているのが財務・会計のようです。
1次試験の科目で2次試験と最も相関するのがこの科目なので、最重要科目と言えます。
筆者は前述の通り簿記2級を保持していたので、かなりアドバンテージがありました。とはいえ、簿記の範囲外の財務部分では無知だったので、別途、正味現在価値等の計算問題集(どんなものか忘れてしまいましたが)を購入し、勉強しました。

企業経営理論、運営管理

この2つはコンサルタントらしい科目で、財務・会計ほどではないですが2次試験と相関のある科目です。しかし、フィーリングである程度解ける部分もあり、そこまで重視していませんでした。
一般常識で解ける簡単な問題と、非常に難しい問題に分かれる傾向もあり、勉強量に対してリターンが少ない科目と感じていました。

経営法務、中小企業経営・政策

この2つは暗記科目なのであまり乗り気がせず、この期間にはあまり勉強していませんでした。
経営法務は、業務上で契約書や下請法等、多少関わりがあったので苦手意識は薄かった事もありますが、中小企業経営・政策は数字を暗記するしかない問題も多く、嫌いでした。

経営情報システム

こちらは最初から安定科目とみなして、最初のテキスト精読以外では、過去問を繰り返す時以外はほぼ勉強しませんでした。

5-6月 停滞期

年明けから4ヶ月間頑張ってきましたが、一通り学習が終わって、中だるみといいますか、モチベーションが落ちていた時期です。このままズルズルといってしまうと合格はできなかったでしょうが、物は試しと6月にTACの模試を受けてから、状況が変わります。

7月 追い込み

7月に入って模試の結果が返ってきました。
今思えば予想通りなのですが、中小企業経営・政策と経営法務がかなり悪い点数でした。それ以外の科目はそれなりに良かったので、ここから1ヶ月はこの2つを7、他を3の割合で追い込んでいきました。

計算のある財務・会計やテキスト理解中心の企業経営理論等は腰を据えて勉強したほうがいいと思うのですが、中小企業経営・政策と経営法務は暗記科目なので、移動中や昼休みなどのスキマ時間をつかい、過去問や模試の問題を繰り返し解きました。当時からスマホで過去問を一問一答するサイトが有り、活用した記憶があります。休日等時間が取れる時は、ひたすら過去問を一通り解きました。
また、模試を受けた際に、中小企業政策、法改正のトピック冊子がもらえたので、これも役立ちました。

実際の得点

東京は例年、複数の試験会場に分かれるのですが、筆者は明治大学の御茶ノ水キャンパスで試験を受けました。
実際の得点は下記のとおりです。同点数帯は高い順位に並んでいます。

70-90点:経済学、運営管理、経営法務、財務・会計
60-70点:企業経営理論
40-60点:中小企業経営・政策、経営情報システム
総得点:約470点

受かったので個別の点数は重要ではないのですが、経営情報システムは7科目中最低の44点で、不合格寸前だったのは肝を冷やしました。勉強しなかったので当たり前といえば当たり前ですが、それに加えて受験した年は経営情報システムが高難易度だったのです。
下記は筆者が受験した平成21年の科目合格率ですが、筆者の得点は、全体の傾向とかなり似ています。

なお、この年の中小企業経営・政策は没問(正解がない、複数正解がある等、問題自体が正しくない)があり、例によって2点底上げされています。それでも科目では3%以下の合格率ですから、相当に難しかったと言えます。

1次試験を振り返って

勉強時間の短い経営情報システムと中小企業経営・政策の合格率がとても低く、一番勉強した経済学・経済政策は非常に簡単という皮肉な結果になりました。そういう意味では、筆者は重点科目選定の賭けに負けているといえますが、1次試験全体の合格率は過去3年間で最も高いわけで。その点ではむしろ運が良かったのかもしれません。

合格できたのは、経営法務、中小企業経営・政策の暗記科目を短期集中で勉強したことが結果的に良かったのかなと。やはり、前記事から述べているように40点未満を取らないように学習プランを立てる事が最も大事なことです。

1次試験の模範解答は翌日くらいには資格予備校がアップしてくれるので、すぐに自己採点ができます。
そこでおおよその合否は判断できますので、合格しそうであればすぐに2次試験に気持ちを切り替えねばなりません。
次回からは2次試験についての記事になります。

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