目指せ合格!中小企業診断士試験の解説及び攻略法 ~その2 1次試験解説編~

本記事では中小企業診断士資格を持つ筆者が、中小企業診断士という資格および試験に関して、自身の経験を交えて紹介します。

今回は、1次試験についてです。

1次試験は「大人のセンター試験」

1次試験は7科目あり、記述なしのマークシート形式で行われます。
時間は科目によって60分か90分と差がありますが、配点はすべて100点です。2日間にわたって行われます。
以下が7科目の名称と簡単な内容です。

A:経済学・経済政策

マクロ/ミクロ経済学の基本的な知識や、政府発表の経済統計に関して問われる科目。

B:財務・会計

正味現在価値の計算や資本政策の知識等が問われる財務領域と、簿記および経営分析の会計領域からなる科目。日商簿記+ビジネス会計検定に類似する。

C:企業経営理論

経営理論・組織論やマーケティング、働き方改革関連・育休などの昨今の人事労務トピック等、幅広く経営に関する問題が出題される科目。

D:運営管理(オペレーションマネジメント)

工程管理等、工場の生産管理系知識を問う領域と、店頭プロモーションや物流等、小売店舗運営の領域からなる科目。後者は販売士検定に類似する。

E:経営法務

会社法や下請法、著作権法、特許法など経営に関連する法律の科目。ビジネス実務法務検定に類似する。

F:経営情報システム

情報システムに関する問題が出題される科目。基本情報技術者試験(午前)に類似する。

G:中小企業経営・政策

中小企業の定義や、中小企業白書に掲載された統計、公的金融機関による補助金等、中小企業を取り巻く法律および状況に関する知識が出題される、中小企業診断士らしい科目。


以上が7つの科目です。ビジネスマンとしての教養を網羅した、まさに「大人のセンター試験」(筆者命名)と言っていい内容かと思います。それぞれの科目はそこまで高難易度ではないですが、7つもあるので大変です。
難易度的には「●●2.5級試験の詰め合わせ」とも言えます。出題内容がイコールではないので単純比較は出来ませんが、財務・会計で言えば、日商簿記2級よりは簡単で、3級よりも難しいです。

合格基準

合格の基準は、試験案内によれば下記のとおりです。

第1次試験の合格基準は、総点数の 60% 以上であって、かつ 1科目でも満点の 40% 未満のないことを基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率とします。

「試験委員会が相当と認めた得点比率」というのがわかりにくい表現です。
要は調整の可能性を示唆しているのですが、そちらは後述するとして、「全体で60%以上得点し、かつ1科目も40%未満がない」という認識で問題ないです。

総得点だけでは決まらないため、下記のようなパターンがありえます。

・4科目80点で3科目40点だと、総得点440点で6割を超えており、40点未満がないので合格
・6科目100点で1科目38点だと、総得点638点で6割を大幅に超えているが、40点に満たない科目があるので不合格となり、6科目の科目合格に留まる

他の教科がどれだけ良くても、40点未満は一発アウトです。
科目合格ではなく1次試験の突破を目指すのであれば40点未満を取らないことが最優先となります。

科目毎の難易度の違い

法務部勤務であれば、「経営法務」は無勉強でも合格点が取れるかもしれませんし、大学で経済学を履修していない方は「経済学・経済政策」で苦労するでしょう。
そういった得手不得手ももちろんありますが、科目毎・年度ごとの難易度のばらつきが非常に大きい試験が、中小企業診断士の1次試験です。

下記が過去5年間の科目合格率です。

科目合格率の中には1次試験合格者は含まれていませんので、60点以上得点した受験者の実数はもっと多くなります。
年別に最も合格率が高い科目を青、低い科目を赤で表示しています。
一見して年度ごと科目ごとにかなりの差があることがおわかりいただけるかと思います。
この表からは下記のようなことが読み取れます。

科目毎の合格率は、乱高下する

簿記試験等の他の資格試験でも見られる傾向ですが、中小企業診断士試験でも科目ごとの合格率が極端に高く/低くなった年の翌年は、逆方向に極端に振れる傾向があります。

経営法務は安定して難しい

明らかにこの5年で平均して難しいのが経営法務です。
1次試験はご覧の通り難易度にばらつきがあるので、難しすぎた科目に無条件で全員に得点加算調整が行われたり、正解が不適当と判断され全員正解になる場合があるのですが、平成30年度の経営法務は8点ほどの得点調整がされています。それでも5.1%の合格率なので、いかに難しかったかということです。
40点未満を取らないことを鉄則とするならば、まず考えなくてはいけないのが経営法務の勉強でしょう。

とはいえ次回の試験での科目別難易度はわからない

この表はあくまでも最近の傾向でしかありません。
ここ5年で最も平均合格率が高いのは経済学ですが、その1年前、平成25年の経済学では2.1%という最近10年の全科目で最も低い合格率となっています。
経営情報システムや中小企業経営・政策も難しい年がありました。

1次試験の合格率は大きく変動しない

面白いもので、科目毎には毎年大きく合格率の変動がありますが、1次試験の最終合格率の標準偏差は、直近5年間ですと科目別で一番偏りの少ない経営法務と同程度に収束しています。
というのも、前述の得点調整が何らかの科目で(複数科目の場合もある)ほぼ毎年入りますし、総得点の合格基準が下がる場合もあります。具体的には、2016年の1次試験では合格総得点が1%引き下げられ、59%で合格となりました。これが「試験委員会が相当と認めた得点比率」が意味するところです。

意図したのかはわかりませんが、合格者が出すぎないように基本的に問題は厳し目にしておいて、難しくなりすぎた分を調整して最終合格率をコントロールしているとも取れます。

保有資格および2年目以降の科目免除は利用すべきか

保有資格による免除

保有資格によって、例えば弁護士は「経営法務」が、公認会計士は「財務・会計」が免除されるという規定があります。
しかし、そのような方が該当科目を受験すれば大きな得点源になります。60点以上が確実に取れる科目は受けたほうが良いので、免除は避けるべきでしょう。

2年目以降の科目免除

同様に、労せず60点以上取れるのであれば、1年目の試験で合格した科目でも、2年目以降の受験で科目免除しない方が総得点は高くなります。

一方、最初から複数年計画で少しずつ合格していくパターンはありえます。

例えば税理士試験は科目合格の効果が永続的に続くので、複数年での合格を目指すのが一般的です。中小企業診断士においても、仕事で忙しい中、短期的な勉強で合格するために、例えば6-7月の2ヶ月だけ勉強して、3年間で2科目、3科目、2科目…というようにクリアしていく方法が考えられます。資格予備校では1.5年コースということで、1回目の1次試験の近くから勉強を初めて科目合格を狙い、2回目の1次試験で合格を目指すという講座もあります。

科目免除制度利用の難しさ

免除した科目は60点相当になりますので、上記の例で言えば、3年目は2科目で平均60点以上かつ40点未満無しが必要です。しかしながら、残った科目が極端に難しい年で科目合格率が3%といった悲惨な結果になる可能性もあり、2科目といった少科目で受験するのはリスクが高く感じます。免除するにしても4科目程度は受けたほうが安全です。

40点未満を取らないように一発合格を目指す

難易度のばらつきが大きすぎて、単体の科目で合格を目指すのはかえって難易度が上がってしまう場合もあるのが1次試験ですので、できれば一度で受かりたいです。
あくまでも私見ですが、難しい科目もあれば簡単な科目もあるので、「7科目受けて40%未満が1つもないが総得点が60%に満たず不合格だった受験者」はかなり少ないのではないかと思います。

前回、次の回は1次試験の内容と勉強法を紹介すると予告しましたが、思いの外書くことが多く勉強法までたどり着けませんでした。
次回こそは、筆者の実際の勉強スタイルを含め、学習の進め方をご紹介します。