現行業務をシステム化する際に必ず注意すべきポイント(後編)

本記事はEnterpriseZine「IT担当者のための<新>業務の基礎知識」転載記事です。(2017/06/28 06:00掲載)


前回は「現行業務をシステム化する際に注意すべき事(前編)」として、初めて現行業務をシステム化することになった企業のシステム導入検討チーム担当者を仮定し、注意すべき基本事項について紹介しました。今回は引き続き「現行業務をシステム化する際に必ず注意すべきポイント(後編)」として、システムより出力する帳票に関するポイントや、最終選考時に注意すべきポイントについてご紹介していきます。

 

現行業務をシステム化する際に注意すべきポイント

第2回目である今回は現行業務をシステム化する際に注意すべきポイント(後編)として以下3つのフェーズに分けてご紹介します。

  1. システムより出力する見積書、請求書などの各種帳票を整理し統一する
  2. システムより出力する分析帳票について検討する
  3. 最終選考時に注意すべきポイント

 

システムより出力する見積書、請求書などの各種帳票を整理し統一する

見積書や請求書などの帳票をシステムから出力していない場合、特に見積書については各営業担当者がExcelにて作成していることが多く、案件に応じてフォーマットを変更しているケースもあり統一されていないことがあります。

 

また、作成した見積書の管理を各営業担当者が個別に(または部署毎に)行っている事が多く、情報の一元管理ができず共有が困難である、過去の見積情報を参照するのに時間が掛かる、などの傾向も見受けられます。

 

請求書については、主に経理担当者が受注情報や契約書情報を基に人為的に作成する為、誤った請求額を記載してしまうなどの事故が起こる可能性も考えられます。

 

システムを導入し各種帳票をシステムより出力することで情報の管理・共有や金額の誤入力を防ぐ事が可能になるというメリットを得ることができますが、その際に注意すべきポイントがあります。

 

それはシステムより出力する帳票フォーマットを整理し統一する、という事です。

 

フォーマットが整理し統一されていないと、案件によってはシステムから出力する帳票は情報が足りず使用できない、などの理由より結局システム外で作成することになりシステム導入前の問題が解決されません。

 

また、複数存在する現行のフォーマットを継続し、システムから出力できるようにするには多くの導入コストが掛かることが予想されます。

 

これらの課題を解決する為にもシステム導入を機に現行の帳票フォーマットを整理・統一し、検討しているシステムがパッケージ製品であればどこまで必要な情報が出力できるのか確認し、足りないものがあれば補う方法を検討する必要があります。また、スクラッチ開発にて自社専用のシステムを構築するのであれば正確にベンダーへ整理した結果を伝える必要があります。

 

システムより出力する見積書、請求書などの各種帳票を整理し統一する

システムより出力する分析帳票について検討する

分析帳票は業種、経営層の意向、目的、出力頻度により様々存在します。例えば営業の見込状況を確認するもの、売上金額や利益を確認するもの、予算に対する実績を確認するもの、などです。

 

このような分析帳票を出力するには、対象となる情報がシステムに登録されている必要があります。 ここで注意すべきポイントとしては、分析帳票として出力したい情報とシステムが持つことのできる情報を精査し、不足している情報については項目を追加するなどして情報を出力できるようにシステムを変更するか、それとも分析帳票の出力対象より外してしまうのかを判断する、ということです。

 

分析帳票の出力方法は2パターンあります。

  • 現状の分析帳票をシステムより出力可能にする方法
  • システムからは分析帳票の基となるデータを出力し、システム外で分析帳票を作成する方法

 

システムより分析帳票を出力する場合のメリットとしてはボタン1つで出力できる為、帳票作成の負荷が軽減される点であり、デメリットとしては設定費用が掛かることや、何らかの理由で帳票フォーマットが変更になった場合に再度設定を行わなければならず、追加費用が発生する点が上げられます。

 

システムからは帳票の基となるデータを出力し、システム外で分析帳票を作成する場合のメリットとしては、設定費用が発生しないことや分析帳票のフォーマットが何らかの理由で変更になった場合でもシステムへの影響度が低く、追加で発生する費用も抑えられる点であり、デメリットとしては出力された情報を加工し分析帳票を作成する必要があるため、作成担当者に負荷が生じる点となります。

 

どちらが自社に合った方法なのかを見極め、検討することが重要なポイントとなります。

 

システムより出力する分析帳票について検討する

 

最終選考時に注意すべきポイント

最終選考時に注意すべき事としては、もちろんコスト比較も重要なポイントとなりますが、これまで各ベンダーより受けてきた提案内容や、パッケージシステムであればデモンストレーションを通じ紹介されてきた各機能の概要について、システム導入後に「できる」と認識していたものに対し検討チームとベンダーの認識に間違いが無いかを改めて確認する、ということです。

 

以下にて確認すべきポイントを例としていくつか記載します。

 

システム導入後の全体的な業務フローについて問題が無いかを再度確認する

通常の業務フローに対し、検討しているシステムの流れが自社業務に即したものなのかを改めて見直すことで、本当に自社に合ったものなのかを再度確認することができます。

 

試用版システムを利用し操作性や全体的なデータの流れについて再度確認する

パッケージシステムであれば一定期間、そのシステムを試用し導入後のイメージを確認することができます。

実際に使ってみることで操作性やデータの流れ、どのように情報を管理していくのかを確認することができ、これまで持っていたイメージを具体化することができます。

 

軸となる重要業務や自社特有の業務に対するシステムの対応方法を再度確認する

自社特有の業務管理方法や流れを変えることができない重要な業務は少なからずあると思います。

それらに対し各ベンダーより「対応可能」と受けている説明について、どのように対応するのか、システムでの業務管理方法が実際の業務に耐えられるものとなっているか、などを再度確認することで認識の違いによる導入後のトラブルを防ぐ事ができます。

 

最終選考前に今一度これらを確認することが、より良いシステムを選定する為のポイントとなります。

 

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次回は、プロジェクトの管理をシステム化する際のポイントや注意すべき基本事項を記載したいと思います。

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