働き方改革で注目されるRPAとは何か
目次
働き方改革の前提・背景
2018年6月29日午前の参院本会議で働き方改革関連法案が可決・成立しました。
政府の方でも最重要法案と位置づけられ、実行待ったなしとして話題に上がることも多い働き方改革ですが、そもそもなぜ働き方改革が必要なのでしょうか。
その答えは少子高齢化の影響により、日本の生産年齢人口が減少し続けており
このままでは国が衰退してしまうと言われているからです。
しかし、本当に日本は衰退してしまうのでしょうか。
下のグラフは、日本とドイツの人口推移です。
・日本の人口推移
・ドイツの人口推移
Source: United Nations, Department of Economic and Social Affairs, Population Division (2017). World Population Prospects: The 2017 Revision.
程度の差はありますが、どちらも2000年ごろから15歳-64歳の生産年齢人口が減少しています。
次に日本とドイツのGDPの推移を見てみましょう。
・日本とドイツのGDP推移
資料:GLOBAL NOTE 出典:IMF データ更新日:2018年4月19日
日本の名目GDPは2000年 → 2017年でほぼ横ばいなのに対し、ドイツは同期間で
2倍近くまで増加しています。
どちらも2000年ごろから生産年齢人口が減少しているという点についてはおおむね同じですが、GDPでは異なる結果が見られます。
これは生産年齢人口が減少していても、経済成長を実現できることを表しています。
もちろん日本とドイツでは生産年齢人口の減少速度や為替相場なども含め様々な違いがあるので一概には言えませんが、生産年齢人口の減少がそのまま国の衰退に直結するわけではないということは言えるのではないでしょうか。
つまり、働き方改革とは生産年齢人口減少という避けようのない現実を受け止めつつも
持続的な成長を実現するために行う改革ということになります。
働き方改革の取組の方向性
働き方改革は生産年齢人口減少の中にあっても持続的な成長を実現するための取組であると書きました。
それでは実際にはどのような対応が考えられているのでしょうか。
大きくは2つあります。
1.労働参加率の向上
労働参加率の向上とは、生産年齢ではあるものの様々な事情で現在は生産活動に参加していない方に生産活動に参加してもらうことで労働人口を増やし、経済成長を実現しましょうという取組です。
ちなみに生産年齢とは生産活動に従事しうる年齢のことを指し、具体的には15歳から64歳までを指します。この取組では、女性の働きやすい環境整備(保育所の整備 等)、テレワーク(在宅勤務)の推進 など、働きたいけど働けていない人たちにとっての障壁を取り除いていく取組が進められています。
2.生産性向上
2つ目は生産性向上です。
生産性の向上は今生産活動に従事している人たちの一人あたりの生産量を増やしましょうという取組です。
無駄な作業を省いたり、テクノロジーの導入で業務を高度化したりといった方法が考えられます。
働き方改革では、大きくはこの2つを推進して、生産年齢人口が減少していく中でも持続的な成長を実現しようとしています。
働き方改革の解としてのRPA
さて、前置きが長くなりましたが、今回の記事では働き方改革における2つ目の方向性で挙げた「生産性向上」の実現に大きな効果が期待されている「RPA」というテクノロジーについてご紹介したいと思います。
「RPA」とは
Robotic Process Automation(ロボティックプロセスオートメーション)
の略で、これまで人間にしかできないと考えられていたホワイトカラーの業務を代行・自動化するソフトウェアです。
このRPA、なぜ注目されているのかと言うと
- 導入に際しての現場の負担が比較的小さい = 低コスト
- 金額もそれほど高くない = 低負担
- 導入の効果は大きい
と言われているからです。
RPAの特徴・導入効果
人が作業するのと比べた場合のRPAの特徴としては下記が挙げられます。
- スピードが圧倒的に早い
- 正確・ミスがない
- 休み・退職等がない
また、これまでのERP等のITシステムと比較した場合、すでに述べたとおりですが、
- 導入に際しての現場の負担が小さくハードルが低い
- 一般的なシステム導入と比較すると低コストで導入できる
といったことも特徴として挙げられます。
このような特徴のあるRPAですが、導入した場合の効果としては下記のようなことが期待できます。
- 人手不足の解消
- 業務の属人化防止
- 業務クオリティの標準化・高品質化 ※ミスがないので
- 作業時間の削減
- 作業時間削減に伴う残業代低減 または 削減した時間を他の生産業務に回すことによる生産量アップ
まさに生産性の向上に効果が期待できます。
RPA化が向く業務
このようにRPA導入にはメリットが多いわけですが、どんな業務でも自動化できるのでしょうか。
結論から言うとRPAに向く(置き換え可能な)業務、向かない(置き換えられない)業務があります。
置き換え可能な業務としては基本的には「PC上で行う定型的な業務」が自動化の対象となります。
実際に置き換え可能な業務は無数にあるので個別で挙げることは難しいのですが、
例えば、
- データ入力業務
- 見積書、請求書等の証憑類作成業務
- 既存システムからのデータ抽出、加工、帳票レポート作成
などはRPAによる自動化がやりやすい分野ではないでしょうか。
リスト化された出発地と到着地データからインターネットでルート検索を行い、最短時間を調べてリストに追記するなども可能です。
逆に「紙媒体の情報を目視で確認し、内容によって判断を下し、処理を行う」というようなことはRPAで置き換えて自動化することはできません。
ただし、紙媒体の情報をデジタルデータ化してあげれば、その情報をルールに従って判定し、自動で処理を行うことはできます。
また、近い将来にはAI(人工知能)との組み合わせにより、判断を伴う処理も自動化できるようになると予想されます。
まとめ
このようにRPAは比較的低コスト、低負担で導入が可能で、かつこれまで自動化できなかった多くの作業を自動化することができるため、働き方改革で求められている生産性向上への解となることが期待されています。
数年以内にはAI(人工知能)との連携も進み、より高度な業務の自動化まで実現可能になると予想されます。
その時にはRPAは今のPCやOffice製品等と同様に使って当たり前のものとなっている可能性が高いです。
そうなってからでは今よりも導入のハードルが上がってしまっているかもしれませんので、自社の業務で使えそうだなと思う部分があればまずは試してみてはいかがでしょうか。
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