【インタビュー】ダイバーシティは競争力の源泉、残業しないことへの挑戦

株式会社ネットラーニングは、のべ4371万人以上に教育・研修サービスを提供するeラーニング最大手企業です。同社のグループは教育サービスに加え、育児・介護と仕事の両立支援サービスを主要事業としており、ダイバーシティ、ワークライフバランスを全社的に推進し働きやすい職場づくりを進めてきました。育児休暇取得者の職場復帰率は100%。男性社員の育児休暇取得例も複数あり、2013年には「東京ワークライフバランス企業」に認定されています。

本日は、ネットラーニンググループ 代表取締役会長 岸田 徹様にお話を伺いました。

社員とその家族の生活を守るセーフティネットに

—ワークライフバランスに合った働き方の取り組みの背景を教えていただけますか。

主たる目的として働く人たちのセーフティネットになりたいという思いがあります。
社員とその家族を守り、社員の生活を大切にすることは会社の役割だと考え、創設期より多様なライフスタイルや価値観に合った働き方を推進しています。

 

人生には様々なライフイベントが発生します。病気や出産・育児、介護など様々な出来事をきっかけに、キャリアアップを断念したり、退職せざるを得なくなったり、仕事と私生活の両立がなかなかうまくいかず悩む人は多いと思います。

 

ひとりひとりが様々な事情を抱えて仕事をし生きていく中で、私生活の充実は仕事の充実に繋がり好循環のスパイラルを生みます。

 

多くの人が一日の大半を会社で働いて過ごします。社員一人ひとりが人間らしい生き方ができるよう労働環境の整備を行うべきだと考えています。

仕事は量より質を求める時代へ

—ダイバーシティ取り組みの背景について教えて下さい。

かつて工業を中心とした産業社会だったころ、労働者全員が工場で同じように働き、同質のものを大量に作っていました。その頃の日本社会は極端に同質性が高く、勤勉で働き者であれば良い評価を得られる時代でした。

 

近年は情報化社会となり産業構造の枠組みが大きく変わり、イノベーションを創出するクリエイティブな能力が問われるようになり、量より質を問われる時代になったことが背景にあります。

 

ライフスタイルにあった多様な働き方の整備だけでなく、様々な人種、性別、思想など多様な価値観を持った人材を受け入れることは、豊富なアイディアや、変化対応力のある人材を生み出し、競争力の源になると考えています。

 

多様な少数派が集まり幅広いコンセンサスを競争基盤としていく

多様な人材は、企業の変化競争力の源となり、ダイバーシティは企業の競争基盤となっていくと思います。変化の激しい市場競争を勝ち抜いていくために市場の多様なニーズに対応できる組織としてのダイバーシティの取り組みは重要です。

 

民主主義の欠点は、多数決により多数派の意見を採用することです。
同質性の高い集団である場合、同質の多数派が自動的に物事を決めてしまいます。

 

一方で全員が少数派ならば、徹底的に協議してコンセンサスをとって作っていくので、意思決定の際にディスカッションをして合意しないと全体の意思を形成できません。

 

当社のダイバーシティは、多様な少数派が集まり、幅広いコンセンサスを形成できる組織にしていきたいです。

残業をしないで成果を出すことに挑戦するベンチャー企業

—多様な働き方に関する具体的な取り組み内容についてお聞かせください。

当社では「残業をしない」取り組みをしています。
残業を良しとしない方針で、生産性高く働くことを良しとする風土があります。月平均の残業時間は、月5時間程度で、残業をせず効率よく業務をまわし成長を続けることに挑戦を続けるベンチャー企業だと考えています。

 

加えて「5時に帰る日の実施」をしています。
この日は、通常の終業時間よりも1時間早く退社できます。月平均の残業時間の増減により毎月1~2回程度実施しています。平均残業時間が少なければ少ないほど、「5時に帰る日」の回数が増えます。残業時間が多いのに、5時に帰りましょうと言っても帰れませんからね。社員全員で生産性高く効率よく仕事をし残業時間を減らすことができれば、さらに5時に帰る日も増えるということです。

 

その他、「多様な休暇制度」があります。
「リフレッシュ休暇」「バースディー休暇」「時間単位有給休暇」「ボランティア休暇」「不妊治療休暇」など様々な休暇制度を導入しています。

 

また、休暇取得の促進として、業務システムを導入しています。有給休暇の取得状況や取得期限を一覧化し、社員自身が期限を意識しながら計画的に休暇を取得できるようにしています。

育児休暇取得者の職場復帰率100%、男性社員の育児休暇取得も!

—東京都内の管理職に占める女性の割合は1割半ば*ですが、貴社の女性管理職比率はもっと高い数値を達成しているそうですね。

ダイバーシティ、ワークライフバランスを全社的に推進した結果、現在女性管理職比率は、国の目標である30%を超え、40%を実現しています。そのうちの女性3名は、執行役員として責任のある仕事を果たし活躍しています。

 

*管理職に占める女性の割合は1割半ば:東京都内の2017年度の雇用状況調査
出典:http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/03/26/documents/14_01.pdf

 

・ネットラーニング社の女性活躍の推進について

 

女性の育児休暇取得率は100%、取得者の職場復帰率は100%です。また、男性社員も育児休暇を取得しており、最高1年取得した社員が何人もおります。

 

・ネットラーニング社の育児休業取得について

 

男女ともに育児を通じて、仕事以外の視野を広げ、生活者視点や新たな価値観を身につけることで復帰後の働き方、仕事の進め方に好影響をもたらしています。

 

効果と効率の両側面から生産性を改善していく

—休暇取得の促進のお話の中で、業務システムのお話がありましたが、貴社では、どのような業務管理を行っているのか教えてください。

当社では、日々の業務を作業日報で管理しています。どの担当者がどの作業を何時間したのか、その他、会議に何時間使っているかなど日々の業務を記録し、原価分析を行っています。

 

登録された実績データの分析において、「時間効率を上げてムダを省く生産性向上」と「利益率の高い商品やサービスに主力を移すなどアウトプットの生産性向上」といった「効果」と「効率」の両側面から見た生産性の改善を行っています。

働き方改革は、まったなし!!

—貴社の働き方は今後も変化していくのでしょうか。働き方改革について今後の展望をお聞かせください。

働き方改革は、社員にとっても会社にとても良いことなので、早く取り組めば必ずいい結果があると思います。

 

時間で労働を測定する時代ではもうなくなりつつあり、質で評価しなければいけない時代に変わり、時代の流れが本当に大きな転機にきていると思います。

 

自分の組織と新しいあり方との間に矛盾を起こすこともあると思いますが、新しい時代に見合った働き方ができる組織をこれからも作っていきたいと考えています。

■会社データ

https://www.netlearning.co.jp/

社名:株式会社ネットラーニング
所在地:東京都新宿区西新宿7-2-4 新宿喜楓ビル3階
設立:1998年
資本金:1億円
代表取締役:岸田 徹
業種:サービス業
事業内容:eラーニングトータルソリューションサービス(提供講座数(自社制作)が7,500講座超、のべ学習者数が4,000万人を突破( 2018年5月31日現在))

 

※上記内容はインタビュー時点の情報に基づき作成されています。
※その他、記載されている社名、製品名またはサービス名は各社の商標または登録商標です。

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