【インタビュー】世界的な人材不足の中で、国内外から毎月1000人が応募~全社員がリモートワークで働く人材企業~

株式会社キャスターは、国内&海外、さまざまな場所に居住する全従業員が「リモートワーク」で働く人材企業で、平成29年総務省の「テレワーク先駆者百選」に選出されました。業務内容は、主に100名以下のベンチャー企業をターゲットとした採用業務やバックオフィス業務を代行するオンラインサービスを提供しています。本日は、株式会社キャスター COO石倉秀明様にお話を伺いました。

 

低賃金の在宅ワーク、リモートワーカーの処遇を改善したい

—とりくみを始めた背景について教えていただけますか。

もともと代表が前職にて掲示板監視・投稿監視等のアウトソーシングサービスを提供する会社で働いていたのですが、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)案件をアウトソースしたい依頼元とそれを請け負いたいリモートワーカーの間に立ち、リモートワーカーのマネジメントをする業務を担当していました。

 

当時、在宅等で作業するリモートワーカーは、最低賃金にすら及ばない極端な低賃金な案件が多く、どんなに優秀な人材であっても規定の働き方のレールから外れた瞬間に、過去の経験が考慮されず、働く人に選択肢が殆どない傾向でした。このことがきっかけとなり、当社代表の中川は起業を意識しはじめました。

 

当社は、「労働革命で、人をもっと自由に」というビジョンを掲げています。正社員、派遣、アルバイトなどの雇用形態に関わらず、リモートワークを当たり前の働き方にすることで、「労働革命」の原動力になるという考えが原点にあります。実際当社で働く全員がリモートワークで働いています。

 

リモートワークで起きるデメリットはオフラインでも発生する

—リモートワークの導入で、苦労した点などありませんでしたか。

経営側からみても、働く側からみても、リモートワークはほとんどデメリットがないと思っています。リモートワークをしているからといって特別なことは何もなく、チャットツールを使って業務を行い、普通の勤怠システムで日々の業務管理を行っています。

 

一般的にリモートワーク導入のデメリットとして懸念されていることは、例えば「オンライン*1で働いている人の行動は全てマネジメントできているか」「オンラインだけで働いているとコミュニケーションの齟齬がおきるのではないか」などですが、これらの問題は、場所が離れているから起きるのではなくて、オンラインでもオフライン*2でも起こりうる事象だと思います。

 

*1オンライン:インターネットやネットワークを通して繋がった状況
*2オフライン:(ネットワーク接続が必要ない環境で)人と人が直接会った状況

 

中小企業が人手不足でも、社員応募が殺到

—リモートワーク導入のメリットは何ですか。

圧倒的に採用がしやすくなることです。
昨今の深刻な人手不足は、企業が耐え切れる範囲を超えており、とりわけ中小企業が労働不足を補えるだけの対策と実現は難しいと思います。そこで、リモートワークを活用することは、もはや自然な流れであると共に不可欠な取り組みであると考えています。

 

多くの中小企業が労働不足に四苦八苦しているなかで、当社では会社経営で必要な調達「ヒト、モノ、カネ」の中で最も難しいと言われる「ヒト」の調達に困りません。「リモートワークだから業務委託でしか働けない」「リモートワークだから社員になれない」と思っている人がとても多く存在します。

 

当社ではフルタイムの社員募集に、毎月1000人程度の応募がきます。リモートワークでこれまでの経験を生かした働き方を求めている人がまだまだたくさんいると考えています。

 

実業務での生産性向上の取り組み
~タスクの受け渡しや担当者の最適配置~

—貴社の業務管理方法について教えてください。

当社は、お客様から一ヶ月に30時間分のバックオフィス業務を請け負っています。例えば、見積もりなどの作成業務や日程調整の依頼などがあるのですが、これらの業務は必ずしも複数のタスクがきちんと分かれた状態でくるとは限らず、コミュニケーションを交わしていく中でタスクが付随していることもあります。

 

重要なことは、作業をする担当者一人あたりが同じ時間の中で割り振られたタスクをいかに早く処理できるか、ムダを省いてどのように回し生産性を高めるかに会社としてフォーカスしています。

 

また、当社にはCTOをはじめとしたエンジニアチームがあり、自分たちの労働生産性を高めるためにテクノロジーを取り入れています。ある担当者はどのようなスケジュールで働いているか、どのようなタスクが得意か、過去のタスク、いままでのスキルなどの情報をもとに、自動でレコメンドして特定の人にアサインする自社開発のタスクマッチングシステム(特許取得※)を活用しています。このようなシステムを使いながらタスクの受け渡しや最適配置をすることによりアサイン管理を行っています。

 

※タスク内容に基づく最適な作業者の自動レコメンド機能において特許取得済

 

オルタナティブワーク
~これまでの働き方から新しい働き方に変える~

—貴社の取り組みの成果、今後の展開、他企業様へのアドバイスがあれば教えてください。

最近、働き方改革について、世間の意識が高すぎるように感じています。
成果としてどれくらいの生産性を向上させるかを議論する前に、まずは人的リソース不足について危機感をもつべきだと思います。

 

これから労働人口がより一層減少していくことや、労働者個人の意識として働き方はより自由なほうを求められていくことが不可逆な流れであり、中小企業はますます深刻な人手不足になっていきます。そのため、労働者が多様な働き方を選べるような会社を作っていくことが大事なことだと私たちは考えています。

 

私たちが伝えたいことは、リモートワークがオフラインと比べて優れているということではありません。リモートワークを導入することは、労働者が自由な働き方を選べるようにする一つの手段であることに過ぎないと考えています。

 

大企業であってもリモートワークを一斉に始めるには時間がかかるかもしれませんが、昨今の人材不足の状況を鑑みて、多くの企業で段階的な取り組みが始まっています。中小企業は、自分たちがどのような働き方を設計していくか考えなければならない時期に突入してきており、今後、大企業と中小企業の人的リソース不足の深刻度は差が広がると思います。

 

オルタナティブとは、古いものから新しいものへ取って変わるという意味で、根底にあるものは、今までの働き方の「否定」です。いまの働き方をおかしくないと思っている人も多くいますが、これから世の中の局面が変わっていくなかで、私たちは、取り組みや事業を通して「新しい働き方を当たり前にすること」をやり続けていきたいと考えています。

 

■会社データ

http://caster.co.jp/
社名:株式会社キャスター
所在地:東京都渋谷区道玄坂1-20-1 大沢ビル5F
創立:2014年9月
従業員数:370名(業務委託を含む)
資本金:4,990万円
代表取締役:中川祥太
業種:アウトソーシング(人材業)
事業内容:人事、経理、Web運用に関する日々の様々な業務を「優秀なリモートで働くアシスタント」に依頼できるオンラインアシスタントサービス「CasterBiz(キャスタービズ)」のサービス運営、 デザイナー・エンジニアのお仕事紹介サービス「Remote Style」サービス運営

 

※上記内容はインタビュー時点の情報に基づき作成されています。
※その他、記載されている社名、製品名またはサービス名は各社の商標または登録商標です。

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