会社の数字に強くなる「日商簿記検定」試験の概要

「簿記」という言葉を耳にしたことはありますか?

簿記とは、「企業が日々行う経済活動を記録、整理するための方法・技法」です。簡単に言うと、「日々のお金の出入りを記録する方法」です。

経済取引を記録することにより企業の経営成績や財務状況も明らかとなるため、ビジネスにおいて簿記の知識は必要不可欠です。

今回は、簿記の知識及び技能を学ぶことができる検定試験「日商簿記検定」について紹介したいと思います。

日商簿記検定とは

日本商工会議所・各地商工会議所が実施している検定試験です。

全国的に知名度の高い検定試験のため、経理や一般事務などへの就職や転職の際に有利な資格とされています。

また、経理業務に関する知識だけでなく、取引先の財政状況の把握などにも役立つため、多くの企業が経理担当者以外の社員に対しても日商簿記検定の資格取得を推奨しています。

 

試験概要

日商簿記検定には、簿記初級・原価計算初級・3級・2級・1級があります。

簿記初級と原価計算初級は、インターネットを利用して行う試験のため、勉強の進捗度に応じて、随時受験することが出来ます。

※実施日は各ネット会場により異なりますので、「商工会議所ネット試験施行機関リスト」をご確認ください

2級と3級は、毎年6月・11月・2月の年3回、1級は、毎年6月・11月の年2回実施されています。

 

各級の基準や出題科目など

各級の出題科目や試験時間、レベルについて詳しくご紹介します。

【簿記初級】

簿記を初めて学ぶ方向けの入門級として2017年4月に創設されたもので、「簿記の基本用語や複式簿記の仕組みを理解し、業務に利活用することができる」が基準となります。

ネット会場で随時受験することができ、合否判定もその場で確認できるのが大きな特徴です。

商工会議所が発表している2019年4月1日~2019年6月30日期間における合格率は、61.3%です。

 

【原価計算初級】

原価計算を初めて学ぶ方向けの入門級として、2018年4月に創設されたもので、「原価計算の基本用語や原価と利益の関係を分析・理解し、業務に利活用することができる」が基準となります。簿記初級と同様、ネット会場で受験が可能です。

商工会議所が発表している2019年4月1日~2019年6月30日期間における合格率は、94.8%であり、受験者のほとんどが合格していることが分かります。

原価計算初級の知識は、2級で学ぶ範囲の学習の基礎となるべきものと言われているため、原価計算に馴染みのない方は、2級の勉強を始める前に原価計算初級の勉強をしてみてはいかがでしょうか。

 

【3級】

「基本的な商業簿記を修得し、小規模企業における企業活動や会計実務を踏まえ、経理関連書類の適切な処理を行うことができること」が基準となります。

商工会議所が発表している152回(2019年6月9日)の3級の合格率は、56.1%です。過去のデータを見ても合格率は50%前後のため、比較的取得しやすい資格と言えるのではないでしょうか。

簿記について初めて勉強する人は3級から受験することをお勧めします。

 

【2級】

「高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うことができること」が基準となります。

2級は、企業の実務上、最も役立つ知識として取得を求められる資格の1つと考えられています。

商工会議所が発表している152回(2019年6月9日)の2級の合格率は、25.4%です。なお、2級と3級の試験は同じ日の午前と午後に実施されるため、併願することも可能です。

 

【1級】

「極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うことができること」が基準となります。

合格者には税理士試験の受験資格が与えられ、職業能力開発促進法の指導員資格試験では、事務科の試験科目の一部が免除されます。

商工会議所が発表している152回(2019年6月9日)の1級の合格率は、8.5%であり、合格率から見ても難易度の高い試験ということが分かります。

 

各級の出題範囲について、より実際の企業活動や会計実務に即した実践的なものとなるように2019年度(2019年6月の試験から対象)から3級を中心に出題範囲を改定することが、日本商工会議所より発表されています。試験を受ける際には、ご自身が受験する級の出題範囲をしっかり確認しましょう。

各級の出題範囲の詳細については、日本商工会議所・各地商工会議所のHPに掲載されている「簿記検定試験出題区分表(2019年度適用)」を参照ください。

 

勉強方法

受験する級により勉強方法は異なりますが、基本的にはテキストと問題集を利用します。

知名度の高い検定試験ということもあり、多くのテキストや問題集が販売されています。どのテキストでも出題範囲は網羅されていますが、本の構成(色使いやポイントの書き方など)はテキストごとの異なるため、自分に合ったテキストを購入することが重要だと思います。

問題集については、テキストと同じシリーズのものを利用することをお勧めします。問題集の解説ページにテキストの対象となるページが記載されていることが多く、間違えた問題や分からなかった問題をすぐにテキストで確認できるようになっているため、効率的に勉強を進めることができます。

また、専門学校や企業が日商簿記検定試験講座やセミナーを開催していますので、自分で勉強を進めることが苦手という方は、活用してみてはいかがでしょうか。

 

筆者は、3級と2級を取得していますが、どちらも独学で合格しました。

参考までに各級の勉強方法をご紹介します。

3級の勉強では、テキストと問題集を活用し、学習期間は2週間程度です。テキストを一通り読んだあと、問題集を解き、間違えた問題をテキストで復習しました。学習期間が短かったため、過去問は一巡しかしていません。筆者、3級の勉強を始めるまでまったく簿記の知識はありませんでしたが、この勉強方法で一発合格でした。

 

2級は一発合格とはいかず、複数回受験しているため、合格した時の勉強方法となります。

テキストと問題集に加え、移動時間も勉強できるようにスマートフォンのアプリを活用しました。学習期間は3ヵ月程度です。

過去問は時間を測って行うようにし、ほぼ満点が取れるようになるまで繰り返し解きました。

アプリも無料のものから有料のものまでたくさん出ていますが、筆者は有料のものを利用しました。アプリを利用してみて良いなと思ったのは、アップデートにより次回の試験の出題範囲に合わせて内容が改変される点と、間違えた問題にチェックしておき、その問題だけを復習できる点です。

まとめ

ビジネスにおいてお金は重要なものの1つです。

会社経営や経理業務に携わっていない方は、簿記の知識は必要ないと思うかもしれません。しかし、簿記の知識があるのと無いのでは、会社の数字の見方がかなり変わります。筆者も簿記の勉強を始めてから、取引先の財務状況などを意識するようになりました。

数字に強くなりたい、ビジネスで役立つ資格を取りたいと思っている方は、簿記検定の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

 

日商簿記検定は日本商工会議所・各地商工会議所が実施しています。

https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping