ビジネスの基本的な法律知識を習得!ビジネス実務法務検定試験の概要【2022年改訂版】

「新たな会社と取引をするために契約を結ぶ」、「セミナーを受講した人に向けてメールマガジンを配信する」、「自社製品とそっくりなデザインの新製品が他社から販売された」など、日々ビジネスの現場では、新しいことを始めたり、いろいろな出来事が起きたりします。これらひとつひとつに様々な法律が関わっていることはお気づきでしょうか?

普段仕事をしているときはあまり意識していなくても、ビジネスシーンで関係する法律は数多くあります。当然のことながら、ビジネスはその法律(ルール)に則って行わなければいけません。法律知識がないために、知らず知らずのうちに法律違反を犯してしまったというわけにはいかないので、一人ひとりがコンプライアンス(法令遵守)能力を身につけ、事前にリスクを回避、問題を適切に解決することはとても重要です。しかし、ビジネスに関連する法律を自分で調べて理解するということは、法律に詳しくない方には難しいのではないでしょうか。そこで今回は、ビジネスを行う上で必要な基本的な法律知識を習得することができる検定試験をご紹介したいと思います。

それが「ビジネス実務法務検定試験®」です。

ビジネス実務法務検定試験®とは

ビジネス実務法務検定試験(通称「ビジ法」)は、東京商工会議所が主催している検定試験です。ビジネスに不可欠なコンプライアンス・法令遵守能力の基礎となる実践的な法律知識を体系的かつ効率的に身につけることを目的とした試験です。

ビジネス実務法務検定の試験概要

ビジネス実務法務検定試験2級・3級は、2021年の試験より従来の実地試験からCBT(テストセンターに設置されたPCで受験)とIBT(インターネットを通じて自身のPCで受験)方式になりました。

また、1級も2022年の試験よりCBT方式の統一試験になります。

(参考URL: https://kentei.tokyo-cci.or.jp/houmu/exam-info/#content01 )

2級と3級は例年7月と10月に実施され、それぞれ2週間ほどの試験期間と時間枠の中から自身の都合に合わせて試験日時を選ぶことができます。2022年は7月1日(金)~ 7月19日(火)と10月21日(金)~ 11月7日(月)に行われました。1級は年に1回全国共通の試験日時で実施され、2022年は12月4日(日)に行われる予定となっています。

 

各級の出題範囲や合格基準などについて

それでは級ごとに出題範囲や試験形式、時間、合格基準などについて詳しくみていきましょう。

3級:基礎的な法律知識が問われる、学生もチャレンジ可能

「ビジネスパーソンとしての業務上理解しておくべき基礎的な法律知識を有し、問題点の発見ができること」が基準となっており、3級の公式テキストが出題範囲です。

2022年度版3級公式テキストの範囲

1.ビジネス実務法務の法体系

2.企業取引の法務

3.債権の管理と回収

4.企業財産の管理と法律

5.企業活動に関する法規制

6.企業と会社のしくみ

7.企業と従業員の関係

8.ビジネスに関連する家族法

 

試験時間は90分、多肢選択式です。

合格基準は100点満点中70点以上です。

受験資格は特に設けられておらず、学歴・年齢・性別・国籍による制限はありません。そのため学生の方も数多くチャレンジしているようです。東京商工会議所が発表している2021年の受験者のデータによると、「高校生・専門・短期大学生」と「大学生」合わせると1割以上の方が受験しています。

 

2級:実務経験者向け、ビジネスの現場で役立つ問題が多い

「企業活動の実務経験があり、弁護士などの外部専門家への相談といった一定の対応ができるなど、質的・量的に法律実務知識を有している」ことが2級の基準です。3級の範囲にプラスして2級公式テキストの基礎知識とその応用力が出題範囲です。

2022年度版2級公式テキストの範囲

1.企業取引の法務

2.債権の管理と回収

3.企業財産の管理・活用と法務

4.企業活動に関する法規制

5.株式会社の組織と運営

6.企業と従業員の関係

7.紛争の解決方法

8.国際法務(渉外法務)

 

試験時間は90分、多肢選択式です。

合格基準は100点満点中70点以上です。

受験資格は3級同様特に制限を設けていません。3級をとばして、2級から受験することも可能です。試験日時を自身で選ぶことができるため、同一試験期間に併願受験もできます。

 

1級:ビジネス全般に関する法律知識がある方はチャレンジしたい

1級は「業務上必要な法務知識をビジネス全般にわたって持っており、その知識に基づいて多面的な観点から高度な判断・対応ができる」ことが基準です。

1級は共通問題と選択問題で構成されています。

共通問題は、民法および商法・会社法を中心に、全業種に共通して発生することが考えられる法律実務問題が2問(2問とも必須)出題されます。

4問中2問を選択する選択問題では、特定の業種に関連する一連の法律が取り上げられ、実務担当者が遭遇する様々な場面を想定して出題されます。例えば、「取引上のトラブルを処理」、「取引関係に立たない第三者とのトラブルを処理」、「法務関係の上司や弁護士などの専門家に法的トラブルの顛末・処理方法を報告」、「予防法務的観点からトラブルになりそうな問題に対応」などの事例を通じて実務の対応能力が問われます。

試験時間は、共通問題と選択問題がそれぞれ90分です。共通問題、選択問題ともに論述式の試験問題です。

合格基準は、共通問題2問・選択問題2問の200点満点とし、各問題で得点が50%以上でかつ合計点が140点以上です。また、2021年度の試験までは2級合格者のみが受験可能でしたが、2022年度から合格要件がなくなり、どなたでも受験できるようになりました。

 

勉強方法

勉強のベースとなるのは、東京商工会議所が毎年発行している「公式テキスト」と「公式問題集」です。そもそも試験の出題範囲が「公式テキスト」なので、受験する級の「公式テキスト」は必ずチェックしましょう。また、東京商工会議所で受験対策のセミナーや公式の通信講座が開講されているので、こちらを活用してもいいと思います。

 

筆者はIBT方式で2級を受験し合格しました。参考までに勉強方法をご紹介します。教材は、「公式問題集」と無料のスマートフォンアプリを利用しました。出題形式に慣れておきたかったのと勉強時間があまりなかったので、公式テキストは利用しませんでした。主に自宅で公式問題集を解き、通勤中にスマートフォンアプリを利用し苦手な分野の問題を繰り返し解くようにしていました。IBT方式の場合、筆記用具などの持ち込みが禁止されていて問題や選択肢にメモ書きをすることができないため、スマートフォンアプリは実際の試験と似た状況下で問題を解く練習にもなりました。ただ、問題集の解説だけでは理解しきれない部分もあったので、馴染みのない法律用語や間違えた問題の確認用に公式テキストも用意しておくべきだったなと思いました。はじめて法律の勉強をする方は、ぜひ公式テキストも活用ください。

 

ITB方式について

コロナウイルス対応により様々な資格試験がCBTやIBT方式に移行しています。CBTは、テストセンターで受験するのに対し、IBTは自宅で実施するためPC、インターネット、指定された受験環境を用意する必要があります。要件をクリアしていないと失格となり受験できない場合もあるので、申込む前にサイトに掲載されている使用機器と受験環境を必ず確認するようにしてください。ちなみにビジネス実務法務検定では、以下のような要件になっています。

自宅で受験するならカンニングもできてしまうのでは?と思う方もいると思いますが、ビジネス実務法務検定の場合、試験開始前にPCが置いてあるデスクの上、部屋の中をカメラで写し、さらに手鏡やスマホを利用し、パソコンのモニターにメモや付箋がないか、スタッフに確認してもらいます。また、常にPCの画面を共有し、カメラ・マイクもONの状態で受験をするので、不正は難しいと思います。

 

筆者自身も試験日当日まで受験環境が不安でしたが、特に指摘を受けることなく受験することができました。IBT方式だと試験終了と同時に合否も分かるので、それもメリットだと思います。自身の都合に合わせて試験日時を決めることができ、試験場所までの往復の移動時間も不要なので、PCや受験場所を用意できるのであれば、IBT方式での受験をお勧めします。

 

まとめ

法律は独特の言い回しなどがあり、慣れないうちは少し難しく感じるかもしれません。しかし、ビジネス実務法務検定試験は、実践的な問題も多くビジネスシーンのイメージがわきやすいので、法律に苦手意識を持つ方も比較的勉強しやすいと思います。

ビジネス実務法務検定試験でビジネス上の必要な基本的な法律知識を習得し、コンプライアンス能力を身につけリスクを回避しながら、自分たちのビジネスをますます発展させていきましょう。

 

ビジネス実務法務検定試験®公式サイト ( https://kentei.tokyo-cci.or.jp/houmu/ )

 

※ビジネス実務法務検定試験®は東京商工会議所の登録商標です。
※本記事の情報は執筆時点(2022年11月)における情報であり、掲載情報が実際と一致しなくなる場合があります。必ず最新情報をご確認ください。

 

筆者プロフィール

yamamisa
yamamisaビーブレイクシステムズ
好きなものをゆるく幅広く追いかけるミーハー人間。月1で旅行にいくのが老後の夢。
抹茶とチーズとお酒があればご機嫌です。

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