テレワーク導入時は助成金の有効活用を。知っておくべき5つの助成制度

テレワーク制度を企業に導入する際にはコストがかかります。そのため、なかなか導入に踏み切れない事業者も多いのではないでしょうか。そんな時は、テレワーク制度の助成金を活用することをおすすめします。

テレワーク制度の導入を考えている事業者が知っておくべき5つの助成制度をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

テレワーク導入の際は助成金を利用したい

テレワーク制度を導入するためには、モバイル端末やスマートフォン、通信機器などのハード面のコストがかかります。さらに、セキュリティ対策費用や、従業員にセキュリティや制度の理解を促す研修費用なども必要です。

このように、テレワーク制度を導入する際には初期投資費用が大きくなりがちですから、助成金の利用をおすすめします。

全国で実施されているテレワーク向け助成金

時間外労働等改善助成金(テレワークコース)

参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/syokubaisikitelework.html

労働者のワークライフバランスの向上を目的として、在宅、または、サテライトオフィスにおけるテレワーク制度を推進する中小企業の事業主を対象とした、厚生労働省による助成金です。平成31年度の受付状況から抜粋して内容をご説明します。

 

【助成対象事業者】

助成対象となるのは、以下のすべてに該当する事業者です。

・労災保険に加入済み

・以下のいずれかに該当する事業者

業種資本、または、出資額常時雇用する労働者の数
飲食店を含む小売業5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他3億円以下300人以下

 

・テレワークを新規に導入する事業者、または、継続して活用する事業者

・労働者の労働時間などの改善を目的とし、在宅、または、サテライトオフィスによりテレワークの実施に積極的に取り組む事業者

【助成金金額と助成金支給対象事業】

助成金金額は条件により異なりますが、目標達成時には補助率最大3/4、上限150万円の助成金を受け取ることも可能です。

以下のような事業に必要な対象経費の一部を助成します。

謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、備品費、機械設備等購入費、委託費

【申請方法】

テレワーク相談センターから申請できます。

http://www.tw-sodan.jp/

IT導入補助金

参考:https://www.it-hojo.jp/

IT導入補助金とは、中小企業や小規模企業事業者が自社の課題やニーズに合ったITツールの導入をサポートする制度です。導入するITツールによっては、テレワーク制度導入に助成金を活用することも可能です。現時点の情報をもとに内容を抜粋してご説明します。

【補助対象事業者】

助成対象事業者は、中小企業、小規模事業者です。飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業のほか、製造業や建設業なども対象となります。

【補助金金額と補助金支給対象事業】

補助金の上限額は450万円、下限額は40万円、補助率は1/2以下です。

ソフトウェア費や導入関連費用が補助対象となります。そのため、テレワークに使用する通信機器やモバイル端末などの導入費用も補助金対象として申請可能です。

【申請方法】

平成30年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業の申請ページから、申請することができます。

https://www.it-hojo.jp/procedure/

東京都のテレワーク向け助成金

働き方改革宣言奨励金

参考:https://hatarakikata.metro.tokyo.jp/soureikin/

都内の企業に従業員の働き方や休み方の改善にかかわる経費を助成し、働き方改革を推進することを目的とした助成金制度です。平成31年度の募集要項から内容を抜粋してご紹介します。

詳細については、以下の募集要項をご確認ください。

http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/hatarakikata/kaikaku/josei/

【助成対象事業者】

都内で事業を営む企業等が助成対象になります。ただし、都内に勤務する常時雇用の労働者が2人以上、かつ、6か月以上継続して雇用していること、申請時に就業規則を労働基準監督署に届け出ていることなどの要件があります。詳しい要件については、募集要項をご確認ください。

【助成金金額と助成金支給対象事業】

助成金の金額は、最大70万円です。

対象事業は以下の2種類があります。

A:働き方改革宣言事業 助成金は30万円

正社員の働き方や休み方について、次のすべての取り組みを実施する「働き方改革宣言事業」は必ず対応する必要があります。

  1. 長時間労働など労働条件の問題点の抽出
  2. 原因分析と対策の検討
  3. 目標と取り組み内容の設定
  4. 社内周知

B:制度整備事業 助成金は10万円

さらに、制度整備実施すると、助成額が加算されます。助成金の加算についての詳細は募集要項をご確認ください。

【申請方法】

まずは事前エントリーし、受付を行います。エントリーが予定数を上回った場合は抽選になります。申請が可能になったら、東京都が主催する説明会に参加します。

働き方改革助成金

参考: https://www.shigotozaidan.or.jp/koyo-kankyo/boshu/31hatarakikata.html

(公財)東京しごと財団による、TOKYO働き方改革宣言企業に対して働き方改革を推進するための助成金制度です。

平成31年度の募集要項は現状未発表なので平成30年度の募集要項から内容を抜粋してご説明します。詳細は、「働き方改革助成金申請の手引き」をご確認ください。

https://www.shigotozaidan.or.jp/koyo-kankyo/boshu/documents/0-bosyuyoukou30.pdf

【助成対象事業者】

助成金支給のためには、いくつかの要件を満たしていることが必要です。例えば、以下のような項目になります(他の要件は募集要項をご確認ください)。

・「TOKYO働き方改革宣言企業」として承認を得ている。

・申請から実績報告に至る期間中に、「都内で事業を営んでいる企業等であること」などの条件を満たす。

・新たに助成事業を実施し、助成要件を満たす利用実績が得られていること。

【助成金金額と助成金支給対象事業】

テレワーク制度を導入した場合の助成金支給額は、以下に示す条件を満たす助成事業1制度あたり10万円で、上限額は40万円です。

制度の要件・モバイルワークかサテライトオフィス勤務のいずれかに該当し、在宅勤務は除く。

・労働時間の管理体制が整っている。

・情報通信機器の管理、情報の取り扱い、通信料の負担などについて必要な事項の定めがある。

実施期間3~12か月
助成要件月4回以上、連続2か月以上実施しており、利用者がいること。

【申請方法】

(公財)東京しごと財団 雇用環境整備課 事業推進係に申請書類を郵送するか、事前に予約して書類を持参します。

テレワーク活用・働く女性応援助成金(テレワーク活用推進)

参考:http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/josei/katsuyaku/seibi/index.html

東京都と(公財)東京しごと財団が、男女ともに勤務時間や勤務場所に制限されず柔軟に働くための職場整備にかかわる費用を助成します。助成金制度の名前が「テレワーク活用・働く女性応援助成金」となっていますが、女性だけでなく男性の職場環境整備にも適用されます。

詳細については、以下のサイトの「テレワーク活用推進」の項目をご確認ください。

https://www.shigotozaidan.or.jp/koyo-kankyo/joseikin/joseikatsuyaku.html

【助成対象事業者】

以下の条件を満たす中小企業などが助成対象になります(他の要件もあります)。

・都内に勤務し常時雇用する労働者が2名以上999名以下。

・都内に本社、または、事業所を置く社団、財団、個人事業主等を含む中小企業などであること。

【助成金金額と助成金支給対象事業】

以下に示す2種類の助成金があり、どちらも助成金限度額は250万円、助成率は1/2です。

・在宅勤務やモバイル勤務のための通信機器などの環境整備

モバイル端末などの整備費用、ネットワーク整備費用、システム構築費用、関連ソフトの利用料、機器導入のコンサルティング費用が対象です。また、これらの環境を専門業者に一括して委託する経費も対象になります。

・サテライトオフィスでのテレワーク導入

民間のサテライトオフィスを利用する際の費用を助成します。

【申請方法】

公益財団法人 東京しごと財団 雇用環境整備課が申請書類の受付窓口になっていますので、お問い合わせください。

助成金は早めの申請を

助成金の内容は毎年変わることが多く、申請できる枠が決まっている場合もあります。そのため、申請期間や申請内容を事前に調べて、早めに申請準備をしましょう。そうすることで余裕をもって準備することができます。

まとめ

テレワーク制度を導入するためには、モバイル端末やネットワーク機器などの導入や、セキュリティ対策、従業員への周知などが必要です。そのため、初期投資のコストはかなり大きくなることが予想されます。今回ご紹介した5つのテレワークにかかわる助成金制度に申請することで、助成金を受けることができるかもしれません。テレワーク制度の導入を考えている事業者は、ぜひ検討してみてください。

 

本記事の正確性、適法性については最善を尽くしますが、これらについて何ら保証するものではありません。本記事の情報は執筆時点(2019年4月)における情報であり、掲載情報が実際と一致しなくなる場合があります。必ず最新情報をご確認ください。

 

筆者プロフィール

WORK-PJ編集部
WORK-PJ編集部ビーブレイクシステムズ
新しい「働き方」やそれを支えるITツールにアンテナを張っています。面白い働き方を実践している人はぜひ教えてください!

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