基本情報技術者試験について<後編>基本情報技術者試験はスキルアップにつながる資格か
「基本情報技術者試験について<前編>試験概要」では、基本情報技術者試験の概要について紹介しました。特にIT業界で働く人にとっては、誰もが知る資格であり1度は受験を検討したことがある資格試験だと思います。
後編では、基本情報技術者試験の受験を検討するエンジニアや、IT業界で働くことを検討する方に向けて、改めてスキルアップにつながる資格なのかどうかということを紹介します。
目次
スキルアップにつながる資格か
情報処理技術者としてキャリアを考える場合には、スキルアップにつながる資格だと考えられます。
その理由としては、情報処理技術者の人材育成に基づいた試験であるためです。
基本情報技術者試験は情報処理技術者試験の1つに含まれる試験ですが、試験制度の発足から、その時代や状況に応じて制度や内容を変えて現在に至ります。
大きな流れとして、IT人材の育成・評価の仕組みを作ることを目的に「共通キャリア・スキルフレームワーク」が提言され、平成21年度には試験制度が新試験制度として改訂されました。
「共通キャリア・スキルフレームワーク」とは、高度な専門知識を持ったIT人材の人物像とその保有するべき能力・役割から、その人材育成と評価基準を定めた枠組みです。
具体的には、情報技術を活用する上での最低限必要な知識から高度IT人材として必要な評価基準をレベル1から7までのランクごとに設定し、レベル1から4までを判定する方法として情報処理技術者試験が利用されています。
※レベル4では、業務経験も評価基準に含まれます
これにより、ランクごとに各種人材が持つスキルを定義し、試験によって客観的な人材評価の基準を定めています。
また、共通キャリア・スキルフレームワークで示す高度IT人材とは、システム開発に携わる人材のみならず、企業の課題解決に向けて情報技術を用いて戦略を立案する人材も含まれます。
そのため、高度IT人材の中でも、「戦略を立てる人材、システムの設計や開発、および運用を行う人材」としてのキャリアがあり、さらに細かい分類として、プロジェクトマネージャーといった人物像が定められています。
では、基本情報技術者試験はどのような観点からスキルアップにつながるのでしょうか。
基本的知識・技能と高度IT人材としての土台
試験を通して高度IT人材としての基本的知識・技能を磨くことができます。
「共通キャリア・スキルフレーム」と試験の対応関係を図解しますが、基本情報技術者試験は「共通キャリア・スキルフレームワーク」と照らし合わせると、レベル2相当に該当する試験になります。
IPAのサイトでも、ITエンジニアとしてキャリアをスタートする際の推奨資格として紹介しています。
また、同サイトでは応募者の平均年齢が24~26歳と紹介されており、社会人の早い段階から高度IT人材を目指す上で必要な基本的知識・技能を得る目的で受験しているのかもしれません。将来的に判定レベル4以上の高度人材を目指す際の、基本的知識・技能を習得することができ、その土台となる試験であるため、スキルを磨くことにもつながります。
では、エンジニアとして高度IT人材を目指すのではなく、IT業界で働くことを考える方や情報技術について学ぶことを目的とする方には、基本情報技術者試験を受験することが良いのでしょうか。
第1回では、試験の合格率や勉強時間を紹介しましたが、決して簡単な資格ではありません。試験を通して身に付けたい内容と異なる場合には、別の試験を検討してみてはいかがでしょう。
基本情報処理技術者試験を受験する前にお勧めできる資格
高度IT人材を目指すのではなく、情報技術について学ぶことを目的とする場合にお勧めできる資格として、ITパスポート試験があります。
ITパスポート試験は「共通キャリア・スキルフレーム」のレベル定義では、1に該当する試験になります。こちらは、平成21年に新試験制度へ改定された際に、新しく作られた試験です。
対象者としては、業界を問わず業務で情報技術を活用する方に向けた資格試験であり、平成30年の応募者データでは、非IT企業に所属する方の応募がIT業界に所属する方の応募を超えています。
また、新卒採用活動に活用する企業も増えており、社会人だけでなく学生の方にも推奨できる試験と考えられます。
ITパスポート試験は、情報技術について最低限備えておくべき知識を習得したい方には有効な資格試験です。
最後に
後編では基本情報技術者試験はスキルアップにつながる資格試験かどうかをご紹介しました。
近年ではIT関連の資格取得を検討される方も増えていると思います。
どの資格でも取得することでスキルアップにつながると思いますが、限られた時間の中で、自身が必要とするスキルか、試験の内容と照らし合わせて取得することがスキルアップという観点では重要だと思います。
本記事の内容がエンジニアとして働く方やこれからIT業界で働くことを検討される方にとって参考になれば幸いです。
筆者プロフィール
- 自社開発ERPパッケージシステム「MA-EYES」の営業担当を経て、現在はフリーランス向け案件紹介サービス「Humalance」の営業を担当
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