「改正派遣法」の2018年問題、どのようなシステム対応が有効か?

本記事はEnterpriseZine「知らなかったでは済まない企業システムに影響がある法改正」転載記事です。(2017/10/02 06:00掲載)

2015年に改正された労働者派遣法。一部の条項には3年の経過措置が設けられていました。その期限が来年の2018年9月にやってきます。そこで連載2回目の今回は、改正労働者派遣法の経過措置到達に備える企業システムについて解説していきます。まずは、経過措置が設けられていた項目に関する改正内容をおさらい。そして、経過措置到達後、実業務に及ぶ影響を考慮した上で、どのようなシステム対応が必要となるかについて触れていきます。

派遣法は2015年に改正されている

労働者派遣法は、労働環境の改善を目的として2015年9月30日に改正されました。
主な改正点は「派遣期間制限の見直し」「均衡待遇の推進」「キャリアアップ措置」「特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区別廃止」です。それぞれ、簡単に概要を確認していきます。

 

「派遣期間制限の見直し」によって有期契約の派遣労働者は、同一の派遣先において同一組織単位(課やグループ)で働く場合、働ける期間が原則3年までという制限が設けられる事になりました。同一事業所への派遣期間制限(3年)とは別に設けられた「派遣労働者個人単位」の期間制限です。派遣会社に無期契約で雇用されている社員にはこの制限は適用されません。そのため、安定して仕事を得たいと考える派遣労働者からの人気は、無期契約を締結してくれる派遣会社に集中すると考えられます。

 

この3年の期限が初めて訪れるのが2018年9月末日となります。「均衡待遇の推進」とは、派遣元事業主と派遣先の双方において、派遣労働者の均衡待遇のための取り組みを強化していくための改正。派遣元事業主と派遣先の双方において、派遣労働者の均衡待遇のための取り組みが強化されました。

 

また、派遣元事業者が派遣労働者のキャリア形成を支援する事を目的とした教育をする事を義務付けるなどした「キャリアアップ措置」。

 

そして、今回、着目したいのは2018年に経過措置が到達する「特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区別廃止」について。この改正により、「特定」と「一般」の2種類あった労働者派遣事業の区別がなくなり、すべての労働者派遣事業が許可制となりました。

2018年に経過措置が到達、いち早く管理体制を見直しを

2015年9月29日以前に特定労働者派遣事業の届出を行っている事業主については、経過措置として2018年9月29日まで、3年間は改正前の特定労働者派遣事業を営むことが可能と定められていました。

 

それは、特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区別が廃止され、全て許可制へとなる事が企業の経営をも左右する重大項目だったからだと考えられます。

 

法改正前、旧特定労働者派遣事業といえば、届け出が受理さえされれば即日はじめられる事業でした。創業初期の会社や小規模な事業者でも容易に取り組む事ができたため、自社のキャッシュフロー上の都合や、顧客要望に応じて主力事業とは別に派遣事業も行うという企業が一定数存在していました。

 

このような企業を中心に派遣事業を行う企業では必ずしも派遣事業を営む全ての企業が原価管理や売上の見通し管理に取り組んでいたわけではなかったようです。

 

単純に派遣社員に支払う給与以上の金額で受注さえしていれば、個別の受注が赤字になる事はないためです。そのため、直近での受注だけを追いかけていれば問題ないと考えられていたというわけです。

 

しかし、法改正により労働者派遣事業を継続していくためには(ならびにこれから労働者派遣事業を開始するためには)、下表の通り一定の事業水準を満たす必要があると定められました。

 


※上表以外にも複数の許可基準があるが今回は割愛する。
詳細は、厚生労働省HPに掲載されている「平成27年労働者派遣法改正法の概要(pdf)」に記載がある。

 

そのため、中小規模の労働派遣事業者はこれまで以上に経営の効率化を図り財務体質を強化、売上アップや経費削減等の施策により資産を増やしていく必要に迫られる事となりました。そして、それと同時に自社の経営状況を常に把握する必要性も高まっています。

 

売上アップ、経費削減を推進する目的に加えて、派遣事業の継続可否を随時、判断できるようにするという目的のためです。派遣事業の継続に基準が設けられている以上、企業としては、派遣事業を継続するだけでなく派遣事業を辞めるという選択肢も出てきます。

 

仮に自社の経営状況をタイムリーに把握できていないと、適切な事業継続可否の判断ができなくなってしまいます。派遣事業の更新直前になって、事業継続基準が満たせそうにない、という事が分かっても後の祭りです。自社の経営状況がブラックボックス化している場合、いち早く管理体制を見直す事が必要です。

今からでも間に合う、システム対応

さて、ここまで派遣法改正および経過措置期限到達に伴い、経営基盤の強化や経営状況の把握が必要になっていると述べてきました。その一助となりうるのが、基幹システムです。

 

派遣事業は前述の通り、給与以上の金額で受注さえしていれば、赤字とならないシンプルな事業です。そのため、中小規模の派遣事業者の中には、基幹システムの導入はせず、表計算ソフト等を用いて独自の方法で派遣労働者の管理や売上管理を行っている企業が多数存在します。その結果、情報の二重入力が発生していて業務効率が高くない、経営状況をタイムリーに把握できない、蓄積された情報を分析して見通しを立てる事ができない等の状況になっています。

 

このような場合、派遣業務に関する情報を一元管理基幹できるシステムを導入する事によって、業務の効率化、経営状況の把握を実現する事が可能です。基幹システムの導入は広告などのように即座に直近の利益が上がる投資ではありません。しかし、労働者派遣事業で定められた事業基準を継続的に超えていくために中長期的な考えのもと経営基盤を強化するためには、導入して損はないのではないでしょうか。

 

基幹システムの中には、「派遣期間制限の見直し」「均衡待遇の確保」「キャリアアップ措置の推進」などで新たに定められた、派遣期間の期日やキャリアアップのための施策内容など事務的な項目を管理する事ができたり、法改正に伴う帳票変更に随時対応できたりするシステムもあるので、日常業務の効率化にもつながるでしょう。

 

基幹システムというと、高価で導入準備期間が長いため大手企業ではないと導入できないものである、というイメージがあるかもしれません。ですが、昨今では基幹システムの分野でもクラウド化が進んでおり、中小規模の事業者でも導入しやすい安価かつ導入準備期間が短く、発注後すぐに利用できるような製品も出てきているので情報収集をしてみると良いかもしれません。

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