サイバーセキュリティ分野の国家資格「情報処理安全確保支援士」について(第二回)

「サイバーセキュリティ分野の国家資格 『情報処理安全確保支援士』について(第一回)」では、情報処理安全確保支援士の制度が設けられた背景や、求められる業務や役割等のご紹介をしました。

第二回では、情報処理安全確保支援士の資格の取得方法や試験に関係する内容についてご紹介します。

 

資格の取得方法

情報処理安全確保支援士の資格は、指定の試験に合格するだけでは取得できず、基本的には、試験に合格した後、登録簿への登録を完了させることで初めて資格保有者として名乗ることができます。

同資格には、試験免除制度が設けられており、「試験合格者と同等以上の能力を有する者」と認められた下記の対象者については、試験を受験せずに登録手続きに移ることができます。

・経済産業大臣が認定した方

(警察、自衛隊、内閣官房、情報処理安全確保支援士試験委員のうち、所定の要件を満たす方)

・経済産業大臣が登録セキスペ試験の全部を免除した方

(IPAの産業サイバーセキュリティセンターが行う中核人材育成プログラムを修了し、1年以内に登録を受けること)

■引用元:

IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)になるには:登録資格を取得するには

https://www.ipa.go.jp/siensi/toberiss/index.html

 

過去には、「情報セキュリティスペシャリスト試験」および「テクニカルエンジニア(情報セキュリティ)試験」合格者についても、経過対象者として一時、受験を免除されていましたが、平成30年8月19日に申請を締め切られています。

 

資格取得後は、資格を維持するために定期講習の受講を義務付けられます。

この講習は、資格保有者が常に最新の情報セキュリティに関する知識や技術を習得することを目的として設けられたもので、更新の際は受講が必須になります。

ただし、別途、更新試験に合格するなどといった必要はありません。

 

受験時期や費用

試験の実施、また登録事務については、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が行います。

(取消事務および命令事務については、経済産業大臣が行います。)

受験可能な時期は年2回あり、例年、4月と10月の第3日曜日に実施されています。

 

情報処理安全確保支援士試験では、受験料の他にも合格後の登録料や講習料がかかります。

試験の受験には、受験手数料5,700円、資格保有者登録時には、登録手数料10,700円、登録免許税9,000円の納付が必要です。

登録後は、オンライン講習(毎年1回6時間)20,000円、集合講習(3年に1回6時間)で80,000円の受講料の納付が必要となります。

出題範囲や出題形式

試験科目は4科目あり、1日に、午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱの科目を受験します。

午前Ⅰについては、同時に開催される「高度情報処理技術者試験」の午前Ⅰと同様の内容が出題されますが、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱに関しては、情報セキュリティシステムの開発、情報処理システムを用いる業務において必要な、セキュリティ管理に関わる専門的な知識が問われます。

 

出題形式は午前が多肢選択式、午後が記述式と形式が異なります。

午前Ⅰは30問の多肢選択式(四肢択一)問題を50分間で回答し、午前Ⅱは25問の多肢選択式(四肢択一)問題を40分間で回答する形式となります。

午後Ⅰは記述式の問題3問中2問を選択して90分間で回答し、午後Ⅱは記述式の問題2問中1問を選択して120分間で回答します。

 

合格基準や難易度

採点は午前Ⅰ科目から順に行われ、不合格の科目が出た時点で試験は中断されます。

つまり、全科目60点以上(100点満点中)という合格基準を満たさなければならず、得意科目で点数を稼ぐといった方法ではなく、全科目満遍なく学習し、幅広い知識の習得と対策が必要です。

 

難易度としては、同試験のベースとなった「情報セキュリティスペシャリスト試験」(2016年10月21日に廃止)とほぼ同等の難易度と言われています。

 

情報処理安全確保支援士試験は、試験制度としてのスキルレベルが1~4のうち4相当であり、情報セキュリティ分野の資格では最高峰に位置すると言われています。

更に同試験の受験者及び合格者は、将来的にはセキュリティ企業等でユーザ企業、又は国や公共団体のセキュリティ案件に携わる、セキュリティ対策のプロとなることが予想されます。

そのため、同資格の受験者層はハイレベルな人材であることが推測されますが、受験者比での合格率(※()は応募者比合格率)は、平成30年秋期で17.1%(11.8%)、平成30年春期で16.9%(11.2%)、平成30年秋期で18.5%(12.6%)と、いずれも20%を下回っており、難関資格と言えるでしょう。

 

情報セキュリティスペシャリスト試験との違い

前述したように、情報処理安全確保支援士試験は、情報セキュリティスペシャリスト試験をベースにして制度が整えられました。

異なるポイントは以下となります。

 

・定期的な講習受講による資格の更新が必要になる

・資格保有者の登録簿の内容は、幅広い人材活用を目的とし公開されるようになる

(公開する情報の範囲は、ある程度資格保有者が決めることができます)

・業務上で得た情報について秘密保持義務がある

・合格・登録すれば国家資格を有することとなる

 

情報セキュリティスペシャリスト試験と情報処理安全確保支援士試験は、「情報処理の促進に関する法律」内で同じ項目に記されているわけではなく、法律上は全く別ものの試験です。

ただし、実態として、受験科目や受験日程、出題範囲、難易度など、大きく変わりがないため、「情報処理安全確保支援士試験は情報セキュリティスペシャリスト試験の進化系」というイメージが強く、比較されることが多いのが現状です。

 

まとめ

情報処理安全確保支援士試験は、情報セキュリティに関する高度な知識・技能を認定する試験であり、継続的にスキルの研磨も必要不可欠となる高度な資格試験です。

しかし、第一回の記事にも記載した通り、情報セキュリティに関するスペシャリストの需要は今後も高まることが予想され、人によっては国や大きなプロジェクトのセキュリティ分野に関われる専門性の高い資格であり、時間や労力をかけて取得する価値のある資格と言えます。

 

試験の合格時点ではなく、登録簿への登録を受けた時点から情報処理安全確保支援士を名乗り、名刺にロゴマークを使用することも可能となります。

情報処理安全確保支援士を目指す方は、まずは試験に合格できるよう学習し、合格後、支援士としての登録権利の取得ができるよう準備を進めましょう。

 

参考資料

■IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:情報処理安全確保支援士試験

https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/sc.html

 

■新国家資格「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」制度のご紹介

https://www.ipa.go.jp/files/000060738.pdf