働き方改革「テレワーク制度」のデメリットは?効果的な解決法を解説

日本では働き方改革が進みつつありますが、その一つの手段としてテレワーク制度を取り入れる企業が増えてきています。テレワークとは、会社に出勤することなく、自宅やサテライトオフィスで社員たちが仕事をすることです。通勤の負担を軽減することで働く環境の改善や生産性の向上が期待されています。

しかし、テレワーク制度を導入することで得られるのはメリットばかりではありません。テレワーク制度によるデメリットを把握することで、デメリットの効果的な解決方法を見つける必要があります。ここでは、テレワーク制度によるデメリットと解決方法について解説したいと思います。

テレワークで起こりうるデメリット【テレワーカー側】

テレワーク制度を利用すると、社員の通勤による負担が減り、企業としても通勤費の負担が減るなど多くのメリットがあります。

しかし、一方でデメリットも存在します。ここでは、テレワーカー側に起こりうるデメリットについて見てみましょう。

自己管理次第ではプライベートが圧迫される場合も

テレワーカーたちは自宅やサテライトオフィスで働きます。そのため、通勤時間が大幅に減り、その分をプライベートや仕事に充てることができるというメリットがあります。しかし、実際にはメリットだけでなくデメリットも存在します。

自宅で働いていると、仕事モードとプライベートモードを切り替えるタイミングが失われてしまいます。そのため、仕事モードへの切り替えが難しく、仕事中に子供の世話や家事をはさむことで仕事に集中できなくなったりするといった弊害が起こります。また、時間を問わずいつでも仕事ができてしまうため、仕事を一人で抱え込み過ぎて長時間労働になってしまったり、昼夜逆転してしまったりすることもあります。

同様に、サテライトオフィスで働く人も周りに一緒に働く人がいないことが多いため、オンオフの切り替えが難しい傾向にあります。

このように、上手く自己管理ができない場合、仕事に集中できないばかりかプライベートの時間が削られてしまうといった問題が起こります。

パソコンなどの機器を使った仕事しかできない

テレワークで働く際には、基本的にはパソコンを使った仕事しかできません。社内にいれば、取引先と会議をしたり専用の機器を使って作業したりすることも可能ですが、自宅やサテライトオフィスではそれができません。

基本的に、パソコンでの作業しか行わないのであれば良いですが、作業系や営業系などの場合、できる仕事が限られてしまうというデメリットがあります。

仕事内容に見合った評価が得られにくい

自宅やサテライトオフィスで働くテレワーカーたちの評価は、仕事の成果物や結果でしか判断できません。もちろん、成果物や結果で正しく評価できる仕事なら問題ありませんが、実際はそうとは限りません。なぜなら、評価する側からすると、離れた場所で働いている社員よりも、いつも一緒に働いている社員の方が仕事ぶりを評価しやすいからです。

そのため、メインオフィスから離れて仕事をしていると、上司にアピールする機会が減り、仕事内容に見合った評価がされにくいという不公平が起こる可能性があります。

テレワークで起こりうるデメリット【メインオフィス側】

テレワークを行うメインオフィス側にもデメリットがあります。

適切な労務管理がむずかしい

メインオフィス側の管理者たちの頭を悩ませるのが、テレワーカーたちの労務管理です。テレワーカーたちはメインオフィスから遠く離れた場所で仕事をしていますが、管理者は彼らの仕事時間や有給休暇などの勤怠管理をしなければなりません。また、残業をし過ぎていないか、仕事量の分担が適切かなどを管理する必要もあります。

離れて働くテレワーカーたちの勤怠管理や労務管理を適切に行うには、大きな困難が伴います。

セキュリティリスクの問題

自宅やサテライトオフィスで仕事をするためには、それぞれの仕事場に必要な資料を持ち出すことになり、社外秘の重要な資料や顧客情報などの流出するリスクが高まります。テレワークを行う際には、セキュリティリスクに対する対策が必要不可欠です。

コミュニケーションが希薄になりやすい

メインオフィスで常に顔を合わせて働く社員たちとは異なり、テレワーカーたちとはめったに顔を合わせる機会がありません。そのため、彼らとのコミュニケーションが希薄になり、仕事がしづらい状況になることもあります。

テレワークのデメリットをカバーするには

これらのテレワークによるデメリットをカバーする方法には、どのようなものがあるのでしょうか?

テレワーカーへの研修を充実させる

普通にオフィスで働くのとテレワークで働くのとでは、働き方や気をつけなければならないことが大きく異なります。そのため、以下のような点についてテレワークに関する研修を充実させ、テレワーカーたちの意識を高める必要があります。

  • 仕事とプライベートのオンオフをはっきりさせることの重要性
  • 仕事時間や休暇などの記録の重要性
  • セキュリティ対策の知識

テレワークで働く際に必要な知識を身に付けてもらい、意識を高めてもらうことでテレワーク制度を上手に運用していきましょう。

テレワークの評価・昇進制度を確立する

テレワークによって評価が得られないという問題を解消するためには、テレワーカーたちの実態に合った評価制度や昇進制度を確立する必要があります。

従来通りの評価方法では、上司と一緒に行動している部下の方が良い評価を得られやすくなります。そのため、あえて仕事ぶりなどを考慮せず、完全に仕事の成果物や売り上げなどの結果のみで評価するなどの仕組みを導入すると、テレワークか否かは評価に影響しなくなるでしょう。

それぞれの職場の実態に合った評価制度や昇進制度を新たに確立することが、テレワーカーたちの不公平をなくすことにつながります。

オンラインツールを活用する

テレワーカーたちの勤怠管理やスケジュール管理を正しく行い、密なコミュニケーションを取るために必要なのがオンラインツールです。テレワーカーの勤怠管理やスケジュール管理、タスク管理などを一本化して便利に行えるツールは、すでにいくつか存在します。また、スカイプや電話会議などを活用することで、テレワーカーたちとコミュニケーションを取ることもできます。これらのオンラインツールをうまく使いながら、テレワークを進めましょう。

社内と同レベルの勤怠管理・業務管理を行う

テレワーカーたちの勤怠管理や業務管理は、緩くなってしまうことがあります。離れたところで仕事をしているので、だいたい一日7.5時間仕事をしているだろう、与えられた仕事をこなしているだろうとなど、どうしても管理が甘くなってしまいます。しかし、メインオフィスで働く社員たちはきっちりと上司に管理されているので、これでは不公平です。

そのため、パソコンでログインした記録から作業時間を管理し、常にオンラインツールで仕事の完了報告をするなどの厳密な管理を行う必要があります。

シェアオフィス・サテライトオフィスを提供する

自宅で働く形を取ると、仕事とプライベートの境界を見失ってしまうこともあります。また、スカイプや電話会議、会議スペースなどの仕事環境を整えにくい場合もあるでしょう。そのため、できるだけ自宅で働くテレワーカーを少なくし、シェアオフィスやサテライトオフィスを提供することでこれらのデメリットを少なくするという方法もあります。

都市部にあるメインオフィスに通いづらいのであれば、テレワーカーたちが通いやすいターミナル駅周辺にシェアオフィスを借り、サテライトオフィスとして利用することも可能です。できるだけテレワーカーたちに集まって働いてもらうことで、コミュニケーション不足の問題もある程度解消することができるでしょう。

まとめ

テレワークを推進する際にどうしても生じてしまうデメリットには次のようなものがありました。

【テレワーカー側のデメリット】

  • 自己管理次第ではプライベートが圧迫される場合もある
  • パソコンなどの機器を使った仕事しかできない
  • 仕事内容に見合った評価が得られにくい

【メインオフィス側のデメリット】

  • 適切な労務管理がむずかしい
  • セキュリティリスクの問題
  • コミュニケーションが希薄になりやすい

このような問題を解消するためには、次のような解決方法が効果的です。

  • テレワーカーへの研修を充実させる
  • テレワークの評価・昇進制度を確立する
  • オンラインツールを活用する
  • 社内と同レベルの勤怠管理・業務管理を行う
  • シェアオフィス・サテライトオフィスを提供する

テレワークのデメリットを上手に解消しつつ、メリットを得られるように運用していく方法を探していきましょう。

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