テレワークにも徹底した勤怠管理を。ITで実現するリモートオフィスの働き方改革
テレワークとは会社やオフィスなどに出社せず在宅勤務やモバイルワーク、サテライトオフィスなどの多様な働き方を選べることです。そのため、従業員が1ヶ所に集まる必要がなくなります。テレワークの導入によって、従業員たちの通勤時間が減る、業務の効率化が進むなどのメリットが期待されています。
しかし、従業員が会社に集まらないため、勤怠管理がしづらいという指摘もあります。今回は、テレワーク導入時の勤怠管理をITシステムによって実現する方法について考えてみたいと思います。
目次
働き方改革で推進されている「テレワーク」
働き方改革の実現を目指していく方法の中で、特に推進されているのがテレワーク制度の導入です。都市部にある勤務地に従業員たちが通勤するには、通勤ラッシュの電車で長時間過ごす、渋滞の中を運転しなければなりません。
しかし、在宅勤務や郊外にあるサテライトオフィスで働くといったテレワーク制度の導入によって、通勤時間や通勤コストの削減ができます。さらに地方在住者が遠隔地で働ける、子育て世代が在宅勤務によって子育てと仕事の両立がしやすくなるといったメリットが見込まれています。
テレワーク制度の導入は、働き方改革の大きな妨げになっている自宅と職場の距離から派生する問題の解決が期待されているのです。
業務における勤怠管理のポイント
テレワークを推進する上で重要なのが、勤怠管理をどのように行うのかということです。ここでは、勤怠管理のポイントについてお話しします。
虚偽のない正確な出退勤の打刻
在宅勤務や遠隔地勤務の課題の一つとして、何時から何時まで働いたのかという虚偽のない正確な出退勤の打刻管理が難しいという点が挙げられます。
職場の出入り口に置いてあるタイムカードで打刻するといった、従来のアナログな手法は使えません。社内ネットワークでしか使えない社内勤怠システムでの管理もできません。また、周りに管理者や同僚がいない環境での自己申告になるので、いくらでも虚偽の報告ができてしまうという問題があります。そのため、遠隔地で働く社員の勤怠記録を正確に記録する方法が求められます。
時間外労働・休日出勤の把握
毎日の通常勤務の勤怠記録だけでなく、時間外労働や休日出勤も正しく把握しなければなりません。そばに管理者がいないことで時間外労働や休日出勤の管理ができない状況では、従業員の働きに見合った評価や報酬を行うことや得ることができないでしょう。出退勤の管理だけでなく、時間外労働や休日出勤などの実態を正確に把握できるシステムを導入する必要があります。
労働環境の改善
テレワークを導入することで長く苦痛な通勤から解放され、労働環境は改善されるかもしれません。しかし、実際には自宅やサテライトオフィスに勤務することで、かえって労働環境が悪化することも考えられます。
例えば、自宅で働いていると、「早く帰れ」といった長時間勤務を監視する上司やスタッフがいません。また、オンとオフの区切りがつかないまま仕事がはかどらないというケースもあるでしょう。
逆の場合として、常に仕事モードに置かれた状態になり、いくらでも仕事をしてしまい、結果的に長時間・高負荷の労働になってしまうことも考えられます。テレワーク制度を導入したにもかかわらず、かえって長時間労働が増えたということがないようにしなければいけません。
テレワークでも勤怠管理を徹底する
テレワークの制度の導入にあたっては、虚偽のない正確な勤怠管理が行える環境を整えなければなりません。従来通りの、タイムカードによる打刻や社内システムによる勤怠報告では、テレワーク制度を推進することは難しいでしょう。
テレワークの推進には、すべての従業員に正確な勤怠報告を行う教育が必要であるというソフト面と、遠隔地からでも全従業員が報告できるというハード面など、両面からの対策が必要です。
テレワークにクラウド型勤怠管理システムを導入するメリット
テレワークの推進に求められるのは、ITを利用した勤怠管理システムです。ITシステムを導入するメリットについて考えてみましょう。
どこにいてもスマホ・PCから打刻できる
インターネット回線につながっているスマートフォンやモバイル端末、PCなどを使って、どこにいても勤怠管理システムに勤怠状況を入力できるシステムがあれば、テレワーク制度に対応できます。
例えば、在宅勤務やモバイルワークをしている従業員は、仕事を始めた時間と終えた時間をモバイル端末から入力することで勤怠状況を会社に報告できます。外回りをしている営業パーソンが、勤怠報告をするために、会社に帰ることや電話をする必要もありません。
休暇取得など各種申請もシステム上で手軽にできる
勤怠システムがあれば、社外から休暇などの各種申請も容易に行えるようになります。紙の申請書に必要事項を記入して上長に承認印をもらうといったアナログなシステムでは、申請が非常に面倒です。
このように煩雑な手続きでは、テレワークで働きやすい環境とはいえないでしょう。
勤怠データをリアルタイムで共有できる
勤怠管理システムの活用によって、全社員の勤怠データをリアルタイムで共有ができます。リアルタイムでのデータ共有は、管理職が必要以上に部下たちが長時間勤務をしていないか、プロジェクトの人員コストがオーバーすることがないかといったチェックがしやすくなります。
テレワークの労務管理は勤怠管理システムだけで終わらない
テレワークで働く従業員たちの労務管理は、勤怠管理システムを導入するだけでは終わりません。さらに対応が必要な課題についてお話しします。
勤怠管理は「自己申告制」
テレワークを推進する企業の主な悩みは、従業員たちによる出退勤の打刻や時間外労働の報告はすべて申告者による「自己申告制」だということです。管理者がいる勤務地から離れた自宅やサテライトオフィスで、部下たちが本当に報告通り働いているかということを確かめる術はほとんどありません。部下たちによる申告を信じるしかないのです。
完全な自己申告制での勤怠報告を正確に機能させるためには、従業員たちへの教育や周知に加え、普段からの信頼関係の構築が重要になります。
複数のITシステムを連携させてアクティビティログを収集する
従業員によって管理者に報告される情報は、勤怠情報だけではありません。作業状況や作業内容、作業ごとの進捗状況や作業量など、さまざまな情報があります。これらのデータを報告するために複数のITシステムがあった場合、それぞれを連携させることで、より詳細で多面的なアクティビティログの収集ができます。
例えば、システム開発において、モジュールごとのコーディング時間や難易度といったデータの収集によって、今後の作業見積もりを行う上での有効なデータになります。勤怠システムの導入にあたっては、複数のITシステムを連携させて、より有効な使い方を模索することをおすすめします。
定期的な労働時間の検証を行う
集めた労働時間のデータを検証することで、どの部署で労働時間が多いか、どの作業に問題が潜んでいるかなどの分析が行えます。その分析結果から、作業効率を改善するための有効な手段が得られるかもしれません。集めたデータを定期的に検証することで、働き方改革に役立てることができるでしょう。
まとめ
テレワークを行う場合に重要なことが、正確な勤怠管理を行うシステムの確立です。最もスマートな方法がITによる勤怠管理システムの導入です。従業員がどこにいてもリアルタイムで勤怠報告が行えますし、管理者は常に部下たちの勤務状況を把握でき、勤怠管理が容易になります。さらに得られた勤怠データを検証することで、問題点を把握し、働き方改革につなげられる可能性が高まります。
一方で、自己申告制であるので、正確に報告してもらうために、従業員たちへの意識づけが必要になります。ITシステムを上手に使って勤怠管理を行うことで、テレワーク制度をスムーズに定着できることでしょう。
筆者プロフィール
- 新しい「働き方」やそれを支えるITツールにアンテナを張っています。面白い働き方を実践している人はぜひ教えてください!
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