まずは社員のモチベーション向上が不可欠な企業の働き方改革
昨今、多くの企業が働き方改革の必要性を感じ始め、さまざまな対策を行っています。ところが、実際に改革が成功している企業はあまり多くはないようです。
一体、どうしたら働き方改革を成功させることができるのでしょうか?
働き方改革を進めるためには、長時間労働の是正や業務効率化だけでなく、社員自身のモチベーションの向上が不可欠です。
そこでこの記事では、社員のモチベーションをアップし、働きやすい職場に変えていくためにはどうすれば良いのかについてお伝えします。
目次
働き方改革には社員のモチベーションアップが必要
働き方改革と社員たちのモチベーションアップには、実は深い関係があります。この二つにはどのような関係があるのか見てみましょう。
長時間労働の見直し・業務効率化だけでは不十分
働き方改革というと、長時間労働を是正し、業務を効率化して生産性を向上すべきなどということばかり取り上げられます。確かに、長時間労働の是正や業務の効率化は必要な要素です。しかし、実際に働く社員たちの気持ちを度外視して改善を進めても、状況が良くなるとは限りません。
社員たちのモチベーションが低い状態でいろいろな改善をしようとしても、社員たちはついてこないでしょう。働き方改革をするためには、単に制度を整えたりトップダウンで指令を出したりするだけでは不十分なのです。
モチベーションが低いと生産性も低下する
社員たちのモチベーションは、仕事の生産性と密接なかかわりを持っています。社員たちのモチベーションが高いと良いアイデアを出したり工夫をしたりするため、生産性は向上します。なぜなら、モチベーションが高い社員たちは互いに協力し合い、良い仕事をしようと自立的に動くからです。
しかし、モチベーションが低いとどうなるでしょうか?
やる気がないので仕事がなかなかはかどらない、仕事が終わっても質の悪い結果しか残せない、無駄に残業ばかりして結果が伴わないのに残業代ばかりがかさむ、などという結果になってしまうでしょう。すなわち、社員のモチベーションが低いと、生産性はすぐに低下してしまうのです。
社員のモチベーションは企業のサービスクオリティにも影響する
社員のモチベーションが低下することで、仕事やサービスのクオリティにも悪影響を与えてしまうことがあります。やる気が乏しい社員によるずさんな顧客対応が行われてしまうと、顧客からのクレームが増え、企業としての信頼を失ってしまうことにもなりかねません。社員のモチベーションが落ちることで、企業のイメージが大きく損なわれてしまう可能性もあるのです。
モチベーションアップで大切なのは、人間の欲求を満たすこと
それでは、社員たちのモチベーションをアップさせるためには、どうすれば良いのでしょうか?
モチベーションを高めるためには、欲求を満たす必要があるといわれています。心理学者のマズローによると、人間の欲求には5段階あるとされています。食欲などの生理的な欲求から始まり、着る服や住む場所にかかわる欲求、所属や友人などを求める社会的な欲求、自分が他人よりも優れていることを求める自尊の欲求、そして、自己を実現したいと考える欲求です。
自社の社員たちがどの階層の欲求を満たしたいと考えているかを探り、適した対策をとることで社員たちの欲求は満たされ、モチベーションアップにつながるはずです。
企業がいまから実践できる、モチベーションアップへの取り組み
社員のモチベーションをアップするための、具体的な方策についてご説明します。
匿名アンケートなど満足度調査を行う
すでにご説明した通り、人間の欲求にはさまざまなものがあります。自社の社員たちがどの欲求を満たしたいと考えているのかを知り、適した対策を講じることで効果が得られるでしょう。社員たちの欲求の種類は一つではありません。周りから評価されたいという欲求を持つ社員もいれば、子育てしながら仕事をするために安心して働きたいと願う社員もいます。
それぞれの欲求を正しく知るためには、匿名アンケートなどを行い現状での満足度や希望を調査するのも一つの方法です。
個々の社員の業務範囲を見える化する
社員たちにとって最もモチベーションを高めやすいのが、周りから仕事を評価されることです。しかし、仕事の内容や範囲が他の社員に見えづらい状況だと、本当は幅広い仕事をこなしているのに誰にも気づかれない、わかりやすい仕事をしている人ばかり評価されるなどということが起こります。そのような状況では、社員のモチベーションを上げることはできないでしょう。
そこで、個々の社員の業務範囲の見える化が必要になってきます。Aさんは○○業務をこれだけ担当している、Bさんは△△業務でこれだけの実績を上げたなどということを、目に見える状態にするのです。
例えば、社内の壁に営業範囲を示す地図を張り出します。そして、それぞれの社員の担当箇所や新規に獲得した顧客のところに、担当者ごとに色分けしたシールを張れば、社員たちの営業努力が一目瞭然です。
このように業務を見える化することで、社員たちが「もっと頑張ろう」と気持ちを新たにする効果が期待できます。
目標と報酬を定めて仕事をする
社員のモチベーションを高める方法として古くからあるのが、社員それぞれに目標と達成した場合の企業から支払われる報酬を定めてその目標に向かって仕事をしてもらうのです。目標が明確になっていればそれに向かって努力しやすいですし、目標を実現できれば達成感を得ることができます。
同時に目標達成時の報酬を定めておけば、より高いモチベーションを維持することができるでしょう。
社員の成果を正当に評価する
社員たちが仕事の目標を達成できたのであれば、正当に評価する必要があります。この時、評価は必ず正当に行わなければなりません。あいまいな基準で評価者によって評価が変わるのでは、モチベーションのアップにつながりません。そのため、できるだけ目標は数値化することが望ましいでしょう。
売上〇%アップ、改善件数〇件など、明確に評価しやすい定量的な目標を設けてください。そして、評価する際にはきちんと言葉で伝え、グループ内の会議や朝礼時などチームの前で評価するなど、わかりやすく評価しましょう。そうすることで、さらに社員たちのモチベーションは高まるはずです。
社員同士が協力・切磋琢磨できる環境をつくる
人は周りと協力し合うことで、良い関係を築くことができます。良い関係の中で仕事ができれば仕事が楽しくなり、モチベーションアップにつながります。そのため、目標を定めることで競争意識を高めるだけではなく、協力し合える環境をつくることも重要です。個人目標だけではなく、チーム全体の目標を定めるのも一つの方法です。
ワークライフバランスを整える
社員たちのプライベートが充実すると仕事への頑張りもきくようになります。そのため、社員たちのワークライフバランスを整えることも、モチベーションアップのための重要な方策です。有給休暇を取得しやすくしたり、業務効率を高めて残業時間を減らしたりなどの対策を講じることで、社員たちのワークライフバランスを整えるようにしましょう。
社員満足度に常に目を向けた働き方改革を
社員の満足度が下がると仕事へのモチベーションが下がり、仕事の質は低下し生産性も落ちます。逆に、満足度が上がればモチベーションも向上し、良い仕事ができるようになります。
企業は、社員の満足度に常に目を向けた働き方改革を遂行していかなければなりません。
まとめ
社員のモチベーションをアップさせることは社内の生産性を高めることになり、会社としての利益につながります。社員の要望に耳を傾けて働き方改革を進めていかなければ、社員のモチベーションを維持することはできません。そのためには、社員にアンケートを行い、業務範囲を見える化して目標を定めて仕事をさせ、社員の成果を正当に評価し、社員同士が強力・切磋琢磨できる環境をつくり、ワークライフバランスを整えるなどの、幅広い対策が必要です。
常に社員の満足度に目を向けた働き方改革を実現していきましょう。
筆者プロフィール
- 新しい「働き方」やそれを支えるITツールにアンテナを張っています。面白い働き方を実践している人はぜひ教えてください!
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