休み方改革×働き方改革の両立で、企業内に休みやすい環境づくりを

与えられた有給休暇を1年ですべて消化する人は少ないのではないでしょうか?

日本では休みなく働くことが称えられ、休むことに後ろめたさを感じる人が多いという国民性が強く根付いており、有給取得率を上げることが難しい状況です。しかし、近年では働き方改革が強く叫ばれるようになり、有休をしっかり取得しようという考え方が生まれ始めました。

そんな中、政府は休み方改革という政策を打ち出しました。休み方改革とは何なのでしょうか?

どのような施策が進められているのか、企業の取り組みはどうなっているかなどについて、詳しくご紹介していきたいと思います。

休み方改革とは?働き方改革との違い

休み方改革と働き方改革、この二つは似ているようで全く異なるものです。ここでは、二つの違いについてご説明します。

長時間労働を減らし生産性を高める目的の「働き方改革」

働き方改革とは、働く行為そのものに対する改善のことを示します。

具体的には、時短勤務やテレワークなどの多様な働き方の導入、長時間労働の是正、生産性の向上などによって、労働者の働く環境を改善することです。

休みやすい環境づくりが目的の「休み方改革」

休み方改革は仕事を休むこと自体に、フォーカスを当てた改善です。

具体的には、有給取得方法の多様化や生産性を向上することで休みを取りやすくし、ワークライフバランスの向上を目的としています。

政府も主体となって進めている休み方改革

政府は「休み方改革官民総合推進会議」を2017年6月に立ち上げました。この動きから始まった政府による具体的な施策とは、いったいどのようなものなのか見ていきましょう。

有給休暇の取得促進

実は日本における年次有給休暇取得率は非常に低く、50%を下回る水準となっています。これは、与えられた有給休暇の半分以上を消化していないということを指しています。

そのため、政府は日本経済団体連合会や企業に有給休暇の取得率向上を呼び掛け、2020年までに有給休暇の取得率を70%まで向上させることを目標としています。また、厚生労働省は毎年10月を「年次有給休暇取得促進期間」であると設定しています。10月は翌年度の有給休暇の計画を労使間での話し合いが始まる時期だからです。政府はこのような施策を実施し、有給休暇取得率の向上を目指しています。

世界では、一緒に働いている同僚や上司に遠慮して早く帰ることができないなどという風潮はほとんどありません。与えられたノルマをこなし、仕事で結果を出しており、社内規定で定められた定時時間内の勤務が終われば、早く帰ってもとがめられることはないのです。

しかし、日本では残業して頑張って働くことが美徳と考えられており、誰よりも早く帰る社員は「怠け者だ」「あいつは要領が良いだけだ」などと悪く取られがちです。そのような風潮を改め、与えられた年次休暇はすべて消化するのが当たり前という社会にしていくことを目的としています。

プレミアムフライデー・プラスワン休暇の促進

経済産業省と日本経済団体連合会が連携して2017年2月から導入したのが、プレミアムフライデーです。月末の金曜日に早めに仕事を終えて家に帰ったり飲みに行ったりして、充実した週末を過ごすことを呼びかけました。

また、厚生労働省はプラスワン休暇を提唱しています。土日や休日に有給休暇を追加して連続休暇を取るため、プラスワン休暇と呼ばれています。これにより、旅行やレジャーを楽しむことができるようになり、ワークライフバランスの向上につながります。

キッズウィークの導入

子供がいる世帯では夏休みなどの長期休暇を利用しなければ、旅行などに行くことが難しくなっています。そのことによって、観光地などが年末年始やゴールデンウィーク、夏休みに混み合い、ゆっくりとレジャーを楽しむことが難しくなります。

キッズウィークとは、長期休暇を地域別に分散化させることで、子供がいる家庭でまとまった休暇を取りやすくするという施策です。2018年から開始され、主に公立の小学校、中学校、高校で導入もしくは利用が検討されています。

中小企業への助成金の導入

政府が福利厚生の改善を行った中小企業に助成金を支払う制度も導入され始めています。例えば、「時間外労働等改善助成金」は、従業員の時間外労働を減らす取り組みを行った中小企業に助成金が支払われる制度です。

このような助成金の導入で、福利厚生制度を改善する中小企業の増加が見込まれています。

いまから実践したい、休み方改革の取り組み例

休み方改革が進めば、従業員たちのワークライフバランスが向上します。その結果、従業員のモチベーションアップや生産性の向上につながり、企業にとってもメリットがあります。

では、具体的にどのような取り組みを行えば良いのでしょうか?企業が実施している休み方改革についてご紹介したいと思います。

定休日を導入する

企業の多くが土日休みですが、飲食業界や販売業界などのサービス業界では土日が稼働日で、介護や医療業界では基本的に年中無休です。しかし、決まった曜日に休みが取れないと、社員の生活のリズムが不安定になりがちです。そのため、毎週きまった曜日を定休日として定める企業も増えてきています。

幹部社員が率先して休日を取得する

いくら上司が部下たちに休めと言っても、上司が休んでいないと休みづらいものです。そこで、企業の幹部社員が率先して休日を取得することで、社員たちが休みやすい環境を整えているという企業もあります。

休日手当を支給する

普通休日手当と言うと休日に出勤することで支給される手当です。しかしそうではなく、休暇を取ることで手当てを支給するのです。連続休暇を取得した社員に手当を支給して、休むことを企業が奨励しています。

ツールを使った休みの管理も

従業員が休暇を取得しづらい理由の一つに、休暇の申請が面倒ということもあります。休暇を取得するたびに上長に申請書を提出して承認印をもらうといった煩雑な手続きがあると、自然と休暇を取得しなくなってしまいます。

そこで、有給休暇の申請や管理ができるツールを導入して、そのデメリットを克服している企業もあります。ツールを導入することで従業員はワンクリックで休暇を申請でき、管理者の勤怠管理も非常にスムーズです。

「働き方改革」と「休み方改革」の両立が必須

いくら従業員に休暇を取ることを奨励しても、仕事が山積みの状態では休暇を取得することができません。経営層が働き方改革や休み方改革を進めるトップダウンの指令を出せば、改革が進むわけではありません。

実際、休暇取得のノルマを達成するために無理に休んだ結果、残業時間が増える、管理職が休むため部下たちが休めないなどという本末転倒な結果になってしまうこともあります。

職場の状況を度外視して単に休み方改革制度だけを進めていくと、上記のようなことが起こってしまいます。

業務の効率化を進めて生産性を上げるといった働き方改革もセットで行わないことには、休み方改革を進めることは不可能なのです。

まとめ

政府は休み方改革に取り組み始めましたが、その具体的な政策には次のようなものがあります。

  • 有給休暇の取得促進
  • プレミアムフライデーやプラスワン休暇の促進
  • キッズウィークの導入
  • 中小企業への助成金の導入

その結果、企業は定休日を導入する、上司が率先して休日を取得する、連続休暇を取得した社員に休日手当を支給する、休暇管理のためのツールを導入するなどの対策を講じています。ただ、休み方改革だけでは労働者のワークライフバランスを改善することはできません。

それぞれの企業が働き方や状況を正しく把握し、働き方改革との両立が必要になります。

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