働き方改革はペーパーレス化から!メリット・注意点を意識した業務効率化を
取引先から紙ベースの書類とハンコが必要と言われてしまい、ペーパーレス化がなかなか進まない、といった職場は少なくありません。
ペーパーレス化によって得られるメリットは、環境に配慮ができることだけだと思われがちですが、そうではありません。うまくいけば業務効率や生産性の向上も期待できます。
今回は、ペーパーレス化によって、どのようなメリットがあるのか、ペーパーレス化の注意点は何か、どうしたらペーパーレス化が働き方改革につながるのかについて、説明していきたいと思います。
目次
働き方改革には欠かせない「ペーパーレス」
ペーパーレス化は働き方改革に欠かせない重要な課題だと言われています。それはなぜなのかを見ていきましょう。
もともとは環境・コスト面への配慮から始まったペーパーレス化
もともと、ペーパーレス化は紙資源を節約し、コスト面に配慮する目的から始まりました。紙資源を無駄遣いすると森林の伐採が進みます。そして、地球上の二酸化炭素が増えて温室状態となり、温暖化が進むことが指摘されています。現実問題として、いま世界では、夏の異常な熱さや爆弾台風による大きな被害が頻発するといった影響が出ているといわれています。
もちろん、紙を購入するコストもかかります。情報を電子化して保存しておくことで、紙の購入コストを削減することができます。
そのため、何でも資料を紙に印刷しているのをやめ、電子化することが求められているのです。
法改正にともないペーパーレスの目的が変化した
日本政府は、2004年11月にe-文書法という法律を制定しました。この法律により、電子的な保存が認められていない公式な文書以外は、電子保存することが認められるようになったのです。また、電子データだけでなく、紙として保存してあった文書を画像ファイルとしてスキャンした文書も正規の文書として認められるようになりました。
ペーパーレス化の目的は、当初は環境への配慮やコストの削減でした。しかし、紙の文書による承認が習慣化しているため、ペーパーレス化はなかなか浸透しませんでした。また、電子化された文書による運用の容易性が、紙ベースの文書による運用を上回ることができなかったこともペーパーレス化の推進が進まない原因になりました。
当初のペーパーレス化の環境配慮やコスト削減という目的が変化したきっかけは、東日本大震災でした。地震のため交通機関は寸断し、原子力発電所の事故により、電力供給は制限されました。この出来事をきっかけに、企業における働き方の見直しが進みました。より柔軟な対処を可能にして労働生産性を向上させる必要性が叫ばれるようになったのです。
ペーパーレス化のメリット
ペーパーレス化のメリットは環境面やコスト面だけではありません。では、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
検索・管理の手間が少なくなる
資料がすべて紙ベースで保管されていると、保管場所が分かりづらく、非常に探しにくく時間もかかります。ファイルの背表紙やファイルのタブに書いてある情報を頼りに探すしかありません。しかし、これらの検索を行うための背表紙や、タブに記載された情報は、誰かが管理しなければなりません。また、情報に追加や変更、削除があった場合には更新する必要もあり、非常に手間がかかります。
しかし、情報が電子化されていればファイル検索をするだけですから、検索の手間はほとんどかかりません。情報の保管時に、後で検索しやすいようにファイル名やフォルダー作成のルールをある程度決めておく必要がありますが、それも大した手間ではありません。
社外でも資料・書類が確認できる
情報が紙ベースで保管されていると、当然のことながら保管された場所でしか見ることはできません。ほかの場所で閲覧したいのであれば、コピーして持っていく必要があります。
しかし、電子化されていれば、ネットワークがつながっている場所なら、どこからでも情報の確認ができます。
ただし、社外秘の情報や個人情報などが外部に漏れないように、セキュリティ対策は万全にしておかなければなりません。
書類の収納スペースが不要になる
紙ベースで書類を保管する場合は、書庫を用意し、そこに一つひとつ重いファイルを並べることになります。巨大なキャビネットにファイルを入れておくかもしれません。ですから、書類の収納スペースは必要になりますし、本社用、支社用などほかの場所にも同じだけの収納スペースを設ける必要があります。
しかし、電子ファイルなら場所を取りません。社内のデータベースサーバーに保管、ディスクに保管して格納する方策をとれば、巨大なファイルをいくつも保管しておくことに比べると、格段に省スペース化が図れます。
セキュリティが強化される
紙ベースでの保管に比べ、電子データの資料はセキュリティ対策がしやすいというメリットもあります。
紙ベースの資料に対するセキュリティを守るためには、書庫や部屋をロックするといった物理的な対応しかできません。IDカードで入退出を管理するなどの対処ができますが、大掛かりな設備投資が必要になりますし、IDカードを持っている人物による情報流出を防ぐのは困難です。
しかし、電子データであれば、データ端末がある部屋をロックする、アクセス権限を付与してデータ自体をロックする、アクセスログを残しアクセスした人物を特定できるようにするなど、何重ものセキュリティをかけることが可能です。
もちろん、そこまでしても情報の流出が発生する可能性はありますが、紙ベースでの管理体制よりはセキュリティの強化が可能です。
ペーパーレス化の注意点
ペーパーレス化を推進するときの注意点とは何なのかを考えてみましょう。
「ペーパーレス=すべての書類を電子化する」ではない
ペーパーレス化の推進というと、すべての資料や書類を電子化しなければならないと勘違いする方もいますが、そうではありません。書庫に保管されているファイルの資料をすべてスキャンして電子化しても、結局は電子ゴミが増えるだけです。
ペーパーレス化を進める第一歩は、紙ベースの資料の仕分けと廃棄だと言われています。今ある紙ベースの資料を仕分けし、必要ないものから順番に廃棄していきましょう。
仕分けを行うときにまず行うべきことは、必要なものとそうでないものを分けることですが、オフィスのペーパーレス化でもまったく同じことがいえるのです。
システム障害発生時のバックアップを整備する
全ての情報を電子化すればそれで安泰ではありません。地震や津波などの災害が起こったときに、サーバールームに被害が及べばその大事な電子データはすべて失われてしまいます。大きな災害が発生しなくても、停電やシステム障害が発生しただけで情報が失われてしまうかもしれません。
そこで、情報を電子化するときに必ず行いたいのが、データのバックアップです。データベースサーバーを二重化する、遠隔地にサーバールームを設置し、常にデータの同期を取っておくなどの対策が必要です。
RPAの利用でさらなる効率化を
ペーパーレス化の効果を生かしてさらなる業務の効率化を進めたいなら、RPAの利用が有効です。RPAとは人が定義できるデスクトップ上の動作を自動化する仕組みのことです。RPAシステムを導入することで、データの入出力や管理といった作業をほとんど自動化することができます。情報の電子化が進んでいれば、RPAの導入は容易です。すべてがデータ化されているので、そのデータを生かして作業の自動化ができるのです。ペーパーレス化によって業務の生産性は上がりますが、RPAを組み合わせることでさらなる業務の効率化を進めることができるでしょう。RPAを導入することで、働き方改革を推進することも可能です。
まとめ
ペーパーレス化によって得られるメリットは、環境への配慮やコストの削減だけではありません。情報検索・管理の効率化、データ保管スペースの削減、セキュリティの強化といった多くのメリットが得られます。
しかし、ただ単にすべての情報を電子化すれば良いというものでもありません。まずは、既存の紙ベースの情報を仕分けし、不要なものを廃棄していくことから始める必要があります。
ペーパーレス化がうまく進めば、情報の電子化により、オフィスの作業効率も大幅に削減できます。このように、ペーパーレス化は、オフィスの働き方改革にもつながるのです。
情報が電子化されればRPAによる作業の自動化を導入しやすくなり、さらなる業務効率の改善が期待できるでしょう。
筆者プロフィール
- 新しい「働き方」やそれを支えるITツールにアンテナを張っています。面白い働き方を実践している人はぜひ教えてください!
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