ガントチャートはプロジェクト管理で使えない?円滑に進める正しい管理方法とは

仕事でプロジェクト管理をする際に、ガントチャートを使用している方も多いかもしれません。しかし、ガントチャートは使うべきではないと言われているのをご存知でしょうか?ガントチャートは進捗管理の一面的な部分だけしか表すことができず、プロジェクト管理において弊害をもたらすと言われているのです。

今回は、ガントチャートの問題点とともに、プロジェクトを円滑に進めるための方法も解説していきます。

ガントチャートとは

ガントチャートは約100年前に、アメリカのヘンリー・ガントなる人物が生み出したと言われています。そんなに昔から使われていたのかと驚く人も多いのではないでしょうか?100年前と言えば1900年頃ですから、日露戦争が始まる頃ということになります。当時は電話が開通したばかりで日常的に使われることはなく、もっぱら手紙や伝令に情報のやり取りを頼っていました。

ガントチャートには、タスクが上から順番に並べられ、それぞれに進捗の予定と実績が書き込めるようになっています。そして、通常は階段状に作業が上から下に進んでいくようになっていて、一つ一つの作業の進捗状況が一目でわかるようになっています。

一見、進捗状況が見える化されていて管理しやすいツールに思えますが、やはり100年前に生まれたものですから、現代で使うとなるとさまざまな問題が表れてくるのです。

ガントチャートがプロジェクト管理で使いにくいとされる理由

ガントチャートに隠された問題点について、詳しく見ていきましょう。

各プロセスで工数を無視したスケジュールになりやすい

ガントチャートの問題で最も大きいものが、スケジュール管理で最も大事なはずの工数が度外視されがちということです。

ガントチャートを作成し階段状に美しい進捗管理表が出来上がると、それだけで上手くいくような気がしますが、実際はそうはいきません。なぜなら、それらの予定が締め切りありきで組まれているからです。

本来ならば、作業内容や人員、作業の難易度などを考慮して予定を立てるべきところを、ガントチャートではその作りから、締め切りから逆算して予定を組んでしまいがちです。そして、締め切りから逆算して予定を入れていった結果、綺麗に予定が入りきらずに、並行して予定を組んだり工数を減らして詰めて無理やりスケジュールを立てたりしてしまいがちなのです。

ガントチャートで予定を立てると、どうしても美しい階段状にきっちりと予定を入れてしまいたくなるのが人間の心理なのかもしれません。しかし、それではスケジュール通りにプロジェクトが進むはずがありません。逆算してスケジュールを立てた結果、やっつけ仕事になって作業品質はボロボロ、納期に間に合っても肝心の仕事内容は大失敗してしまう可能性があります。

納期ベースの仕事になりやすい

ガントチャートを使うとタスクごとに納期をきっちりと決めた形で予定が組まれますが、どうしても納期ベースの仕事になってしまうのです。

仕事はたいていの場合、納期が決まっているものですが、時には納期を度外視して品質や内容が重視される仕事もあります。しかし、ガントチャートはその構造上、納期ベースの予定しか立てることができません。そのため、納期だけが指標になり、仕事の達成率や品質などが全く見えてこない進捗管理になってしまいます。

また、時には納期前に仕事が終わることもあるでしょう。しかし、ガントチャートを使うと、前倒しして他の作業をするとか予定を見直すということをあまりしなくなります。そして、納期までまだ日にちがあるからといって、ゆっくり仕事をしてしまいがちになります。人は、締め切りが迫らないと仕事をしない傾向があります。そのため、納期がきっちり決められていると、納期間際にならなければ仕事に本腰を入れられないことが多いのです。

タスクごとの依存・順序関係が見えにくい

ガントチャートは階段状に並んだタスクを上から順番に着手していくという作りになっています。そのため、ガントチャートから見えてくるタスクごとの依存関係や順序関係は、1行目から2行目、2行目から3行目という前後の関係のみで、それ以外のタスクごとの関係は全く見えません。

実際にプロジェクトは、そんな単純な前後関係で完結することはないでしょう。作業1が終わらないと作業2や3に着手できない、作業4は作業3には関係しないが作業2に依存するなど、複雑な依存関係や順序関係があるはずです。ガントチャートではそのようなタスクの関係性を表すことができないのです。その結果、作業2が終われば作業3を待たずに作業4を始めることができたのに着手できず、作業効率が落ちたなどという問題も生じます。

1つずつ順番に進む単純な作業構成ならガントチャートでも構いませんが、他部署の人間や社外の担当者などが絡む複雑な作業構成になると管理しきれないでしょう。

正しいガントチャートの活用で明確なプロジェクト管理が可能に

では、ガントチャートをどのように活用すれば、実作業に即した明確なプロジェクト管理ができるのでしょうか?

まずはタスクの細分化・分析を行う

まずは、タスクを洗い出して細分化します。様々な作業をひっくるめて一つのタスクにするのではなく、成果物ごと、作業内容ごとにできるだけタスクを細分化しましょう。そして、タスクごとの依存関係や順序関係はもちろん、工数や作業の難易度、必要な人員などを詳細に分析していきます。タスクを正しく洗い出すことで、進捗管理の成否が決まると言ってもよいでしょう。

ネットワーク図やクリティカルパスも併用する

進捗管理を行う際には、タスク同士の関係性や全てのタスクの中の位置関係や重要性などを一目で把握できる、ネットワーク図やクリティカルパスも併用しましょう。

例えば、工程ごとの関係をネットワーク図で表せば、ある工程で問題が起きた時にどの工程まで影響が及ぶのかが一目でわかります。また、クリティカルパスで進捗管理をすればタスク同士の関係性を正しく把握でき、担当者が自分の作業の重要性や位置づけを正しく把握することができます。もちろん、ガントチャートも進捗状況が見える化された有効なツールです。これらのツールを併用することでプロジェクトを正しく管理することができるでしょう。

定期的にアップデートを行える管理ツールを使う

ガントチャートはエクセルなどで作成することが多く、予定を変更して前倒したり後ろ倒したりするのが非常に面倒です。一つ一つの進捗をコピペしてずらしていかなければならないので、進捗のアップデートに不向きです。そのため、ガントチャートやネットワーク図、クリティカルパスなどを簡単に作成できてアップデートもしやすく、それぞれの進捗管理ツールをリンクさせやすい、進捗管理ツールを利用することをおすすめします。

プロジェクトにかかわる者同士の情報共有を徹底する

プロジェクト管理者しか進捗管理表を確認できないと、プロジェクトに関わる人たちが情報を全く共有できません。大事なのは、プロジェクトにかかわる全ての人が最新のプロジェクトの管理情報を閲覧して、情報を共有するということです。そのためにも、進捗管理ツールを利用し、進捗管理表を「見える化」しましょう。

まとめ

ガントチャートには、工数が度外視される、納期ベースになる、タスクの全体の中の位置づけがわかりづらいなど、プロジェクトの進捗管理をしづらくしてしまうさまざまな問題点があります。これらの問題を解決するためには、タスクを細分化する、ネットワーク図やクリティカルパスなどを併用する、定期的にスケジュールをアップデートする、情報共有を行うなどの対処が有効です。作業内容を正しく把握し、実情に合った進捗管理を行いましょう。

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