RPA導入で業務効率化を成功させるために重要なポイントとは

RPAを導入すれば、人の手で行っていた業務を自動化することができます。作業効率の改善や働き方改革の推進に、大きな期待が寄せられています。しかし、ただやみくもにRPAを導入すれば良いというものでもありません。現場に正しく導入し運用しなければ、かえって業務効率を下げてしまう可能性もあります。

今回は、RPA導入を成功させるための重要なポイントをまとめてみました。

RPA導入で得られる効果

RPAを導入するとことで得られる効果は大きく分けて、「業務効率の改善」と「人為的ミスの防止」の2点があげられます。

業務効率の改善

RPAは、人が定義できる業務ならば全て自動化することができます。売上伝票や請求書データの処理、過去のデータ分析による発注業務、従業員の勤怠管理、問い合わせフォームに対する自動応答処理などの業務の自動化が可能です。

これにより、多忙なホワイトカラーに大きなメリットがもたらされます。例えば、営業パーソンが顧客データを分析し、売れ筋商品を把握するとします。本当は収集したデータをもとに売れ筋商品の分析や顧客対応を行いたいのに、データの収集や整理作業に追われて本来の業務を遂行できないという事態に陥ることがよくあります。そこで、情報収集と整理作業をRPA化することで、営業パーソンは本来の営業活動に専念できるというわけです。

人為的ミスの防止

RPAによって業務が自動化されるため、業務自体が正確に行われ、個人情報が流出するなどの人為的ミスも防止できます。今まではデータ収集などの単純作業をパートやアルバイト社員などに委託することもあったかもしれませんが、人による作業にはミスがつきものですし、作業者によって情報が流出するリスクも伴います。RPAの導入で、このような事態も未然に防ぐことができるのです。

RPA導入にあたっては事前の準備・計画が重要

RPAを導入する際には、事前の十分な準備と計画が必要です。ここでは、RPA導入を成功させるための準備・計画フローを解説します。

現状業務を細部まで把握する

まずは現状行われている業務について、作業フローや扱うデータ項目、チェック仕様などに至るまで細かく把握します。例えば、保険業界の申込書処理業務を導入対象にしたとします。大まかな作業フローは、申込書データの取り込み、入力不足やデータエラーの確認、保険料の算出、帳票出力です。その作業フローの中で、申込書データ項目の形式定義、チェック仕様の定義、保険料算出のための数式定義、帳票出力データの定義などの確認が必要になります。業務内容を細部まで把握することで、現場に最もマッチしたRPAを導入することができるのです。

RPA導入対象となる業務を選定する

RPAを導入にあたっては、自動化する業務の選定が重要です。全ての業務を対象にした方が良いのか、一部業務だけでも十分効果が得られるのかなどについて、検証します。前項の保険業界での例の場合、申込書データの取り込みと保険料の算出、帳票出力作業はすでにツール化がされており、業務効率アップが望まれているのはデータチェック業務のみでした。そのため、他の作業と連携する形で、データチェック業務だけにRPAを導入するのが最善であるという判断になることもあります。コストカットのためには導入対象業務を減らす方が良いですから、最もコストを安くして最も大きな効果が得られる業務を選定するのが望ましいのです。

各業務はあらかじめスリム化を施す

導入対象業務が決まったら、導入前に作業内容のスリム化を行っておきます。スリム化されておらず無駄な作業が含まれたままの状態で作業をRPA化しても、無駄が多い冗長なツールになってしまうからです。前項の保険業界での例だと、データをチェックする際にバックアップデータを取っていたがその作業は無駄である、チェック内容が重複しているなどの冗長な作業を取り除けば、業務がスリム化されます。

RPA導入の目的と妥当性を整理する

RPAを導入したとしても、当初の目的が果たせていなかったり業務が思った以上に改善されていなかったりしたのでは、意味がありません。そのため、目標の業務効率改善○%が達成されているか、導入予算に見合った効果が得られているかなどを検証する必要があります。

予算を確保する

対象業務の詳細を把握して導入による目的が定まれば、おのずと導入のための対応工数が決まり、予算の概算が確定します。そして、早めにその予算を確保しておく必要があります。

経営会議でRPA導入の承認を得る

導入するRPAの詳細と改善内容、そして予算が決まれば、経営会議にかけて承認を得る流れに入ります。計画段階でできるだけ詳細内容を決めておくことで、経営会議で承認を得やすくなるでしょう。

RPA導入フロー

経営会議で承認を得て準備・計画がすべて完了すると、いよいよRPAの導入段階に入ります。

業務分析・商品選定

すでに計画段階で導入対象業務の細かい分析は完了していると思います。その分析結果をもとに、さらに詳細な分析を行います。具体的なデータ形式は何か、最大何通の申込書を一度に処理できれば良いのかなど、細かい業務分析を行います。

RPAには既存のツールが存在しますが、どの商品を選べば良いのかを検討します。それぞれの商品のメリットやデメリットは異なりますから、自社の業務にマッチした商品を選定しましょう。

PoC

業務分析と商品の選定が終わったら、実際に小さな規模でRPA導入を試してみます。このフェーズを「PoC(概念実証)」と呼びます。小さな規模で実際に業務を回してみることで、検証段階ではわからなかった問題が見つかることもあります。問題点を洗い出し、対策を整えましょう。

導入・定着化

PoCが終わったらいよいよ導入です。社内の人員を配置し説明や研修、マニュアルの整備などを行います。受け入れ態勢が整ったら、実際の業務に導入します。初めはQ&A対応がいつでも行えるように担当者を配置する、うまくいかなかった時にいつでも元のやり方に戻せるようにするなどの対応が必要です。徐々に担当者が慣れ上手く業務が回りだしたら、マニュアルを改善したり教育体制を整えたりして、RPAを社内に定着させます。

導入段階での運用体制づくりで効果が最大化される

どんなにRPAの性能が良くても、RPAの導入が上手くいくとは限りません。RPA導入の成否は、運用体制づくりに大きく関わってくるのです。

業務を自動化させるRPAでも、結局動かすのは人間です。受け入れる担当者が操作方法を知らずエラーメッセージを読めなければ、業務はうまく回らないでしょう。上手に運用するためには、担当者に使い方を説明するだけではなく、RPAを導入するメリットも併せて説明しましょう。使う人間がそのメリットを正しく把握することで、よりRPA導入による効果が見込めます。

そして、操作方法やエラー内容が見える化されたマニュアルを作成し、サポート体制を整えることも重要です。

運用体制が万全なら、RPAによる業務効率化のメリットを最大限に引き出すことができるでしょう。

まとめ

RPAは業務を自動化しオフィスの業務効率を大幅にアップしてくれる、素晴らしいツールです。しかし、導入方法を間違えば、かえって業務を煩雑にして足を引っ張る存在になってしまうかもしれません。現状の業務フローを正しく把握し、現場に合ったRPAツールを導入しましょう。RPAの導入時には、慎重に万全な計画と準備を重ねておくことが重要です。そして導入後も、慣れない担当者のフォローをしっかりと行い、運用体制を万全に整えておくことで、RPAによる業務改善が成功します。