RPAとAIの違いとは?AIとの連携で拡大される業務効率化
RPAとAIは何が違うのかわからないという方は意外と多いのではないでしょうか?どちらもコンピュータで業務を自動で行うようなイメージなので、同じことを言っているような気がします。しかし、RPAとAIは全く異なるものです。そして、RPAとAIの連携によって、より高い機能が得られると考えられています。
ここでは、RPAとAIはどう違うのか、RPAとAIについて詳しくご紹介します。
目次
RPAとは
ロボティクスプロセスオートメーション(Robotic Process Automation)の略が、RPAです。業務を自動化する仕組みで、人間が定義したルールや指示に基づいて働くものです。具体的にどういうことなのか見てみましょう。
オフィスでのホワイトカラー業務を自動化する
RPAは人間が定義できるルール上でなら、自動化が可能な仕組みです。そのため、RPAを導入することで、オフィスのパソコン操作などのホワイトカラー業務を自動化することが可能です。例えば、保険業界などで申込書の内容を読み込んでルールに従ってエラーチェックする、社員の勤怠表をチェックして有給休暇数や残業代を計算する、などという人間が定義できる業務はRPAがすべて実行してくれます。
人間の作業負担の軽減することで、職場での働き方改革に大きな役割を果たすことが期待されています。
あらかじめ業務内容や判断基準を定義する必要がある
RPAの大きな特徴に、あらかじめ業務内容や処理の中で生じる判断の基準などの明確な定義が必要ということがあります。上記の保険業界の例ですと、保険の申込書の項目やチェック内容、数値の範囲などを全て定義しておかなければなりません。そのため、RPAが適用できるのは明確にルールを定義できる業務だけで、あらかじめ全ての定義を用意する手間がかかります。
RPAとAIの違い
では、RPAとAIは何が違うのでしょうか?その違いを見ていきましょう。
人間からの指示(ルール)に従うRPA
RPAは前述した通り、人間が定義した指示やルールに基づいて、自動的に操作を再現する技術です。そのため、RPA自体は物事を判断することはできません。あらかじめ定義されたルールにないデータが入力されたり、指示されたものの実際は実行できない処理だったりした場合は、エラーを吐き出して終了します。そこに判断は生じず、指示された通り処理を終了するのです。
指示を受けずに自己判断して動くAI
人間の指示のもとで処理を実行するRPAに対し、AIは大規模なデータをもとに理解し行動し、自ら学ぶことができるアルゴリズムで出来ています。AIは自分で判断を下すことができ、その判断はあらかじめ与えられた大量のデータの分析のもとに下されます。
例えば、iPhoneの「Siri」はAIが組み込まれている最も有名なシステムです。Siriは、音声を取り込んで言語処理して理解し、あらかじめ与えられているデータの中からパターンマッチングで最適な回答を返します。
さらに、AIは大量のデータを解析し学習する自己学習機能を持っています。例えば、検索エンジンで利用されるAIは、大量のデータからパターンを学習してより精度の高い検索結果を導き出します。そして、自己学習することで新たな検索結果を導き出し、新しい検索方法を覚えていくことが可能なのです。時には、人間が想定していないパターンの検索結果を導き出すこともあります。
SFの世界で描かれるAIのように、いずれは人間の想定を超えて人間の判断力や能力をはるかに上回る行動ができるAIが現れるかもしれません。
このように、RPAとAIは似ているようでいて、全く異なるものであることがわかっていただけたと思います。RPAとAIの違いをざっくりと言うなら、人間が指示したことに忠実に従うのがRPA、人間から指示を受けずに自ら判断できるのがAIということになります。
RPAは3段階にレベル分けされる
RPAとAIは、それぞれの強みを生かして連携させることが可能です。ここでは、RPAとAIが連携することで今後どのように発展していくのかを見ていきましょう。
高度なAIと連携してRPAの自動化範囲を拡大
RPAは業務を自動的に行ってくれますが、自ら判断を下すことはできません。そのため、その定義の範囲を超えた判断を求めることができないのです。RPAの導入で業務効率改善につながるかもしれませんが、結局人間の判断が必要になる場面が現れるでしょう。そこで、さらにRPAを有用なものにするために、高度なAIと連携する手法が模索されています。
RPAには自動化の度合いによって三段階にクラス分けされており、それぞれで連携できるAIのレベルが異なります。どのレベルでAIとの連携ができるのか、どのレベルなら高度なAIとの連携が可能なのかについて考えてみましょう。
Class 1
Class1で対応できるのは、「定型業務の自動化」です。定義された情報の取得や入力作業、チェック作業などの定型的な作業があてはまります。現在のRPAは、そのほとんどがこのClass1に属するものです。実現できる業務はそこまで複雑ではありませんが、多くの職場で業務効率改善やホワイトカラーの負担軽減に役立てられています。
Class 2
Class2になると、定型業務にとどまらず「一部の非定型業務の自動化」も可能になります。RPAとAIを連携ができ、非定型業務も自動化が可能です。具体的には、自然言語解析や画像解析、音声解析、マシーンラーニングの技術が搭載され、非構造化データを読み取ったり、知識ベースを活用したりできます。このようなAIと連携した高度な処理が可能なため、業務改善の幅はますます広がっています。
Class 3
「高度な自律化」が可能となり、プロセス分析やプロセス改善、そして、意思決定まで自動化することができます。ディープラーニングにより高度な自己学習能力を備え、自然言語処理も可能です。このレベルまで来ると、高度な判断を必要とする業務も代行可能です。もちろん、定義したルールに従って高速で正確な処理が可能なため、人間が行うよりもより高度な業務処理が可能になるでしょう。
必ずしもハイクラスのRPAが必要になるとは限らない
AIとRPAの連携には、Class2、もしくは、Class3のレベルが求められますが、それ以上のクラスが必要かどうかは、適用する業務内容によって変わってきます。
ある業務を自動化する際に高度な判断が必要だったとします。しかし、その判断の部分を人間が対応できる範囲ならばハイクラスのRPAは必要ありません。また、その判断が非常に高い知識レベルや経験を有する場合は、AIに任せられないケースもあります。判断部分をRPAに代替させることで効率良く業務を実行できる場合に限り、ハイクラスのRPAを導入することでメリットを得られるでしょう。
それぞれの業務の特徴や内容に合ったクラスのRPAを選ぶことが重要なのです。
ビジネス上の課題に適したRPAの活用が重要
高度なRPAは業務効率をアップさせ、人間の負担を削減する素晴らしいツールです。しかし、どのようなRPAが最適かを見極めないまま導入を進めても、高い効果を得ることはできないでしょう。煩雑な業務処理を自動化した結果、その判断内容に誤りが多く結局人手が多くかかってしまったのであれば、導入は失敗です。それぞれのビジネスの課題を正しく理解し、その課題にマッチしたRPAを導入する必要があるでしょう。
まとめ
RPAの導入は、職場のホワイトカラーの負担を軽減し働き方改革を進める素晴らしい手段です。しかし、ビジネス上の課題や仕事の特徴を考慮せずにむやみに高度なRPAの導入を進めても、業務効率が改善されるとは限りません。現場の作業フローや作業の特徴、課題を正しく分析したうえで、最も適したRPAを導入する必要があるでしょう。
筆者プロフィール
- 新しい「働き方」やそれを支えるITツールにアンテナを張っています。面白い働き方を実践している人はぜひ教えてください!
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